「重度訪問介護は、身体の障がいが重い人のための制度で、知的障がいだと使えないのでは」——そう思っている方は少なくありません。結論からお伝えすると、重い知的障がいのある方も、重度訪問介護を利用できます。2014年から、知的障がい・精神障がいのある方に制度の対象が広がっています。
この記事では、知的障がいのある方が対象になる条件、受けられる支援の実際、利用までの流れを解説します。制度全体のしくみは、別の記事(重度訪問介護の制度のしくみと「できること」)でまとめています。
知的障がいでも、重度訪問介護は利用できる
重度訪問介護は、もともと重度の肢体不自由のある方を対象に始まった障がい福祉サービスですが、2014年から、重度の知的障がい・精神障がいのある方にも対象が広がりました。自宅での身体介護や家事の援助に加えて、長時間の「見守り」が支援として認められているのが大きな特徴で、常に目を離せない状態の方の暮らしを支えられます。
「施設に入るしかないのかもしれない」と思い詰める前に、在宅で暮らし続けるための選択肢として、知っておいてほしい制度です。
対象になる条件|障害支援区分4以上+行動関連項目10点以上
重度訪問介護の対象になるルートは、大きく2つあります。
- 肢体不自由のルート:障害支援区分4以上で、二肢以上に麻痺などがあり、歩行・移乗・排尿・排便のいずれも「支援が不要」以外と認定されている方
- 知的障がい・精神障がいのルート:障害支援区分4以上で、認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上の方
行動関連項目とは、コミュニケーションの難しさ、こだわり、多動、自分を傷つける行為、他の人への影響など、行動面の支援の必要度を測る項目です。強度行動障害と呼ばれる状態の方の多くが、このルートで対象になります(出典:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」/障害者総合支援法)。
なお、知的障がい・精神障がいの方の利用では、支援のしかたを事前に確認するためのアセスメントを経る運用が取られています。ご本人の特性に合わせた支援計画を立てるためのステップです。区分認定や年齢の要件など、対象の詳しい話は次の記事でまとめています。
知的障がいの方への支援は、どんなもの?
知的障がいのある方への重度訪問介護は、身体介護が中心になる肢体不自由の方への支援とは、少し性格が違います。ホームケア土屋の現場では、たとえば次のような支援を行っています。
- 就寝・起床の声かけなど、規則正しい生活習慣を意識したサポート
- お小遣いの使い方への助言など、暮らしのなかの意思決定の手助け
- 感情の波に合わせた声かけと、衝動的な行動への寄り添い
- 他害・自傷につながる行動の見守りと、必要なときの介入
- 入浴・排せつ・食事などの身体介護、調理や掃除などの家事援助
大切なのは、なんでも先回りして手を出すことではなく、ご本人の様子を確認しながら、必要なときに必要なだけ支える姿勢です。ご家族と暮らしている方にも、一人暮らしに挑戦する方にも、お一人おひとりの特性に合わせて支援を組み立てます。
強度行動障害があっても、在宅での一人暮らしを実現した例
ホームケア土屋鳥取では、重度の知的障がい・自閉スペクトラム症で強度行動障害のある方の生活を、重度訪問介護による24時間365日の支援で支えています。国立の重度知的障害者総合施設「のぞみの園」と行政の協力のもと、施設から在宅生活へ移られたケースです。
1対1で長時間寄り添える重度訪問介護は、個別性の強い強度行動障害の方の支援と相性がよく、支援のなかで歯磨きやうがい、衣類をたたむといった生活の力が少しずつ育っていく変化も見られています。現場のアテンダントによる詳しい報告は、こちらのコラムで読めます。
利用に向けて|認定調査で「行動面の困りごと」を正確に伝える
知的障がい・精神障がいのルートでは、認定調査の行動関連項目の点数が対象になるかどうかを左右します。こだわりや多動、自傷・他害につながる行動、コミュニケーションの困難さなど、日ごろの様子を具体的にメモしておき、調査のときにそのまま伝えられるようにしておくと、実態に合った評価につながります。調査の場でご本人が落ち着いて見えると、日常の困りごとが伝わりにくいことがあるためです。
「うちの子は対象になるのか分からない」という段階でも、相談は可能です。申請から支給決定までの手続きの全体は、次の記事でまとめています。
知的障がいのある方の在宅生活、ご相談ください
ホームケア土屋は、全国47都道府県で重度訪問介護を提供しています。知的障がい・強度行動障害のある方への支援実績もあり、お一人おひとりの特性に合わせた支援を組み立てます。「対象になるか分からない」という段階のご相談も歓迎です。
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