介護観とは?自分だけの介護観を持つべき理由と見つけ方を解説
介護をはじめ仕事をするうえで仕事の目的・意義をどう考えるかはとても大切です。
仕事に対する価値観のことを「仕事観」といいますが、特に介護に対する価値観のことを「介護観」といいます。アテンダントは介護に対する意義や目的を持つことでより良い介護をクライアントに提供することができます。
「あなたにとって介護とは」と聞かれたときにどのように答えるのか一緒に考えていきましょう。
介護観とは
介護観とは、介護に従事する中で自分自身が心がけていることです。
アテンダント(介護者)が留意すべきことは多くありますが、その中でも重視していることを指します。介護観は、アテンダントにより様々です。
なぜ介護観が大切なのか
介護観については面接でよく聞かれやすい質問ですが、なぜ介護観が働くうえで大切であるのか掘り下げてみましょう。
介護の質を向上させる
介護観はアテンダントの介護に対する価値観であり、アテンダントの介護観はクライアントに対する仕事ぶりに反映されます。アテンダント一人ひとりが自分の介護観を持つということは介護の質を高めることに繋がるといえるでしょう。
質の高い介護とはクライアントが自分らしい生活を快適にできるような介護のことです。
質の高い介護を提供するには、アテンダントが真剣に仕事に取り組まなければなりません。
介護観を考えることによって、アテンダントは仕事と向き合い、仕事に対する考えの軸が生まれます。
モチベーションを向上させる
介護観を持つことで仕事のモチベーションが向上します。
介護職はクライアントの日常生活の介助など体力が求められる場面が数多くあります。介護がしんどいなと感じた時でも、介護観をしっかり持っていれば、初心に立ち返って仕事に取り組めます。
モチベーションの向上により介護の質を高めることもできるでしょう。
長く働く理由になる
人生において仕事の割合は2~3割を占めています。アテンダントとして働くにあたって介護観は長く働き続けるためにも重要です。
アテンダントにおいてその2~3割を有意義なものにするかどうかは介護観をどのように持っているかということに繋がるでしょう。
また長く働くことでアテンダントのスキルアップやキャリア形成などのメリットもあります。
介護観の見つけ方
介護観を持つ大切さやアテンダントとしての役割などを解説してきましたが、ここからは自分の介護観をどうやって見つけていくのかについてご紹介します。
介護の基本方針を知る
介護の基本方針とは「アテンダントが介護するときの方向性」ともいえます。
介護未経験の方だと、現在どんな介護が求められているのかを捉えることが難しいのではないでしょうか。介護はチームワークであるため、方向性が定まっていないと個々の動きがばらばらになってしまいます。逆にいえば介護の基本方針を理解することでクライアントに対してより良い介護を提供できるでしょう。
まず、介護観を考えるにあたってベースとなる国が定めた介護の基本方針について見てみましょう。介護保険制度において国は以下の3点を基本方針とし、基本方針に則って介護事業を展開するよう定めています。
・自立支援
アテンダントはクライアントの身の回りの世話をするだけでなく、クライアント自身が自立できるようサポートをすること。
・利用者本位
クライアントの選択により、多種多様な保険医療・福祉サービスを受けられる制度であること。
・社会保険方式
保険医療・福祉サービスなどの給付と給付に対する負担の関係は明確な社会保険方式であること。
以上3点は国が定める基本方針です。国の基本方針から、施設ごとの理念や方針が細分化されています。
所属している施設の理念や方針を確認し、自分の介護観につなげてみましょう。
アテンダントの役割を考える
アテンダントとしてクライアントにどのような介護を提供できるでしょうか。
時代ごとに介護に求めるものは変わってきます。現在の社会状況や人々の考え方を踏まえ、日本介護福祉会ではアテンダントの役割を次のように取りまとめています。
- 尊厳と自立を支えるケアを実践する
- 専門職として自律的に介護過程の展開ができる
- 身体的な支援だけでなく、心理的・社会的支援も展開できる
- 介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応し、本人や家族等のエンパワメントを重視した支援ができる
- QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って、介護予防からリハビリテーション、看取りまで、対象者の状態の変化に対応できる
- 地域の中で、施設・在宅にかかわらず、本人が望む生活を支えることができる
- 関連領域の基本的なことを理解し、多職種協働によるチームケアを実践する
- 本人や家族、チームに対するコミュニケーションや、的確な記録・記述ができる
- 制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる
- 介護職の中で中核的な役割を担う
アテンダントに求められる役割についてまとめると、アテンダントの仕事は、食事・入浴・排泄などの日常動作の介助やクライアントの体の状態や興味に合わせたレクリエーションなどを行います。
日常生活やレクリエーションを通してアテンダントに自分らしさを感じてもらい、QOLの向上に繋げることも重要な業務といえます。
また、業務中の事故やトラブルを防止するために、クライアントのご家族や施設職員とのコミュニケーションも大切です。
アテンダントはクライアントの生活目標に対して、周りと協力しながら目標を達成できるよう手助けする役割を担っています。
自己分析をする
介護観を見つけるには、自己分析をして自分自身が介護についてどう思っているのかを洗い出していきます。
例えば「自分にとって介護とはなにか」「何のために介護をするのか」などを考えてみましょう。
もし、自分自身が介護についてどう思うのかが明確でない場合は、介護のやりがいについて考えることも有効です。介護はクライアントや他のアテンダントとの関わり合いの中でたくさんの感謝が生まれる仕事です。感謝される場面を思い描きながら、やりがいや介護観に繋げてみましょう。
他のアテンダントの介護観を吸収する
日常業務の中で他のアテンダントの介護観について触れる機会があれば聞いてみましょう。
介護観は一人ひとり違うため、他のアテンダントの介護観が自分の介護観を見つけるヒントになります。いろんな話を聞くうちに、共感できること・できないことがはっきりして介護観を理解するきっかけになるでしょう。
働きながら見つける
未経験で介護職にチャレンジする方だと、働く前に介護観を見つけるというのはなかなか難しいかもしれません。
自己分析によって洗い出された介護観を、働きながら高めていくことも良い方法の1つです。介護をする中で自分が大切にしたいことを見つけていきましょう。
【参考】厚生労働省「介護保険とは」
自分らしい介護観を見つけていきましょう
今回は、介護観がなぜ大切なのかということから、介護観の見つけ方について解説してきました。
介護観は介護をするうえで大切な価値観です。介護観という軸があればアテンダントの介護の質が上がります。
介護に求められていることをしっかりと理解し、自分の介護観と照らし合わせてみましょう。