ご家族の障害が重くなり、ヘルパーの利用を考えはじめたとき。市区町村の障害福祉窓口や、相談支援専門員から「まず障害支援区分の認定を受けてください」と言われることがあります。
聞き慣れない言葉ですし、「何を見られるのだろう」「思ったより軽く判定されたらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。
この記事では、障害支援区分がどういうもので、どのように決まるのかを整理します。あわせて、認定調査で普段の状態を正しく伝えるために準備できることや、区分と重度訪問介護の関係についてもご紹介します。
障害支援区分とは、支援の必要度を6段階で表したもの

障害者総合支援法は、障害支援区分をこう定義しています。「障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すもの」(同法第4条第4項)。
かつては「障害程度区分」と呼ばれていました。知的障害や精神障害の特性が反映されにくいという課題があり、見直しを経て2014年4月から現在の「障害支援区分」に変わっています。
非該当と区分1〜6、数字が大きいほど支援の必要度が高い
区分は1〜6の6段階で、これに支援の必要度が基準に達しない「非該当」を加えた形で判定されます。
障害支援区分は、主に18歳以上の障害者が対象です。15歳以上18歳未満の方が、一定の手続きを経て障害者向けサービスを利用する場合には、障害支援区分の認定を受けることがあります。
大切なのは、この区分が「障害の重さ」そのものを表すものではないという点です。あくまで「どれくらいの支援が必要か」を示すものさしです。同じ診断名でも、心身の状態や、日常生活の各場面で必要となる支援の内容・程度によって区分は異なります。
介護保険の「要介護度」とは別のしくみ
障害支援区分と混同されやすいのが、介護保険の要介護度です。名前も考え方も似ていますが、根拠となる法律が違う別の制度です。
障害支援区分は障害者総合支援法にもとづくもので、対象は障害のある方や難病などの方です。一方の要介護度は介護保険法にもとづくもので、原則として65歳以上の方(一定の疾病がある場合は40歳以上)が対象になります。
障害者手帳とも別のしくみです。手帳は障害の状態を証明するもので、区分はサービスの必要度を測るものです。手帳を持っているからといって、自動的に区分がつくわけではありません。
区分が決まらないと使えないサービスがある
障害福祉サービスは、大きく「介護給付」と「訓練等給付」に分かれます。
介護給付は、日常生活の介護を受けるためのサービスです。重度訪問介護、居宅介護、生活介護、施設入所支援などが含まれ、その多くは利用にあたって障害支援区分の認定が必要です。ただし、同行援護など、障害支援区分の認定を必要としないサービスもあります。制度の全体像は障害福祉サービスの制度としくみで解説しています。
訓練等給付は、就労や自立に向けた訓練を受けるためのサービスです。就労移行支援や就労継続支援などが含まれ、原則として区分認定なしで利用できます。ただし、共同生活援助(グループホーム)のうち、日中サービス支援型を利用する場合や、入浴・排せつ・食事等の介護を伴う場合などは、区分認定が必要です。
つまり、居宅介護や重度訪問介護など、区分認定を必要とする訪問系サービスでは、区分の認定が利用手続きの出発点になります。
区分が決まるまでの流れは5ステップ

認定調査では何を聞かれるのか
どの分野も、「できるかできないか」だけでなく、「どの程度の支援が必要か」という視点で確認されます(分野と項目数の出典:厚生労働省「障害支援区分 認定調査員マニュアル」)。
移動や動作に関すること(12項目)
寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、歩行、移乗など。ベッドから車いすへの移動や、屋内での移動の状況などを確認します。
身の回りのことや日常生活に関すること(16項目)
食事、入浴、排せつ、着替え、口腔清潔といった身の回りのことに加えて、調理、掃除、洗濯、買い物、金銭管理、服薬管理なども含まれます。
意思疎通に関すること(6項目)
視力、聴力、コミュニケーション、説明の理解、読み書き、感覚過敏・感覚鈍麻についての項目です。発達障害の特性も反映されるよう見直されています。
行動に関すること(34項目)
もっとも項目数が多い分野です。こだわり、多動、不安定な行動、自らを傷つける行為、他人を傷つける行為、大声・奇声、集中力が続かない、集団への不適応など。知的障害や精神障害のある方の支援の必要度を測るうえで、重要な部分にあたります。
特別な医療に関すること(12項目)
点滴の管理、中心静脈栄養、透析、酸素療法、レスピレーター(人工呼吸器)、気管切開の処置、経管栄養、じょくそう(床ずれ)の処置、カテーテルなど。医療的なケアが日常的に行われているかどうかを確認する項目です。
調査で普段の状態を正しく伝えるためにできること
調査員が来る日は、ご本人が気を張って普段よりしっかり受け答えできることがあります。また、「できません」と言うことに抵抗があり、つい「なんとかできます」と答えてしまう方もいます。そのため、当日の様子だけでなく、普段の生活で必要な支援を具体的に伝えることが大切です。
支援を必要としている方が、必要な分の支援を受けられるようにするために、準備できることをご紹介します。

普段の様子をメモに残しておく
調査は限られた時間で行われます。その場で1週間分の生活を思い出して説明するのは、なかなか難しいものです。
