医療的ケア児が重度訪問介護を使える年齢条件と児童期の在宅サービス

たんの吸引や経管栄養など、日常的に医療的ケアを必要とするお子さん(医療的ケア児)のご家族から、「重度訪問介護は使えますか?」というご相談をいただくことがあります。答えを先にお伝えすると——重度訪問介護は原則18歳以上が対象ですが、15歳以上なら特例で利用できる場合があります。そして18歳未満の児童期には、別の制度による在宅サービスがあります。この記事で、年齢の条件と児童期に使える選択肢を整理します。

重度訪問介護というサービス自体を先に知りたい方は、制度のしくみと「できること」をご覧ください。

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結論|原則18歳以上。ただし15歳以上は特例がある

重度訪問介護は、障害者総合支援法にもとづく「障害者」(原則18歳以上)向けのサービスです。ただし、児童福祉法の特例にあてはまる15歳以上のお子さんについては、児童相談所長が重度訪問介護の利用が適当であると認めたときに、市区町村の長へ通知が行われ、そのうえで市区町村の支給決定を受けて利用できることがあります。通知だけで利用が決まるわけではありません(出典:児童福祉法 第63条の2・第63条の3。詳細は児童相談所または市区町村の障害福祉窓口へ)。

つまり年齢で整理すると、次の3段階になります。

  • 18歳以上——障害支援区分などの要件を満たせば、重度訪問介護を利用できます
  • 15歳以上18歳未満——児童福祉法の特例の対象にあてはまり、児童相談所長が認めて市区町村へ通知が行われた場合に、支給決定を経て利用できることがあります
  • 15歳未満——重度訪問介護は利用できませんが、児童期向けの在宅サービスがあります(後述)

特例が認められるかどうかは個別の判断で、すべてのケースで利用できるわけではありません。まずは児童相談所またはお住まいの市区町村の障害福祉窓口への相談が出発点になります。

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なぜ原則18歳から?——2つの法律の役割分担

障がいのある方への支援は、18歳以上は障害者総合支援法、18歳未満は主に児童福祉法——という2つの法律の役割分担で組み立てられています。重度訪問介護は前者(障害者総合支援法)のサービスなので、原則として大人が対象になります。

子どもの発達支援や家族支援は児童福祉法の専門領域として設計されており、医療的ケア児への在宅支援も、児童期はこちらの制度が中心になります。「使えない」のではなく「担当する制度が違う」と捉えると、次に何を調べればいいかが見えてきます。

なお、同じ障害者総合支援法のサービスでも「居宅介護(ホームヘルプ)」は障害児も対象です。重度訪問介護と居宅介護は別のサービスなので、混同にご注意ください。

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15歳以上の特例——利用までの流れ

特例利用の入口は児童相談所です。児童相談所長が「重度訪問介護の利用が適当」と認めることが要件になるため、一般的には次のような流れになります。

この特例は、児童福祉法が「当分の間」の措置として定めているものです。対象は年齢だけで決まるものではありません。児童福祉法第26条第1項に規定する児童であることを前提に、身体障害者手帳の交付を受けた15歳以上の方(第63条の2)、知的障害のある15歳以上の方(第63条の3)といった条文の要件にあてはまる必要があります。あてはまるかどうかは児童相談所にご確認ください。

  • 児童相談所に相談する——お子さんの状態と、在宅生活で必要な支援を伝えます
  • 児童相談所長の判断・通知——利用が適当と認められると、市区町村の長への通知が行われます
  • 市区町村での支給決定手続き——障害支援区分の認定調査など、通常の重度訪問介護と同様の手続きに進みます
  • 事業所との契約・利用開始——支給決定後、対応できる事業所と契約して利用が始まります

運用の細かな進め方は自治体により異なります。学校生活との調整や、成人後を見据えた支援体制づくりなど、検討することが多い手続きなので、早めに動き始めることをおすすめします。障害支援区分については対象者と利用条件の記事で詳しく解説しています。

