~重度訪問介護の他の障害福祉サービスや、それらと並行して存在する「介護保険法」のサービスについて~
『何気に、重度訪問介護と関わりが深くなる介護保険、なぜ深い関わりがあるの?』
(序)はじめに
皆さま御無沙汰しております。
晩秋となり、冬の足音が聞こえてきます。東北では、だいぶ寒くなってきました。
いつも、皆さまには、長文ながらこの記事を読んでいただき、誠にありがとうございます。
さて今回は、「障害福祉サービスの一つである重度訪問介護制度と、全く別な法律で定めてある介護保険制度が、意外に身近な存在になっている事」が、今回のテーマになります。
ただし、今回だけで、まとめきれない場合は、継続的に「サービスごとに基づくテーマ」あるいは、「事例的なケースごと」はたまた、「制度上の課題」などで区切りながら、様々な観点から、重度訪問介護制度との関わりも含めて、掲載していくことが出来れば良いなぁ、と考えております。
ですので、公的な支援制度上、どのように分類されるかどうかはともかく、「障害者が在宅で障害福祉サービス等を受けながら生活していくための他のサービス」などにも触れつつ、重度訪問介護制度との関係性やあり方とともに考えてゆくのが、今回以降のテーマになっていくと思われます。
(Ⅰ)これまでの「障害福祉サービスの基礎知識」の5回分のまとめと連載趣旨について
(1)これまでの5回分の「障害福祉サービスの基礎知識」の要点の、おさらい
●まず、「第1回目の障害福祉サービスの基礎知識」では、在宅か施設入所などを問わず、『障害福祉サービスの全種類(記載時による)』について、まとめてみました。一般的な、サービスごとの説明も記載してあります。
改めて見ると、まさに多種多様な障害福祉サービスが存在すると、驚かされます。
これからは、重度訪問介護制度との関わりの中で、ここに掲載されてあるサービスにも具体的に事例のような形で触れる場合があるかもしれません。
●その上で、「第2回目の障害福祉サービスの基礎知識」では、そのとてつもない多くの障害福祉サービスの中から「重度訪問介護制度」にスポットを当てて、同じ在宅系の障害福祉サービスの「居宅介護」と比較していきながら、重度訪問介護の特徴について、綴っていきました。
重ねて書きますが、「重度訪問介護の存在の源」とも言えるくらいの特徴が、「(様々な介助について)総合的に行うこと」であり、そのため「見守り等とともに」行う支援であるということが、大切であると、まとめつつ指摘させていただきました。
「継続的な長時間支援であること」や「入院時にも特にコミュニケーション支援を中心に利用出来ること」なども、大きな特徴でありますが、やはり「見守りとともに」であることと「日常的な総合的な支援であること」が、重度訪問介護の存在の高さを示している事は、何度も、肝に命じる必要があると、感じます。
●さらに、「第3回目の障害福祉サービスの基礎知識」では、障害者に対しての公的な支援制度の歴史を踏まえつつ、近現代の『障害者自立生活運動』に立脚した、現在の障害者支援制度の、いわば、「生い立ち」について、まとめました。
すなわち、現在の「重度訪問介護制度の成立に至る歴史」であります。
そのキーポイントは、「現存する公的介護制度の中で、重度訪問介護だけが、一般市民(ボランティア)の活動と、障害当事者の社会運動」によって形成されていった制度であるという点であります。
換言すれば、障害当事者を含む一般市民(ボランティア等)によって、作り上げられていった、「市民の力で確立されていた制度である」というところが、最重要点なわけであります。
この点が、例えば、現在の介護保険制度等との決定的な違いです。
この違いは、重度訪問介護制度において、支援して頂く方については、常に支援姿勢のどこかに刻みながら、行っていって欲しいと、私個人的には感じるところでもあります。障害当事者として…。
当然のことながら、支援を受ける障害当事者としても心得ておくべき事柄であると強く考えているところです。
●続いて、「第4回目の障害福祉サービスの基礎知識」では、重度訪問介護制度を中心に、障害者支援のために必要な資格について、まとめました。
「重度訪問介護」による支援が出来る資格だけで、10種類も存在するとは、これまた驚きです。ある意味、制度が充実していく歴史の重さを表しているとも言えるかもしれません。
と同時に、「喀痰吸引等の医療的ケア」に関する資格についても、まとめました。
中心的な資格としては、「重度訪問介護従業者養成研修統合課程修了資格」と「重度訪問介護による支援を行える他の資格および『いわゆる三号研修』」の二つの資格が、主に必要だというところです。
