医療的ケア児と両親の関係。在宅介護の現状ときょうだい児の問題。必要な打開策とは。

医療的ケア児と両親の関係。在宅介護の現状ときょうだい児の問題。必要な打開策とは。

医療機器や医療処置を必要としていながらも、病院ではなく自宅での生活を続けているのが医療的ケア児です。

医療的ケア児は年々増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると2021年時点で日本には約2万人の医療的ケア児がいると推計されています。

医療的ケア児を自宅で主にサポートしているのは、両親です。

また医療的ケア児がいる家庭では、両親が医療的ケア児の世話に忙しく、兄弟にかかる負担が大きくなる傾向にあることも問題になっています。

今回は医療的ケア児の介護に関わる両親、そしてきょうだい児という社会問題について解説してまいります。

【参照】医療的ケア児について(厚生労働省)

目次

医療的ケア児が必要としているサポート

医療的ケア児は、人工呼吸器や胃ろうなどに代表される医療デバイスを常用していたり、たんの吸引や経管栄養といった医療処置が必要な0歳〜18歳の児童です。

近年医療的ケア児が増加傾向にある要因として、周産期における医療技術の発達が挙げられます。

胎児期の疾患や出産時のトラブル、また新生児期のり患などによって従来の医療技術では救うことのできなかった命を救うことができる環境が整いつつある現代では、助かった命をつなぐために医療的ケアを必要とするクライアントの数も増えつつあるのです。

医療的ケア児は、基本的に両親を主たる介護者として自宅で暮しています。

それぞれのクライアントによって必要な医療デバイスの管理や医療措置を行うのが、両親の役目になってきます。

医療的ケア児の介護

医療的ケア児は医療的ケアの他にも、日常において様々な介護を必要としています。

医療的ケア児の多くは知的な障害や身体障害を患っているわけではありませんが、例えば人工呼吸器を使用しているクライアントであれば激しい運動を禁止されていたり、少しの動作で息切れを感じたりと、行動に制限がかかりやすくなります。

また経管栄養を胃ろうなどの管が身体に装着されていることにより、排泄や入浴、着替えなどが1人では困難なケースもあります。

そのため医療的ケア児が日常生活を送る上では、様々な困りごとに対する介護や常時の見守りを欠かすことができないのです。

医療的ケア児の集団生活

医療的ケア児の介護を考えるなかでは、集団生活との関係性も非常に重要になってきます。

18歳未満の児童は集団生活のなかで様々な経験をしながら成長を遂げる時期ですが、特に未就学の医療的ケア児を受け入れる幼稚園や保育園、また児童福祉施設などは十分とはいえない状況です。

医療的ケア児の社会生活に対する法整備は年々進みつつありますが、実際には入園を断られたり、場合によっては「お母さんが付き添ってくれるのなら登園してもいいですよ」と対応されたりするケースが相次いでいます。

そのため医療的ケア児を介護する両親からは、24時間体制での介護に加えて、社会性の発達に関しても不安な気持ちを抱いているとの声が寄せられています。

医療的ケア児と家族

医療的ケア児の増加と医療的ケア児を受け入れる社会体制の不足により、医療的ケア児と家族の関係は非常に複雑化しています。

現状では主にどのような課題が問題視されているのでしょうか。

医療的ケア児と両親

先ほどご説明した通り、医療的ケア児を主にサポートしているのは両親です。

医療的ケア児の両親は、医療従事者でなくとも医療的ケアを行う必要があり、子の命に関わる医療的ケアを行う重責にさいなまれています。

24時間体制で医療的ケアや介護を行いながら、その他の家事を行うことで肉体的にも非常に負担が大きく、慢性的な寝不足を感じている方も少なくありません。

特に現代の日本においては医療的ケア児のサポートを担当するのは母親である家庭が多く、キャリアや就労を諦めざるをえない女性が社会問題となっています。

医療的ケア児ときょうだい児

皆さんは「きょうだい児」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

きょうだい児は、障害などを理由に介護を必要とする兄弟がいることによって、孤独感を感じていたり、時には直接的に介護を手伝う必要があることで精神的や肉体的に負担を抱えている18歳未満の児童のことです。

医療的ケア児がいる家庭においても両親が介護に忙しいことを理由に、兄弟が家族の行事参加や外出を諦めたり、自分の気持ちを押し殺していい子を演じたりと、心に大きな負担を感じながら過ごしているケースがあります。

医療的ケア児と家族のために

医療的ケア児と両親、そしてきょうだい児に関する課題を解決していくためには、社会全体で医療的ケア児の存在を受け入れ、今以上の介護や看護の提供体制を充実させていく必要があります。

現在厚生労働省では、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行によって医療的ケア児や両親、きょうだい児にとって今よりも暮らしやすい社会の実現を目指しています。

具体的には保育所や学校における医療的ケア児の受け入れ体制の拡充、相談体制の拡充、そして都道府県ごとの医療的ケア児支援センターの設置などを定めています。

また医療的ケア児等コーディネーター等育成研修の実施を通して、医療的ケア児に対する正しい知識を持ち、適格な対応をとることのできるアテンダントの育成を奨励しています。

特に医療的ケア児に対する知見のあるアテンダントの絶対数が不足している現況においては、医療的ケア児に対する支援策の地域格差をなくすためにも、研修に対するニーズは非常に高いものとなっています。

【参照】医療的ケア児等とその家族に対する支援施策(厚生労働省)

医療的ケア児と両親、きょうだい児が等しく尊重される社会の実現に必要な介護の拡充を目指して

医療的ケア児とその家族を取りまく現状と、今後の社会的課題についてご紹介してまいりました。

医療的ケア児は2005年に1万人と推計されていましたが、17年あまりでその数は2倍となり、今後も医療技術が発展しつづける限り、その数は増え続けると予想されています。

社会にとって大切な命である医療的ケア児に対する介護体制の充実と、両親やきょうだい児をサポートするための仕組みは、早急に制度整備を行うべき社会課題の1つです。

介護のリーディングカンパニーである株式会社土屋グループは、今後も医療的ケア児のと両親、きょうだい児、ひいては介護に関係する全ての方々の意思が尊重される社会の実現を目指して、今後も挑戦を続けます。

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