みなさま、こんにちは。
広報土づくり6月号は、拡大号として盛りだくさんの内容を発刊しております♪
●全盲の弁護士 大胡田誠先生が見る『重度訪問介護制度』
●ペコロス岡野先生の漫画☆連載開始!
●防災委員会からのお知らせ
●感染予防について
●第1回「シンビオシス フォーラム」リポート
●家族あるある etc…
今回はその中から、当社の顧問弁護士「大胡田誠先生」の素敵なお話しをレポートします!
全盲の弁護士
大胡田誠先生が見る重度訪問介護制度
【目が見えなくなって】
まずは本が読めなくなり、外を自由に歩くのが難しくなるなど、色々なことが不便になって大変だと感じました。
あとは、周りの目がとても気になりました。「あんなこともできないのか」と笑われてないか、「かわいそうに」と同情されてないかと思い、友達ともうまくコミュニケーションが取れなくなりました。
そこから次第に、自分は友達よりも劣った存在になってしまったという気持ちになりました。
何とかして見えるようになりたいと思い、小6の時にホウ酸が目薬の原料だと聞いて、理科の実験の残りをこっそり持ち帰って夜な夜な目に刷り込んで寝ていました(笑)。
当然、見えるようにならなかったんですが、この時は藁にもすがる気持ちで。視力を失って1、2年はずっとそんな思いが続いていました。
【前を向いた三つのきっかけ~両親と友人、そして本~】
大きかったのは、目が見えなくなった後も、両親の接し方が以前と変わらなかったことです。
母は、幼少期から「できることはなんでもやりなさい」と言っていて、見えなくなってからも、例えばリンゴの皮むきやアイロンがけとか、できることは全部自分でしてと。
山好きな父も、私が全盲になった後も富士山や乗鞍岳、色々な山に連れ出してくれました。
友人も同じで、一緒に買い物をしたり、バンド演奏をしたり、夜中に寮を抜け出して牛丼を食べに行ったり。そんな中で、目が見えなくても沢山のことができ、楽しめると分かってきました。
そして、中2で「ぶつかって、ぶつかって」という本に出会いました。全盲でありながら日本で初めて点字を使って弁護士になった竹下義樹先生の本です。それを読んで、自分の劣等感は思い過ごしだったのではないかと。
当時私は、日々色んな人生の壁にぶつかって大変でしたが、たまたまこの本に出会って、工夫や努力次第で壁は乗り越えられると分かりました。そこから私も将来弁護士になりたいと、憧れや希望を持てて、人生を前向きに捉えられるようになりました。
【必要とし、必要とされ】
私自身、障害があるので、日々、周囲からの手助けを受けている一方、弁護士として人のために働き、自分の中に助けられる側と助ける側の両面があると思います。
そして、自分が誰かを助けているときも、それによって実は自分が助けられているという思いが常にあります。
自分を必要としてくれて、頼ってくれる存在がいる。それによって自分を誇らしく思えるし、存在意義を感じます。それに元気になりますね。
ですから、助けられている側としても自分はただ色んなものを受け取っているだけではなく、自分がいることで、そして自分が誰かを必要とすることで、助ける側の人を逆に助けているという誇りや自信を持ってもいいと思います。
時には相手の想いや境遇を想像して、かけがえのない仲間だと感じられたら対立や衝突は起こらないと思います。
【人と人は鏡写し】
弁護士になりたての頃、お客さんは最初、私を全然信頼してくれませんでした。
「目が見えない弁護士だと不安だから、別の先生に変えてくれ」と言われたりして、どうして信頼してくれないんだろうと、色んな本を読んだり、先輩の弁護士に相談もしました。
そんな中で分かったのは、人と人の関係は「鏡写し」だということです。
相手に信頼してもらいたいと思ったら、まずは自分が相手を信頼する。相手に理解してもらいたければ、まずは相手を理解しようとする。
実際にそうすると、お客さんとの隔たりがなくなり、弁護士としての仕事もうまくいきました。自分から心を開く意識と姿勢が大切だと思います。
【障害者雇用における合理的配慮】
合理的配慮というのは、会社と障害者がお互いに配慮し合うことです。
会社側は可能な限り障害者の要望を聞き、障害社員も自分の要求が実現可能であるかを考えて具体的な提案をする。
こうしたやり取りがないと、合理的配慮は成り立ちません。「建設的な対話」がとても大切だと思います。
障害者の側からは、自分の障害のことや必要とする配慮、そしてその配慮があれば何ができるかを会社側に分かりやすく説明すること。
これを受けて会社側は、障害者が求める配慮が可能かどうか。もし、お金が多くかかるなどの事情があれば、何か別の手段はないか、というのを対話を通じて探っていく。そのプロセスが大切です。
【クライアントの皆さんへ】
去年から顧問弁護士として土屋に関わらせていただくことになりました。
自分も障害を持っている弁護士として、クライアントやアテンダントの皆さんが気持ちよく土屋のサービスを使ったり、働けるように力を尽くしたいです。
直接話を聞きたい、相談したいという場合は、ぜひご用命ください。