重度訪問介護のアテンダントとして働くうえで、「これはやってもいいの?」と迷う場面は少なくありません。良かれと思ってした支援が、実は制度上できないことだった——そんな取り違えを防ぐために、「してはいけないこと」を根拠とあわせて押さえておきましょう。
この記事は、現役のアテンダントや、これから重度訪問介護で働きたい方に向けたものです。身体介護・家事援助・外出の場面ごとに、何が禁止で、なぜ禁止なのかを整理します。利用者・ご家族の目線で「ヘルパーに頼めること・頼めないこと」を知りたい方は、重度訪問介護とは?対象・できること・費用をやさしく解説もあわせてご覧ください。
結論|禁止は大きく3つの考え方で整理できる
細かな禁止事項を丸暗記するより、この3つの考え方を押さえておくと、現場で迷ったときの判断軸になります。以下、身体介護・家事援助・外出の場面ごとに具体例と根拠を見ていきます。
身体介護でしてはいけないこと
- 散髪、カミソリを使った髭剃り(理容師法に抵触するおそれ。整容は電気シェーバーで行います)
- 薬の仕分けや量の調整といった服薬の管理(医師・看護師などが担います。声かけや見守りの範囲は事業所に確認を)
- 喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケア(資格・登録がない状態では行えません。くわしくは後述)
これらは「ホームケア土屋だから」ではなく、医師法や理容師法といった法律にもとづく全国共通のルールです。良かれと思っても、資格のない行為に手を出さないことが、ご本人とアテンダント自身を守ります。
家事援助でしてはいけないこと
できる(ご本人のための家事)
- ご本人の食事の調理
- ご本人の洗濯
- ご本人の居室の掃除
- ご本人の生活必需品の買い物
できない(ご本人向けではない家事)
- ご家族の分の調理・洗濯
- 家族と共用する場所の掃除
- ご本人が不在のときの家事
- 庭木の手入れ・ペットの世話・来客対応など
判断の軸は「それはご本人の生活に必要な支援か」です。家族の分や共用部分は、家族の有無にかかわらず対象外になります。手の込んだ特別な料理など、日常生活に必須とは言えない内容も対象外です(介護食であるとろみ食やミキサー食は、ご本人に必要な調理として行えます)。
外出・移動でしてはいけないこと
厚生労働省の告示(第523号)では、重度訪問介護の対象となる外出から「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」を除くと定めています。これにより、次のような外出は対象外です。
- 通勤・通学・通所(仕事や学業に向かう移動)
- 営業活動など、経済活動にともなう外出
- 毎日決まって繰り返すような、通年かつ長期にわたる外出
- ギャンブルや飲酒を主な目的とするなど、社会通念上ふさわしくないとされる外出
一方で、通院や買い物、旅行への付き添いは対象です。なお、就労中や通学の支援については、自治体ごとの任意事業である「重度障害者等就労支援特別事業」などで補う仕組みもあります。この外出制限のあり方は現在も見直しが議論されている領域です。
判断に迷う「グレーゾーン」と自治体差
たとえば医療行為や散髪は、法律に抵触するため全国どこでも行えません。一方で、家事や外出の細かな範囲は、隣接する自治体でも「重度訪問介護で行ってよいか」の判断が分かれることがあります。
また、「見守りはしてはいけない」と誤解されることがありますが、見守りは重度訪問介護の正当な支援です。長時間の見守りを含めて切れ目なく支えることが、この制度の前提だからです。迷う場面では、思い込みで動かず、サービス提供地域のルールをそのつど確認することが、適切な支援につながります。
医療的ケアは資格がなければ「してはいけない」
無資格・無登録の状態で医療的ケアを行うことはできませんが、重度訪問介護従業者養成研修の「統合課程」(喀痰吸引等研修の第3号研修を含む)を修了し、認定と事業者登録を経れば、特定のクライアントに対して喀痰吸引などを行えるようになります。
人工呼吸器を使う方や胃ろうのある方の在宅生活を支えるうえで、医療的ケアは欠かせない技能です。「できないこと」を正しく理解したうえで、必要な資格を取得して「できること」を広げていくのが、アテンダントとしてのステップアップになります。研修の中身は統合課程のカリキュラムと費用で確認できます。
重度訪問介護で働く・資格を取るなら
「してはいけないこと」を正しく押さえたら、次は「できること」を増やす番です。土屋ケアカレッジなら、未経験から統合課程まで学べます。働き方や仕事内容を知りたい方は、採用サイトやオンライン説明会もご覧ください。
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