『臆病であれ』~介護において「よいチーム」とは~
野村義稀(ホームケア土屋 営業推進部)
全くの異業種から転職した私にとって、「介護のチーム」というものは、非常に驚くべきものでした。
私が元々働いていた職場(営業職)では、フリーテリトリー(営業先が決まっておらず、誰がどこに行っても良い)制度が採用されていました。
何が起きるのかというと、すごく仲良くしていたAさん(自分とご契約予定)がある日突然同僚のお客様として会社で報告を聞くという、普通では考えられないような事です。
そんな殺伐とした環境でしたが、良くも悪くも人間は慣れる特性があり、日を追うごとにその環境に馴染んで『全員が仲間であり全員が敵』のような不思議な感覚が身についていました。
そんな中で初めて出会った介護のお仕事。
『介護はチームだから』と口酸っぱく言われて臨んだ初めての職場。
どこに行っても「ここまで詳しく報告するの??」と思うような報告内容でした。
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◯月×日(月)
09:00 入室,手洗い,挨拶,体調確認
09:30 外出(○○病院⇒××)
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・(省略していますが、みっちり報告が書いてあります。)
・
13:00 昼食(お寿司,ほとんど食べず)
13:45 ××に到着,買い物(服屋さん)
15:00 帰宅,車椅子⇒ベッド移乗
15:20 全身清拭
16:00 支援終了
今日は念願の××に行けて楽しかったとのことです!部屋の室温管理に悩まれていました。
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心の中では(昼食ほとんど食べんかったんかい!笑)とツッコミながら、『細かいですね…ボクに出来ますかね…』と話した記憶があります。
その報告を見て、担当の責任者(弊社ではコーディネーター)が、ご利用者(弊社ではクライアント)に電話で
『最近あんまり食べてないですけど、体調悪いんですか??』と。
クライアントは「いや、ただのダイエットよ。なんで??」と返す。すると、
『報告見てたら全然食べてないから心配になって、みんなにもそれをちゃんと教えてあげてくださいよ(笑)。部屋の温度調整のやり方も一緒に考えていきましょうね!』
「心配されてるん??笑 気を付けるわ、いつもありがとう!」
『はーい!またお家お伺いするんでいろんなお話しましょ!!』
入社当初は、日常会話程度に思っていましたが、このやり取りがチームとして「非常に重要なもの」でした。
この仕事では、本人、家族、相談支援専門員、医師、看護、介護など…幅広い連携が求められます。
その時にこういった些細な情報でも「共有しているか・していないか」で、大きな差が生まれてしまいます。
もしかすると、精神的な落ち込みかも知れない。食べられなくなっているのかも知れない。なにか別の病気なのかもしれない。
そういった気づきになる場合もあります。
実際、日々支援に入っているヘルパー(弊社ではアテンダント)が本人の体調不良を誰よりも早く気づいて一命を取り留めたケースも少なくありません。
介護のチームでは、「いい意味で心配症なチーム」であることが求められると私は考えています。
私自身も、臆病であること(当然守ってばかりでは進みませんが、リスク管理は最大限、仕事の裏側まで考える=相手の気持ちに立って動くこと)を仕事の軸に置いています。
私自身は、「営業推進部」という、11月より新設される部署に所属します。
様々な才能や感性を持った仲間たちに支えられながら、この会社でしか出会えなかった最高のチームと働くことが出来ています。
障害福祉サービスを新たにご利用される方や、今利用中で事業所を新たに探されている方、相談支援専門員さんなど、様々な立ち位置の方と関わる機会が非常に多くなります。
些細な情報にアンテナを張り続けて、生活の一助になれるように取り組んでまいります。
プロフィール
野村義稀(のむらよしき)
大学4年生の12月に脳挫傷,外傷性くも膜下出血,急性硬膜下血腫を受傷し入院。
意識不明の状態から回復し、約2ヵ月間の車椅子生活をする。
大学卒業後は、小学生から高校生まで対象の学習塾の営業や管理運営,家庭教師など全く別の分野で働いてきた。
2020年6月に重度訪問介護に出会い介護未経験の中、業界に飛び込む。
趣味はソフトテニスとアウトドア。