調査の前に、1〜2週間ほど簡単な記録をつけておくことをおすすめします。「何時に起きて、誰がどんな介助をしたか」「夜中に何回対応が必要だったか」。こうしたメモがあれば、当日その場で具体的に伝えられます。できなかったこと、途中でやめたことも書き添えておくと役立ちます。
家族や支援者が同席する
ご本人だけで調査を受けると、実際の介助量が伝わりにくいことがあります。普段介助しているご家族や支援者が同席し、日常の様子を補足できると、より実態に近い情報が伝わります。
すでにサービスを利用している場合は、相談支援専門員やヘルパー事業所の担当者に相談してみてください。同席や情報提供に対応できる場合があります。
「調子のいい日」ではなく普段の姿を伝える
移動や日常生活に関する項目では、できたりできなかったりする場合、「できない状況」に基づいて判断する取扱いが示されています(厚生労働省「障害支援区分に関するQ&A」)。
状態に波がある場合は、支援を多く必要とする場面についても具体的に伝えることが大切です。一方、行動に関する項目などは発生頻度によって判断されるため、「週に何回起こるか」「その際にどのような支援が必要か」まで具体的に伝えてください。
つまり、「たまにできる」ことを「できます」と伝えてしまうと、実態と異なる判定につながりかねません。「今日はできましたが、週の半分はできません」「体調が悪い日は全介助になります」というように、幅を含めて伝えることが大切です。
できない場面・困っている場面も具体的に話す
「入浴に介助が必要です」と伝えるより、「浴槽をまたぐときに支えが必要で、洗髪は全部こちらが行っています。滑って転倒したことも2回あります」と伝えるほうが、状況が正確に伝わります。
こうした具体的なエピソードは、認定調査員が記録する特記事項に反映され、二次判定で考慮される材料になります。うまく話せるか不安なときは、事前にメモを用意して、当日そのまま読み上げても構いません。
重度訪問介護を使えるのは区分4以上から
区分4以上に加えて満たす条件がある
重度訪問介護の対象は、重度の肢体不自由、または重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方です。
具体的には、障害支援区分4以上であって、次のいずれかに当てはまることが要件とされています。
- 二肢以上に麻痺などがあり、認定調査項目の「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれもが「支援が不要」以外と認定されていること
- 認定調査項目のうち、行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上であること
先ほどの認定調査の内容とつながっていることがお分かりいただけると思います。調査でどう判定されるかが、そのまま重度訪問介護を利用できるかどうかに関わってきます。
サービスの詳しい内容については、重度訪問介護のサービスページでご案内しています。
区分によって使えるサービスは変わる
介護給付には、サービスごとに障害支援区分の要件が定められています。区分が高いほど対象となるサービスが増える傾向がありますが、区分以外の要件も確認が必要です。
一方で、区分が低いからサービスが使えないというわけではありません。居宅介護(ホームヘルプ)のように、区分1以上で利用できるサービスもあります。短時間の訪問をご希望の場合は、訪問介護・居宅介護のご案内をご覧ください。
使える時間数は区分だけで決まるわけではない
ここは誤解されやすいところです。区分が決まれば自動的に利用時間が決まる、というしくみではありません。
実際に利用できる時間(支給量)を決めるのは市区町村です。区分を踏まえたうえで、ご本人の生活状況、ご家族の介護力、住まいの環境、ご希望などを勘案して決定されます。同じ区分6でも、生活状況や家族の介護状況などによって、支給される時間数が異なることがあります。
そのため、「区分が出たら終わり」ではなく、その後の支給決定に向けて、生活の実態をていねいに伝えていくことが大切になります。あわせて気になる自己負担については、利用料と自己負担のしくみをご覧ください。
認定を受けたあとに知っておきたいこと
区分には有効期間があり、更新が必要
障害支援区分の有効期間は、基本的に3年です。ただし、心身の状態が変動しやすい場合などには、市町村審査会の意見に基づき、3か月以上3年未満の範囲で短く設定されることがあります。実際の有効期間は認定通知書でご確認ください。
期間が終わったあとも同じサービスを続けたい場合は、更新の手続きが必要です。手続きの流れは初回とほぼ同じで、認定調査と医師意見書があらためて必要になります。結果が出るまでに時間がかかるため、案内が届いたら早めに動くことをおすすめします。
状態が変わったときは区分変更を申請できる
有効期間の途中でも、心身の状態が変化し、必要となる支援の度合いが変わったときは、障害支援区分の変更について市区町村に相談できます。
たとえば、病状の進行や心身の状態の変化により、移動、入浴、排せつなどに必要な支援が増えた場合などが考えられます。 また、これまで介助していたご家族が支援を続けられなくなった場合は、区分変更だけでなく、サービスの支給量の変更について市区町村や相談支援専門員に相談しましょう。
「次の更新まで待つしかない」と思い込まず、状況が変わったら市区町村の窓口や相談支援専門員に相談してみてください。
