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介護難民とは?日本の課題と対策は?介護難民にならないためにできる3つのこと

介護難民とは?日本の課題と対策は?介護難民にならないためにできる3つのこと

介護難民とは?日本の課題と対策は?介護難民にならないためにできる3つのこと

第一次ベビーブーム世代で生まれた団塊の世代の人々は現在70歳を超えており、介護サービスの需要に対して、供給が追いつかない状況です。

介護サービスを受けたくても受けられない人々は「介護難民」と呼ばれ、介護難民は現在の介護における大きな問題となっています。

今回は日本の課題や対策と今日から自分でできる対策を詳しく説明します。

介護難民とは

介護難民とは介護を受けたくても受けられない人のことです。

日本では高齢化に伴い、介護が必要な人が増えています。ご家庭のみで介護をするのには限界があり、介護サービスを活用する必要があります。

しかし、日本ではサポートする介護人材(アテンダント)や介護施設が不足している状況です。介護の需要に対し、供給が追いつかず、介護難民が増えています。

介護難民に関する日本の課題

日本において介護難民は増加傾向にあり、深刻な問題となっています。

介護難民の増加を防ぐためにも、課題を見つけて対策しようという動きが活発になっています。

実際、日本では介護難民に関して様々な課題が見つかっています。

日本における介護難民の課題は大きく分けて4つです。それぞれ見ていきましょう。

シニア層の増加

まず1つ目はシニア(高齢者)層が急激に増加していることです。現在の日本は少子高齢社会であり、日本の人口に占めるシニアの割合は増加傾向です。

第一次ベビーブーム世代で生まれた団塊の世代の人々は2025年に75歳を迎えます。さらに、第二次ベビーブームで生まれた団塊ジュニア世代の人々は2042年に65歳を迎え、さらにシニア層の割合が増加します。

高齢になると、体や脳の機能が衰えたり、病気にかかったりする人が増えるため、自立して生活を送ることが難しくなります。自立した生活が送れなくなった人をサポートするために、介護が必要になるのです。

シニア層はこれからも増加することが予想されるため、介護が必要な人も増えると考えられています。

アテンダントの不足

介護が必要になるとご家庭だけで支えるのには限界があり、アテンダントのサポートが必要になります。

介護難民の増加は、単なる介護の需要増加だけでなく、アテンダント不足も合わせて原因になっています。日本では介護が必要な人が増えているのに、サポートしてくれるアテンダントが少ないのです。

アテンダントが不足する要因としては、仕事量の負担に対して支払われる給与が低いことが挙げられます。

介護施設の不足

アテンダント不足と同様に介護難民問題の課題として指摘されているのが、介護施設の不足です。

介護をご家庭だけで担うのは負担になるため、介護施設や介護施設が行っている介護サービスが必要です。介護施設が不足すると、必要なときに適切な介護サービスを受けられなくなってしまいます。

高齢者の増加に伴い、介護施設の利用率も上がることが予測されるため、さらに介護施設が不足するといわれています。

介護に必要な資金の不足

シニア層の多くが体や脳の衰えから、仕事を退職しますが、退職後は年金をもとに生活する人が多いです。シニア層の収入は働いていた時と比べて低く、中には生活費が足りていないシニア層もいます。生活費が不足することで、介護に必要な資金も不足し、介護サービスを受けられない人が出てくるのです。

また、思いがけない病気や事故により、早い段階で介護が必要になることもあります。介護が必要な年数が長いほど、多くの資金が必要です。予想以上の資金が必要になり、資金が途中で底をつきてしまうこともあります。 

途中で資金が足りなくなると、有料のサポートは利用できなくなり、老人ホームの退所などの措置をとらなければならなくなります。

日本の対策

アテンダント・介護施設の不足や介護資金の不足により介護難民は増加傾向にあります。今後も介護難民の増加が予想されるため、早いうちに対策を取らなければなりません。

現在、日本では介護難民の増加を受けて、国や地方で介護難民の防止に向けた対策が取られています。日本が行っている対策を3つご紹介します。

都市部から地方への移住サポート

現在、都市部ではクライアントが多く、介護需要が高まっています。しかし、介護サービスの供給が追いつかず、中にはサポートを受けることができずに介護難民になる人もいます。

一方で地方では余裕があり、介護サービスの供給が十分されているところが多いです。都市部のシニア層の中には、介護サービスを利用するために、地方への移住を希望する人もいます。

地方へ移住を希望するシニアをサポートするため、移住先の自治体の財源確保や介護体制強化などの対策が取られています。制度の活用により、金銭的な負担まで抑えられるという点は、クライアントにとっても魅力的です。

