重度訪問介護、なぜケアの仕方が統一されないのか?~在宅ケアの素晴らしさと難しさ~
福嶋佳津子
私は以前、施設に勤めておりました。100名の高齢者がおり、一日中走り回っている環境でした。
「爪切ってくれない?」
とご希望があっても「ごめん、今日は難しいかも。明日の夜に切るね」とすぐに対応してあげる事が難しい、そんな事も少なくありませんでした。
そんな環境から在宅ケアに飛び込んだ時は、時間がゆったり流れていて、ご飯は食べたい時に好きなメニューを調理して食べたり、好きな時間にご自宅の湯舟にゆったり浸かってお顔のパックをされている方もおり、「フツーの暮らし」をされている事がとても斬新でした。
様々なアイテムや福祉用具を駆使して、ご自分の生活を豊かなものにされており、そこにあるクライアント一人ひとりのアイディアが、とても刺激的なものでした。
また、重度訪問介護の特徴の1つである「長時間」の支援が、ものすごく時間に余裕を感じ、クライアントに合わせた援助ができる事、時間の余裕は心にも余裕を与え、急ぐことなくお手伝いできる事が何よりも嬉しく感じていました。
ただ…、100人+スタッフ20名の環境から、1対1になった時に、1人で対応する難しさも感じるようになりました。
調理した事がない料理も、聞いた事がない話題のお話も、全部ひとりで対応しないといけないという環境が、最初はなかなか慣れずに緊張の毎日でもありました。
また、クライアント一人ひとり生活スタイルが違うので、食事介助・オムツ交換・体位変換等全てにおいて同じルールがなく、そこを覚える事も難しい部分でした。
しかし、一人ひとり違う環境の中で実践できた時に、何よりも「その人らしい生活の援助」ができている事だと思った時は、なんだかとても嬉しくなりました。
施設の中では見る事ができなかった景色を重度訪問介護で知り、自分の視野も、ものすごく広がったと実感しております。

◆プロフィール
福嶋佳津子 ホームケア土屋 北海道・東北
戦闘機のパイロットになりたかったはずなのに、進路の先生の「これは運命ですよ」という言葉に導かれて音楽療法士の道へ…。
そこからなぜか介護福祉士を取得して介護の世界におります。