加えて、「重度訪問介護制度」における資格については、「 OJT (On the Job Training (オンザジョブトレーニング))」ということで、職場=現場での実務を通じて行う教育方法が、重視されるということについても触れました。
これもまた、重度訪問介護の現在のあり方に至るまでの歴史が強く影響していると言える証左でもあると思われます。
●そして直近の、「第5回目の障害福祉サービスの基礎知識」では、制度論を中心に、「重度訪問介護の支援の中で、『支援出来ること』あるいは『支援できない事』ついて、まとめてみる」ということを、綴ってみました。
これまでも、様々な場面で、重度訪問介護による支援自体は、「見守りなどとともに、重度障害者が日常生活を行うための総合的な支援」というような表現をしてきました。
これもまた、重度訪問介護制度の成立の沿革の歴史に起因しているのですが、例えば「外出における支援」も含めて、総合的に支援出来る制度です。
他方で、有名どころでの介護保険制度の場合は、原則は、「通院のため」もしくは「買い物」というように、ともすれば例外的な、ごく限られた場面でないと、公的支援制度で、外出することは、できません。
少なくとも、「障害者支援」の中で言うところの「同行援護」もしくは「行動援護」あるいは、各地方自治体を中心として行われる移動支援制度等の、障害者支援でのみ、移動や外出支援な公的制度で、存在するのみです。
フレキシブルに、柔軟な姿勢が行える「重度訪問介護制度」は、そういう意味では、外出についても基本ベースで行える支援になっているので、特筆すべきところです。
さらに、「第4回目の障害福祉サービスを基礎知識」のところでも触れましたが、資格の面が整えば、医療的ケアも行うことはできます。いわいる三号研修ですね。
とはいえ、詳細は第5回目のところで、皆々様に、読んで欲しいところではありますが、たとえ柔軟な重度訪問介護制度とはいえ、できない支援も、多少なりも存在します。そのような観点から、重度訪問介護制度を中心に、出来る支援やできない支援について、まとめてみました。
以上が、5回分の「障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)」のまとめです。
まずもって、それなりの期間をいただきながらも、5回分の連載をさせていただき、読者の皆様には、深く深く御礼申し上げたいと思います。
と同時に、様々な観点から、「基礎知識とはいえないのではないか?」と指摘されるような、踏み込んだ内容についても、記載されている部分が、少なくありません。ネット上に限らず、このような公的制度に関わる記事については、多分にして、様々なところで、
「本当に基本的な部分しか、記載のないもの」
というものも、少なくありません。それらはそれらで、必要な情報だと思いますし、簡潔にして明瞭で、基本的で、わかりやすいものであります。
しかしながら、簡潔明瞭な記事の場合、ともすれば、情報量が少なすぎる場合もありえます。
(2)「障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)」の連載趣旨=スタンスについて
この連載記事は、「障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)」と銘打っております。
だとすれば、本来であれば、「障害福祉サービス全体の観点から」様々な情報を、基本的な部分から、掲載していく必要があると思われます。
そしてそういったスタンスで、土屋のサイト内で連載を掲載する上では、その主力たる重度訪問介護制度について、多角的な目線から、掲載していく必要があると、筆者は考えました。
これまでの5回分でさえ、「重度訪問介護制度においては、基礎的な知識」であると、筆者は考えます。
応用的な部分は、ケーススタディーというか、事例検討を交えながら、掲載していく必要が、あると考えます。
あるいは、別な角度での応用面という意味では、重度訪問介護制度が抱える課題や諸問題について、考察していくというようなスタンスの掲載も、応用編としては、考えられ得るでしょう。
他の、多彩な記事や連載とは、一線を画するという意味でも、特色のあるものに、したかったという思いはあります。
しかしながら、「応用編というもの」が、仮に存在したとして、前述の通り、いくつかのスタンスでの応用編が、考えられ得ることができますが、「基礎知識」という観点から考えた場合、これまでの連載で、掲載している内容は、やはり基礎的な知識であると、筆者は考えます。
と同時に、「基礎中の基礎」については、特に重度訪問介護制度については、ひと区切りが、つきつつある状態なので、本来であれば、今回の段階で、読者の皆様からの質問等があれば、受け付けながら、回答していくことができれば、なお良いかなと、思う時もございます。