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18歳未満(特例の前)に使える在宅サービス

重度訪問介護が使えない年齢でも、医療的ケア児の在宅生活を支える制度は複数あります。代表的なものを、根拠となる制度とあわせて挙げます。
  • 居宅介護(障害者総合支援法)——障害児も対象のホームヘルプ。入浴・食事などの身体介護や家事援助を受けられます
  • 訪問看護(医療保険)——看護師が自宅を訪問し、医療的ケアや健康管理を行います。医療的ケア児の在宅生活の柱になる制度です
  • 居宅訪問型児童発達支援(児童福祉法)——外出が著しく困難なお子さんの自宅に支援者が訪問し、発達支援を行います
  • 児童発達支援・放課後等デイサービス(児童福祉法)——通所での発達支援。医療的ケア児を受け入れる事業所も増えています
  • 短期入所(障害者総合支援法)・日中一時支援(市町村の地域生活支援事業)——ご家族の休息(レスパイト)のための預かりです。医療的ケアへの対応可否や対応できる内容は事業所によって異なるため、必要なケアを伝えて事前にご確認ください。日中一時支援は市町村が実施する事業のため、実施の有無や利用条件が地域によって異なります

また、2021年9月に施行された医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)は、都道府県知事が指定した者に「医療的ケア児支援センター」の業務を行わせ、または自ら行うことができると定めています(同法第14条)。「どの制度をどう組み合わせればいいか分からない」という段階の相談窓口ですが、設置や運営のしかたは都道府県によって異なるため、お住まいの都道府県または市区町村にご確認ください。

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18歳からの「制度の乗り換え」に、早めの準備を

18歳になると、支援の中心は児童福祉法から障害者総合支援法へと切り替わります。ただし、切り替わり方はサービスによって違うため、利用しているサービスごとの「乗り換え」の準備が必要です。

たとえば放課後等デイサービスは、引き続き受けなければその福祉を損なうおそれがあると市区町村が認めた場合に、本人の申請により満20歳に達するまで利用を続けられることがあります(児童福祉法 第21条の5の13第1項。生活介護などを受けられる場合を除きます)。一方で、医療保険の訪問看護のように年齢で終わらないものもあります。利用しているサービスごとに年齢要件や継続に必要な手続きが異なります。

重度訪問介護の利用を見据えるなら、障害支援区分の認定、相談支援専門員との計画づくり、対応できる事業所探しなど、進めておくことが複数あります。特に医療的ケアに対応できる事業所は地域によって限られるため、17歳ごろから情報収集を始めておくと、18歳到達時の空白を避けやすくなります。

15歳以上で特例利用を始めておくことも、成人後の支援体制へ切れ目なくつなぐ選択肢のひとつです。どの道筋が合うかは、児童相談所・市区町村・相談支援専門員と一緒に検討してみてください。

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まとめ|「今使える制度」と「これから使う制度」を分けて考える

医療的ケア児と重度訪問介護の関係は、「原則18歳以上・15歳以上は特例あり」。児童期は児童福祉法などのサービスで支え、18歳からの制度切り替えに向けて早めに準備する——これが全体像です。
  • 重度訪問介護は障害者総合支援法のサービス。原則18歳以上が対象
  • 15歳以上は、児童相談所長が認めた場合に特例で利用できることがある(個別判断)
  • 児童期は居宅介護・訪問看護・居宅訪問型児童発達支援などが選択肢。医療的ケア児支援センターも相談先になる
  • 18歳の制度切り替えは、17歳ごろからの準備で空白を防ぐ

医療的ケアが必要な方の在宅生活、ご相談ください

ホームケア土屋は、全国47都道府県で重度訪問介護を提供する専門事業所です。たんの吸引・経管栄養などの医療的ケアが必要な方の支援や、18歳からの利用に向けたご相談も承っています。

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