異業種から拓くマネジメント実践論と、組織を牽引するリーダーの条件
対談参加者
星 敬太郎……ホームケア土屋スーパーバイザー
竹内 利文……ホームケア土屋東海ブロックマネージャー
司会……宮本 武尊/取締役 兼 CCO最高文化責任者
司会本日は、ホームケア土屋スーパーバイザー(SV)・星敬太郎さんの対談シリーズ第5回として、このたびホームケア土屋東海のブロックマネージャー(BM)・竹内利文さんをゲストにお迎えしました。
竹内さんは2027年11月からホームケア土屋のサブゼネラルマネージャーに就任し、星さんは障がい福祉事業部の部長となられたため、本シリーズは今回が最終回となります。
第一部では「竹内BMの強み」「未経験からの人財登用基準」「理想の上司像」をテーマにお話しいただきます。
それでは星さん、よろしくお願いいたします。
星SVから見た竹内BMの強み
—圧倒的な管理能力と、心理的距離を縮める「雑談力」—



本日は最終回にご参加いただいて、ありがとうございます。
竹内さんが硬いような気もしますが(笑)、竹内さんからのご質問から始めましょうか。



はい、緊張しております(笑)。
早速ですが、マネージャーとして、私は星さんからどのように見えていますでしょうか?



ホームケア土屋で「常勤稼働率を最も高く推移させ、維持する人」に見えていますね。
それが個性なのか、マネジメントで大切にしている部分なのか、その背景までは分かりかねますが、組織の管理能力はトップクラスだと思っています。
良い悪いはともかく、私よりも管理能力が高い人だなと。
もう一つ特徴を挙げるとすれば、食事などで直接お会いした際に、一切仕事の話をしないところです。
私の周りでは珍しいタイプですね。
以前、コンプライアンスの整備が必要な、非常にタフな状況でお会いした時も、二人で仕事の話はほとんどせず、キックボクシングの話をしていましたね(笑)。
私はその逆で、仕事仲間と会うと、意識していてもほとんど仕事の話になるので、面白みがないというか。
そういう意味では取り入れたい部分ですね。



ZoomなどのオンラインMTGで、仕事の話はお腹いっぱいになっている部分があるので、せっかく対面でお会いした時は、普段お話しできないことをお聞きしている気はします。
完全に無意識ですが。



なるほど、無意識なんですね。
雑談力は組織運営でも大事だと思っていますし、仕事の話しかできない私にとっては、竹内さんの雑談力はかなり魅力に感じる部分ですね。
雑談を通じて距離感を縮められたり、プラスの効果があると思うんですが、私自身は怖く見られて距離を置かれがちなので(笑)



いえいえ(笑)。
星さんが出向かなければいけない時は、状況が良くないことが多いはずなので、そこで星さんが雑談されると空気感が揺らいでしまう気もします。
だからこそ直接お会いした時に、我々のほうで星さんに雑談をしていただけるような場を提供しなければと感じます。



いえいえ、それはこちらから作らなければいけないところですけどね(笑)。
業界未経験からのマネジメントと人財登用の基準
—「選球眼」と「理念共感」で見極める組織づくり—



ありがとうございます。
もう一つお聞きしたかったのが、業界未経験からの組織マネジメントについてです。
「未経験者でも土屋でマネージャーとして活躍できるのか?」と自問する方々の判断材料になるようなお話を伺いたいです。



竹内さんのようなブロックマネージャー(BM)クラスであれば、業界経験の有無はマネジメントする上であまり関係がないと思っています。
事業所の管理者であれば、アテンダントと直接関わり、その内容もクライアントの支援に直結するので介護経験があった方が有利な場面もありますし、私も自分の経験をお伝えすることで説得力を持てたこともあります。
ただ、レイヤーが上がってBMになると、求められるマネジメントの要素がかなり変わるので、経験の有無はほとんど影響しないと思いますね。
もっとも、私も土屋に入社する前は、高齢者介護の経験こそありましたが、障害福祉の経験はほぼなく、重度訪問介護も初めてだったので、介護経験として一括りにもできないとは思いますが。



ありがとうございます。
我々も管理者やコーディネーター候補を選定する際、どうしても経験者に目が行きがちで、一定のフィルターをかけてしまっていることもあります。
経験者でない場合、突出して人柄が良いなどの目立つ要素がないと、あまり表に出てくることがないように思います。
一般アテンダントの方々とまんべんなくコミュニケーションを取りきれてない部分もあるので、どうしても経験者から吸い上げてしまい、結果的に、人材を探しきれていない部分があると感じています。



コーディネーターや管理者に昇進していく上で、経験の有無は基準の一つとしてあってもいいとは思うんですが、他の基準に勝るものであってはいけないと思いますよね。
私の場合は、介護経験の有無を他の判断基準より優先することはないかなと。
介護経験があれば即戦力にはなりがちですが、職位が上がっていくにつれて現場のプレイヤー力は薄れていくじゃないですか。
「名プレイヤーじゃなくてもいい、名マネージャーであればいい」わけなので。
竹内さんが雑談力という得意分野を生かして、アテンダントとコミュニケーションを取っていけば、介護経験の有無以外の判断材料が見えてくると思います。



そうですね。
ただ、現場では物理的に全アテンダントと直接関わるのが難しく、どうしても各事業所の管理者に「一番見ているのは皆さんなので、候補者を挙げてください」と頼んで、そこから吸い上げてしまう流れになっているんですね……。
それに実は以前、管理者の交代が続いた事業所がありました。
前任者に推薦していただいて、面談後に着任してもらったものの、1~2ヶ月でリタイア。
で、次の候補者も短期間でリタイアしたことがあったんです。
「こんなに大変だと思わなかったから」と。
他に選択肢がないからという一番よろしくない選び方をしてしまったのもありますが、我々に候補者を見抜く力、いわば「選球眼」が足りなかったと痛感しました。
その失敗を繰り返さないためにも、選球眼をもっと鍛えたいと。



難しいですよね。
一度辞退してしまったからといって不正解とも言い切れないかもしれないですし。
本人にとっても我々にとっても経験になりますしね。
ただ、大谷翔平選手も最初からスーパースターじゃなく、資質や努力する才能はもちろんあるでしょうが、そう育てたところが一部あると思います。
選んだ時の段階で「この人が正解だ」と思わずに、選んだ後にどう育てるか、どう環境を整えるかに目を向けることも必要だとは思いますね。



なるほど。星さんが考える「介護経験以外の基準」とは何でしょうか?