読者の皆様からの質問回答についての是非については、サイト運営者に、関わっている事なので、チャンスがあれば、できれば良いかなと、希望的観測を抱いております。
以上が、まずは、「障害福祉サービスにおける基礎知識(在宅編)」の、「基礎中の基礎」という意味で、ひと区切りと言えると思われます。
(Ⅱ)重度訪問介護制度と並行して存在する「介護保険制度」について
(1)「介護保険制度」とは
介護保険制度は、高齢者を中心に、介護が必要な状態になった方に対して、その費用を給付する、「公的保険制度」であります。
「公的保険制度」でありますから、一般市民(いわゆる国民)の皆様がたが、「保険料を負担する側」にもなり、逆に、給付を受ける場合は、「適正な公的な手続きに則って、審査も受けてから給付を受けることが出来るという形」というものに、制度設計されなければいけません。
それは、国民の間で、『公正で平等な制度である』ということを担保しなければならないということです。
そのような中で、まず「保険料を負担する側の場合」についてですが、
「40歳から介護保険に加入することが義務づけられ、保険料を支払わなければならない。その支払い方は、40歳から64歳までは、一般市民=国民の皆様がたがそれぞれ加入している健康保険と一緒に、支払うことになる」
というように、介護保険法で定められております。他方で、
「65歳以上の被保険者は、原則として年金からの天引きで市区町村が、徴収する」
ということになっております。
実際に、介護保険制度による、公的介護の利用については、介護保険制度の運営主体(保険者)は、全国の市町村と東京23区、いわゆる市区町村と呼ばれる基礎自治体で運営されておりますので、それぞれの在住する市区町村に、介護保険制度における窓口(自治体担当課や地域包括支援センター等)などに相談して、それらを通じて、結果的に、在住する市区町村に対して、介護保険制度利用についての申請を行うことになります。
これらの申請の上で、「どの程度の介護支援が必要かどうか」を審査するため、認定調査等のための手続きを経て、申請者の病状や環境なども審査資料として集めながら、審査されて行き、いわゆる「要支援もしくは要介護の度合い」が認定されて行きます。
通常よく聞くところの、例えば「要支援1」であるとか「要介護3」などという表現ですね。
このように、介護保険制度の場合は、「要支援」「要介護」という言葉を使用しながら、支援が必要な度合い(段階)について、決めることになっております。
要支援1から要介護5番までの7段階が存在します。
それぞれの段階で、介護保険制度で、可能な支援の量が違ってきます。
その支援量の限度について、介護保険制度では、「月の支給限度額」と表現し、ひと月あたりの支援の限度について決められております。
以上のことと、障害福祉サービスが、どのように関わってくるか。
それは、介護保険制度で支援しきれない重度な障害や難病を抱えておられる方を、支援する時に、介護保険で賄えない部分を、障害福祉サービスで公的支援を行う場合に、障害福祉サービスが関わってくるということです。
ちなみに、介護保険制度でも、「訪問介護」等の「在宅向けのサービス」だけではなく、デイサービスなどの「通所系のサービス」あるいは、「特別養護老人ホーム」等の「施設入所系のサービス」など、多彩なサービスが存在します。
ここでは、「障害福祉サービスに関わること」という部分だけでなく、「在宅」がキーワードになってきますので、それ以外の部分については、あまり詳細に触れる可能性は低いです。
ですが、制度の変化状況や、障害福祉サービスなどと関わる場合は、折に触れて、ピンポイントでも、きちんと入れ込んで、説明を加えていきたいと思います。
(2)障害福祉サービスの一つである「重度訪問介護」と「介護保険制度による支援」の関連性について
先程、「介護保険制度で支援しきれない重度な障害や難病を抱えておられる方を支援する際に、介護保険で賄えない部分を、障害福祉サービスが関わり公的支援を行う」という趣旨について記載しました。
具体的には、まず介護保険法では、第9条で、65歳以上の方を「第一号被保険者」そして、40歳以上65歳未満の医療保険加入者について「第二号被保険者」と定めております。
その上で、介護保険法第七条第3項第一号および第4項第一号では、「65歳以上の者で、要介護状態あるいは要支援状態にある方」を、それぞれ「要介護者」「要支援者」と定めております。
同様に、介護保険法第7条第3項第二号および第4項第二号では、「40歳以上65歳未満の者であって、原因である。