例えば、北海道伊達市では、シニア層が安全で快適に暮らせる「安心ハウス」や自動車運転が困難な人のための「乗り合いタクシー」などが導入されています。

ロボットを介護現場に導入

介護現場では、介護ロボットが導入されています。

介護ロボットは、介護における様々な場面を想定して作られたロボットです。

制御・判断する知能を持ち合わせたロボットは、感知した情報に合わせて動作し、介護現場のあらゆる場面においてアテンダントの負担を軽減できます。

導入が進めば、介護現場での人手不足も解消できるのではないかと注目を浴びています。

介護施設だけではなく、在宅生活でも役立ち、クライアントの自立支援にも繋がるでしょう。

アテンダントの代わりにロボットが行えるサポートは、入浴・排せつ・移動などです。また、身体介護のみならず、認知症患者の見守りやコミュニケーションにも役立てるよう開発が進められています。

様々なサポートを通して、情報をまとめて今後のサポートに活用できる新たな機器の開発も期待されています。

【参考】介護ロボットの開発支援について(厚生労働省)

アテンダントの負担軽減・給与アップ

アテンダント不足を解消し、アテンダントを増加させるために日本では以下の対策をとっています。

  • 労働負担の軽減
  • 給与を上げる
  • 有給休暇の取得推奨
  • 介護未経験者に向けたイベントの開催
  • 労働環境の改善
  • 外国人アテンダントの支援

介護現場ではアテンダントの負担が大きく時間外労働もあるため、働き方の見直しが特に進められています。労働負担の軽減をはじめ、給与を上げたり有給休暇を取得しやすいよう整備したりと、長く働ける職場づくりをしています。

また、新しいアテンダントの確保にも精力的です。イベントや研修を通して介護未経験者に介護の仕事の良さを広め、介護職員を増やそうという取り組みが行われています。日本で介護職員として働きたいという外国人のために、介護福祉士国家資格を取得しやすいルートの設置などの支援も始まっています。 

介護難民にならないための対策

介護難民になってしまうと、アテンダントのサポートなしに自力で生活しなければなりません。介護難民にならないためには、自分で対策することが大切です。今日からできる対策を3つご紹介します。

介護に必要な資金を貯める

介護サービスを受けるには費用が掛かります。高齢になり仕事を辞めると収入は低くなるため、高齢になってから資金を貯めようとするのは難しいです。

働いている間に貯金し、介護に必要な資金を貯めておくことが重要です。

介護に必要な資金は、家屋の改築などに約75万円、日々の生活に必要な介護サービスを受けるのに月々約8万円といわれています。介護が必要な期間は平均5年ほどといわれており、単純計算で平均約550万円必要になります。想定される年金などの収入額を引いて、貯蓄額を決めましょう。

介護に関する情報を得る

介護難民にならないためには、事前の情報収集が重要です。介護に必要な費用・施設・制度などあらかじめ介護に関する情報を得ましょう。介護が必要な時に知識が全くない状況では、サービスを受けるのが遅くなり、介護難民になる可能性が高くなります。予め知識を身に着けておくことで、正しい判断がしやすくなります。 

細かな介護サービスの決まりを覚えるのは大変なので、介護に困ったときの相談先を知っておくだけでも助けになるでしょう。

健康的な生活をする

介護難民になる人は介護が必要な人です。健康的で自立した生活ができていれば、介護難民にはなりません。

日頃から健康に気をつけた生活を送ることが重要です。ウォーキングやジョギングなどの運動や栄養バランスのよい食事をとるように心がけましょう。

介護を必要としない健康な体でいることで、介護が必要な期間を短くしたり、介護難民になる可能性を低くしたりすることができます。

資金不足で介護が受けられない場合は公的制度を利用しよう

介護資金が不足することが見込まれる場合や既に資金が不足している場合は、制度を利用しましょう。負担の軽減に繋がる制度や資金作りに有用な制度を紹介します。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、住まいを担保にお金を借りる制度です。不動産会社や銀行、社会福祉協議会で導入され始めています。

融資は借入の限度額の範囲内で受けられます。元金は、ご逝去後に担保に入れた物件を機関が売却して返済します。

ただし、金利の支払いは必要なので注意が必要です。

世帯分離

世帯分離とは、同じ住居に住んでいない家族の住民票を別にすることです。既に老人ホームへ入居している場合は、同居していた家族と世帯を分離できます。

世帯分離のメリットは、介護費用の負担額軽減です。介護保険の保険料などは世帯収入により負担額が決まります。別世帯にすることにより、配偶者や子どもの収入が含まれなくなり、負担軽減に繋がることがあります。

生活保護

どうしても資金が工面できず、最低限の生活も送れないと判断された場合は、生活保護の利用を検討しましょう。相談先は各自治体の福祉課です。条件を満たせば、生活保護を受けながら、介護サービスを利用できます。

自分でできる対策をはじめましょう

介護難民になってしまうと、生活が苦しくなり、普通の生活に戻るのが難しいです。介護難民にならないために、まずは自分の健康を維持したり、介護について詳しくなったりする必要があります。

自分でできる対策をはじめましょう。困ったときは、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

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