一番大切なのは「会社や組織と同じ方向を向いているかどうか」だと思うんですよね。
短期的な視点だと「今すぐ管理者を配置しなければ」と焦って判断が変わるかもしれないですが、中長期的に見れば見るほど、現場の実力よりも「理念に共感しているか」が重要だと思いますね。
たとえば「理念やバリューの体現コンテスト」を開催して、文章でもスピーチでも「私はこの理念に共感してこんな取り組みをしています」と自己申告できる場を作るのはどうでしょうか。
そうした介護経験以外の基準を設けた昇進システムを作るといいと思うんですが、サブゼネラルマネージャーとして、この取り組みをホームケアに導入していただけませんか?



実は今まさにそれに取り組んでいるんです。
各ブロックで毎月バリュー共有会を行っているんですが、ただ参加者が固定化してきてしまっているんですね。
人前で話すのが苦手な方もいるので、「文章でもいいから出してもらう」というのはすごく良いですね。
それで考え方が分かれば、新たなリーダー候補が生まれてくるかもしれないですし、提出してくれる方は意識が高いと思いますので、強制でなく任意で、早速やってみたいと思います。



いいじゃないですか。大事なことは、その人を知ることだと思うので。
星SV・竹内BMが考える「理想の上司像」
—「配慮」を超える「関心」と、弱さを認められる強さ—



星さんの考える「理想の上司」とは、どのようなものなのでしょうか?



難しいですね。
いくつか挙げますが、一つは「組織上、部下にあたる方々に関心を持つこと」ですね。
あくまでも私が理想とする上司の話ですが、部下の方々の仕事量のバランスや成長はもちろん、「どんな思考の持ち主なのか」、「社内で将来どう活躍したいか」に関心を持つ。
ほかにもご家族のことや、「今の職位で給与は足りているか」まで、さりげなく聴けることも大切だと思います。
もっとも、関心が湧かない場合も多いですけど (笑)。
私自身が心がけているのは「透明性と一貫性を持つこと」です。
組織の方向性が月単位で変わることもある中で、判断基準を明確に示して、気分で変えたりせずに一貫性のある態度を取ることは心がけていますし、理想でもあると思いますよね。
他にも色々ありますが、もう一つ挙げるなら、「自分の弱さを認められること」でしょうか。
昇進したばかりの時は、「自分がその職位に合ってないんじゃないか。
役割を果たせてないんじゃないか」と感じると、つい自分を大きく見せようとしてしまいがちですが、反対に、自分の弱い部分を自己開示できる人の方が格好いいと思いますね。
ちなみに竹内さんはどうですか?



星さんが仰る「一貫性」は非常に重要だと思います。
あと、「部下の方への気配り」ですよね。
重度訪問介護という仕事上、直接お会いすることがなかなかないので、万遍なく色んな方と接点を持つことは難しいですが、社員本人だけではなく、ご家族のことまで気配りができる方は周りから信頼されると感じます。
「弱さを認める」というのは、星さんは体現されていると思います。



本当ですか? 強く怖く見えていませんか?



強くもあり、弱くもあるというか……星さんって涙腺が弱いじゃないですか(笑)。



大体1週間に2回は泣いてますね(笑)。



私も涙腺が弱くて、結構もらい泣きしてるんです。
でもそれを皆の前で見せられるのは格好いいと思います。



コントロールできないんですよ。感情移入してしまい…情けないです。



でもそこは星さんの優しさだと思います。



いやいや。
先ほどの「部下への気配り」の話に戻ると、上司は配慮も必要だと思いますが、そこを超えるような「関心」が大切ですよね。
例えば私たちには人員配置の権限があるので、時に遠方への異動をお願いする場合もあります。
自宅から離れて社宅に入ってもらうこともある中で、配置を終えて、その方が異動先で業務をこなせていれば私たちの役割も終了のように見えますが、権限を発動して異動していただいた以上、家族や自宅から離れて頑張っている方に関心を持たないのはアウトだと思うんです。
「いつになったら自宅に戻れるのか、家族の元に戻れるのか」まで考えるのが私たちの業務だと思うので。
そういう風に頑張ってくれている人を思い出すと……(涙ぐむ)……こういうことが大体毎週あるんですよね(笑涙)。
今もホームケア土屋和歌山南の事業所にいますが、ここにもお子さんと離れて、遠方から異動してきてくれた方がいます。
いつ家族のもとに帰してあげられるか、というところもあるので、必ず毎月来てるんですが……(涙)
そういう意味で、部下に関心を持つことは大事だと思うんですよね。



そういう星さんを見て、「なんとかしなきゃ」って思うんですよね。
私から見た理想の上司は、星さんっていうのもありますので。



慈悲深くて熱いリーダーですよね。
現場への想いが非常に胸に迫るお話でした。
では、第一部はこれにて終了し、続く第二部では東海ブロックが叩き出す「常勤稼働率98%以上」の秘密と、属人性を排した「組織の仕組み化」について深く伺っていきます。
第2部はこちらからご覧ください。