身体上または精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という。)によって生じた」方を、これまた、それぞれの状態に応じて、「要介護者」「要支援者」と定めております。
その上で、前述の「特定疾病」については、介護保険施行令第2条で16種類にわたって、定めております。
その中の、次に掲げる特定疾病は、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、指定された難病であり、それだけで、障害者総合支援法の第4条により、同法の対象になります。すなわち、次の通りです。
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 多系統萎縮症
上述の難病の方については、障害者総合支援法の第4条により、本来であるならば、同法の対象として、在宅支援であれば、例えば、「居宅介護」あるいは「重度訪問介護」などの公的支援が受けられるはずです。
しかしながら、前述したように、介護保険法の適用を受ける「特定疾病」でもあるので、障害者総合支援法の第7条により、介護保険法の方が優先的に適用されて、まず最初に、
『介護保険法の介護給付対象となり、年齢に応じて65歳以上であれば「第一号被保険者」として、40歳以上65歳未満であれば「特定疾病」としての「第二号被保険者」として、介護保険制度による支援を受ける』
ということになります。
ですので、「年齢という側面」と「難病という側面」を通じて、障害者総合支援法による公的支援たる「居宅介護」や「重度訪問介護」と、介護保険法による支援は、密接な連携あるいは関係性が存在するということがいえます。
換言すれば、前述のような場合は、
「40歳未満の特定疾病以外の方でなければ、まずは、真っ先に、介護保険制度が適用されて、障害福祉サービスは、介護保険制度で賄えない部分が発生しない限り、利用されにくい」
であるともいえます。
他方で、介護保険法に存在しない公的支援、例えば、「同行援護」「行動援護」「就労移行支援」「就労継続支援」などについては、年齢等にかかわらず、直接、障害者総合支援法による公的支援が受けられるようになっております。
ちなみに、障害者総合支援法第7条について、次のような通知が、発出されております。
「障企発0331第1号、障障発0331第5号、平成27年3月31日、
一部改正
『障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について』
(一部引用開始)
② 介護保険サービス優先の捉え方
ア )サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付又は地域支援事業を優先して受け、又は利用することとなる。
しかしながら、障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする。
したがって、市町村において、申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断すること。
なお、その際には、従前のサービスに加え、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスについても、その実施の有無、当該障害者の利用の可否等について確認するよう留意する必要がある。
イ )サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福祉サービス固有のものと認められるもの(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、当該障害福祉サービスに係る介護給付費等を支給する。③ 具体的な運用
②により、申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより必要な支援を受けることが可能と判断される場合には、基本的には介護給付費等を支給することはできないが、以下のとおり、当該サービスの利用について介護保険法の規定による保険給付が受けられない又は地域支援事業が利用することができない場合には、その限りにおいて、介護給付費等を支給することが可能である。
ア )在宅の障害者で、申請に係る障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る保険給付又は地域支援事業の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合。
(一部引用終了)