結果に納得できないときの手続き
判定結果に納得できない場合は、審査請求(不服申し立て)という手続きがあります。
処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に、**都道府県知事**へ審査請求を行うことができます。手続きや提出先については、市区町村の障害福祉窓口や都道府県にご確認ください。
ただ、いきなり審査請求という形をとる必要はありません。まずは市区町村の窓口で「どの項目がどう判定されたのか」を確認し、実態との違いを説明してみてください。そこから区分変更申請という選択肢につながることもあります。手続きに迷ったときは、市区町村の窓口や相談支援事業所にご相談ください。
自治体によって違うところ
認定調査の80項目も、一次判定のしくみも、区分の要件も、全国どこでも同じです。しかし、実際に手続きを進めると、地域によって違いを感じる場面があります。
審査会の運用や結果が出るまでの期間
申請から結果が出るまでの期間は、市区町村によって差があります。申請件数の多い都市部と、そうでない地域とでは、審査会の開催頻度も異なります。
有効期間は3年が基本ですが、心身の状態などに応じて短く設定される場合があるため、近隣の自治体やほかの方と期間が異なることもあります。
全国の事業所から見える地域ごとの実情
ホームケア土屋は全国47都道府県に事業所があり、それぞれの地域で重度訪問介護などのサービスを提供しています。
そのなかで感じるのは、支給量の考え方や手続きの進み方に、自治体ごとの傾向があるということです。同じ制度でも、窓口の運用は一律ではありません。
だからこそ、一般的な情報だけで判断せず、お住まいの市区町村の窓口や、その地域で実際に支援を行っている事業者に確認することをおすすめします。
よくあるご質問
Q障害支援区分の認定に費用はかかりますか?
申請や認定調査に費用はかかりません。医師意見書は市区町村が主治医に依頼して作成されるもので、作成料は通常、市区町村が負担します。取り扱いに不明な点があれば、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。
Q障害者手帳を持っていなくても障害支援区分の申請はできますか?
申請できる場合があります。障害福祉サービスの対象は、身体障害・知的障害・精神障害のある方に加えて、障害者総合支援法の対象となる難病等の方も含まれます。難病等の方は、手帳がなくても対象疾病に該当することが確認できれば申請できます。詳しくは市区町村の窓口にご相談ください。
Q認定調査は必ず自宅で受けるのですか?
ご自宅のほか、入院中であれば病院、入所中であれば施設など、ご本人の状況に応じた場所で行われます。退院後の在宅生活に向けて入院中に申請を進めるケースも少なくありません。
Q区分6と判定されたら、サービスは無制限に使えますか?
いいえ。区分6でも、実際に利用できる時間(支給量)は市区町村がご本人の状況を勘案して決定します。区分は利用要件のひとつであり、時間数を自動的に決めるものではありません。
Q家族が代わりに申請することはできますか?
申請者は原則としてご本人ですが、ご本人から依頼を受けたご家族などが申請書の提出を代行できます。代理人として手続きを行う場合は、委任状など代理権を確認する書類を求められることがあります。ご本人が窓口へ出向くことが難しい場合も、まずは市区町村の障害福祉窓口に電話でご相談ください。
区分のことでお困りなら、ホームケア土屋にご相談ください
障害支援区分の申請は、多くのご家族にとって初めての経験です。区分やその先のサービス利用に不安があるとき、重度訪問介護のご利用に関するご相談を、全国47都道府県の事業所で無料で承っています。
無料で相談するまとめ
障害支援区分は、必要とされる支援の度合いを非該当と区分1〜6で示すものです。居宅介護や重度訪問介護をはじめ、介護給付の多くのサービスでは、この認定が利用手続きの出発点になります。
区分は、認定調査の80項目と医師意見書をもとにした一次判定、市町村審査会による二次判定を経て決まります。結果が出るまでの期間は自治体によって異なるため、余裕をもって準備を進めてください。
そして、認定調査では普段の姿をそのまま伝えることが何より大切です。調子のいい日の様子だけで判断されてしまうと、実際に必要な支援が受けられなくなるおそれがあります。事前のメモや家族の同席が、その助けになります。
重度訪問介護を利用するには区分4以上が前提となりますが、実際に使える時間数は区分だけで決まるわけではありません。生活の実態をていねいに伝えていくことが、必要な支援につながります。
不安なことがあれば、ひとりで抱えず、市区町村の窓口や相談支援事業所にご相談ください。重度訪問介護のご利用については、私たちホームケア土屋もお力になれます。
・厚生労働省「障害支援区分」
・厚生労働省「障害者総合支援法における障害支援区分 認定調査員マニュアル」(2014年4月)
・厚生労働省「障害支援区分に関するQ&A」(2014年11月)
・厚生労働省「障害支援区分に係る研修資料(共通編)第5版」(2022年3月)
・厚生労働省「障害支援区分への見直し(概要)」
・厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」
・障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)
最終更新:2026年7月






