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居宅介護サービスとは違う?!重度訪問介護を実施するにあたってのルール

居宅介護サービスとは違う?!重度訪問介護を実施するにあたってのルール

居宅介護サービスとは違う?!重度訪問介護を実施するにあたってのルール

居宅介護サービスと重度訪問介護は、クライアントの自宅を訪問して行う介護サービスという点では共通しています。

しかし、居宅介護サービスは介護保険法、重度訪問介護は障害者総合支援法というように、制度上明確な違いが存在します。

アテンダントとして重度訪問介護の現場で働く場合、さらにはサービス提供の責任者として働く場合は、サービス内容だけでなく算定ルールなども把握していなければなりません。

重度訪問介護のルール

 居宅介護サービスとは異なる、重度訪問介護ならではのルールについて詳しく紹介していきます。

①対象者について

障害レベルや年齢など、重度訪問介護を利用できる対象者には条件が設けられています。

障害レベル

重度訪問介護のクライアント対象者は、認定調査にて障害区分4以上に区分される、重度の肢体不自由者であることが条件の一つです。

クライアントに多くみられる疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの難病、脳性麻痺、脊髄損傷、重度心身障害、強度行動障害などさまざまです。

その中で、障害区分4以上であることの他に、下記のような利用条件が設けられています。

  1. 麻痺などが左右の上下肢のうち二肢以上にある。
  2. 障害者支援区分の認定調査において歩行、移乗、排尿、排便のすべての項目が「支援が必要」という認定を受けている

知的障害・精神障害

重度の知的障害・精神障害の場合は『障害支援区分が4以上』だけでなく、障害支援区分の認定調査項目のうち『行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上ある』ことが、重度訪問介護を利用できる条件です。

ここで一つ注意しておきたいのが、重度訪問介護を知的障害・精神障害者がサービスとして利用する場合、事前アセスメントが必要になる、ということです。これは肢体不自由者と異なります。

【行動関連項目】以下12項目をそれぞれ0~3段階で点数評価したものを合計する。

コミュニケーション、説明の理解、大声・奇声を出す、異食行動、多動・行動停止、不安定な行動、自らを傷つける行為、他人を傷つける行為、不適切な行為、突発的な行動、過食・反すう等、てんかん発作の頻度(医師意見書による)

年齢制限

重度訪問介護を利用する際に定められているクライアントの年齢制限は、原則18歳以上の重度の肢体不自由者、知的障害者、精神障害者としています。

しかし、例外として、児童相談所長が必要性を認めた場合は、15歳以上の障害児も重度訪問介護を利用できるケースがあります。

また、日本では原則として65歳以上の介護保険対象者(ALSなど介護保険法における特定疾患の場合は40歳以上)に関しては、介護保険を使い切ることを優先するように定められています。

しかし、介護保険事業書の都合で対応困難とされる場合は、介護保険を使い切っていなかったとしても、障害福祉サービスである重度訪問介護の利用が認められます。 

②費用について

自己負担なし~月3万7200円を公的制度で利用できます。

所得ごとに自己負担額が異なる

重度訪問介護を利用する場合、原則として世帯収入が一定以上ある家庭は、最大で月に3万7200円ほど自己負担としてかかります。しかし、低所得と認められる場合は自己負担する必要がないため無料です。

もしも、介護保険と障害福祉サービスである重度訪問介護を併用する場合、自己負担額が合わせて上限である月3万7200円を超えた額については、償還手続きを市区町村で行うことで障害福祉から返金されます。

減免の対象は?

資産がなく、収入が生活保護基準よりも低い場合は減免が認められています。例えば年金収入の合計が夫婦二人で月15~20万円程度以下だった場合、全額免除が認められるケースがあります。

生活保護境界層減免申請を行うことにより、たとえ生活保護を申請するつもりがなくても、介護保険や障害福祉サービスの自己負担については減免が適応されるようになります。

他にも、利用できるような介護保険サービスに係る事業所が身近になかったり、事業所があっても利用定員に空きがなかったりなど、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを提供することが困難と市町村が判断するケースがあります。

その場合、訓練等給付費または介護給付費をそういった該当事情が解決するまで支給されるよう、国から定められています。

③利用可能な期間や時間は?

重度訪問介護の利用可能な期間は、およそ1年以内を範囲として、市区町村が定めた月を単位とした期間の利用が可能です。もちろん、それ以降も必要に応じた更新が認められています。 

1回あたりの介入時間についてさらに詳しくご紹介します。

1回あたりの介入時間

重度訪問介護のサービス提供時間については、原則として『1日3時間以上のサービス提供から始める』としています。

ただし『クライアントのさまざまな事情により、例外的に1日あたり1時間未満の支援になる場合や、1時間以上からの支援も認められる』と定められています。

居宅介護サービスでの支援は短時間であることが特色ですが、重度訪問介護の場合は、基本的に長時間の支援を提供することが求められています。

重度訪問介護は、柔軟に利用者の状況に合わせてサービスを提供することが認められているので、必要に応じて1日に複数回、細切れにサービスを組み込むことも可能です。

24時間の介護サービスを受けられる

居宅介護サービスなどの介護保険でのサービスは提供時間に制限があります。

短時間での提供しか認められておらず、多くはせいぜい1日2〜3時間程度のサービスしか受けることができません。

それに対して、重度訪問介護は障害福祉サービスに含まれる制度の一つであり、公的制度として介護サービスを24時間受けることが認められています。

介入してから次の支援介入までの時間

重度訪問介護は、一日のサービス提供を複数回に分けて行う場合に、介入から次の介入までの空白の時間についてフレキシブルに捉えて、柔軟にサービスを組むことを認めています。

訪問介護における2時間ルールとは

居宅介護サービスでは同一のクライアントに対し、一日複数回に分けて介入する際、介入から次の介入までの時間が2時間未満だった場合、それぞれの介入時間を合算して1回の介入分として介護報酬として算定する規定があります。

これを『2時間ルール』といいます。言い換えれば、介入分それぞれの介護報酬を算定するためには、介入から次の介入までの空白の時間は"2時間以上"設けなければならないということです。

それに対して重度訪問介護は、数ある訪問系障害福祉サービスの中で、唯一2時間ルールが設けられていません。

重度訪問介護の提供ルールについて知識を持とう

今回は、重度訪問介護を実施するにあたってのルールについて、居宅介護サービスとの違いに着目してご紹介しました。

重度訪問介護の現場で働くアテンダントとしても、サービス提供の責任者としても提供ルールについて知識を持つことは重要です。

自信をもってサービス提供できるように算定ルールなど把握して臨みましょう。

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