上掲された行政通知にも明記され、筆者が先述したように、「年齢の違い」や「特定疾病」に当たるか否かで、障害者総合支援法による障害福祉サービスを公的支援として、受けられるかどうか、という違いが発生されます。
それは、原則このような場合に、「介護保険法」による公的保険サービスが優先されて適用されるからです。
重ねて申し上げますが、「介護保険法」に存在しないサービス、例えば「同行援護」「行動援護」「就労移行支援」「就労継続支援」のような公的支援サービスの場合は、直接的に、障害者総合支援法による公的支援サービスを受けることができます。
「年齢による違い」「特定疾病の有無による違い」などを含めかんがみると、「障害福祉サービス(在宅)」と「介護保険制度によるサービス」については、「どちらのサービスを受けるか」という観点から見ても、強い関連性があると言わざるを得ません。
この現実を換言すれば、「障害福祉サービス(在宅)」である「重度訪問介護」をサービスとして受けるのであれば、あるいは提供するのであれば、利用者側も事業所側も、
「介護保険法による制度などについて、熟知している必要がある。加えて、利用者として介護保険のサービスを受けるあるいは、事業所として介護保険サービスを提供する、そういった場合の違い」
についても、それぞれの制度のサービスの違いを知っておく必要があると、言わなければなりません。
これまでの5回分に渡る、「障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)」においても、必要な箇所で、逐次、「障害福祉サービスと、介護保険制度によるサービスの違い」については、その回のテーマに沿った観点から、それらの違いについて、何度か触れてきております。
今後は、重度訪問介護制度についても、詳細について触れて行きながら、まずは関連性の高い、介護保険制度について、その詳細を、「在宅支援サービス」に重点を置きながら、まとめていきたいと思います。
まとめ
今回は、これまでの5回分の「障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)」のまとめをしつつ、それが、特徴的な部分を盛り込みながらも、「基礎的な知識」であるということを、改めて言及させていただきました。
続けて、「障害福祉サービス(在宅)」における「重度訪問介護制度」が、「介護保険法」によるサービスに、強い影響を受ける制度であるということも、申し述べさせていただきました。
私事ではありますが、実は今は、私の母親は施設に入所しておりますが、今年の春先までは、もともとは介護保険サービスの利用をしている中で、障害の重度化により、数年だったか前から、障害福祉サービスたる重度訪問介護を利用するという「併用者」でありました。
障害の制度と、高齢者支援たる介護保険制度の併用については、それぞれの地域の地方自治体の実務運用に、影響を受けやすい現状があります。
それは、「地方分権」という言葉などがあるように、「それぞれの地域による違いを踏まえながら、一定程度の地域の特色を踏まえた柔軟な制度運用を行おう」という趣旨から生まれたものであります。
他方で、例えば、「国税に関わる納税に関すること」や「選挙に関わること」などについては、国全体に関わること、ということから、一律な同じような制度運用になるように、実務運用されております。「国全体に関わること」と言う部分で、社会福祉に関係することだとすると、それは、「生活保護法」などが、真っ先に考えられます。
「生活保護法」や「児童福祉法」や「障害者総合支援法」などは、分類的には、「社会福祉に関する法分野(公的扶助)」と一般的に認識されており、強弱の違いはあるものの、国家全体で統一された運用が求められるものであります。
他方で、「介護保険法」や「国民健康保険法」や「国民年金法」や「健康保険法」や「厚生年金保険法」や「雇用保険法」などについては、「社会保険に関する法分野(職域保険あるいは地域保険)」などというように、通常は分類されております。
「社会福祉に関する法分野」と「社会保険に関する法分野」を、双方合わせた法分野のことを、「社会保障法」と総称することが多いです。
まとめの最後の方は、法律の分野の話になってしまい、難しい話で、申しわけありません。簡単に、一言で言いたいことは、「障害者総合支援法と、介護保険法は、法律の中でも全く違うものだよ。」という言葉に尽きます。
同じ支援サービスの根拠法律ですが、本当に全く違うものなのです。存在根拠の部分が…。そこの部分を、ご理解いただければ幸いです。
今回は、このくらいまでに、しておきたいと存じます。
これからは、事例なども、特に、自分自身や、親の話、その他一般的な、考えられる事例などを想定しながら、話を進めていきたいと思います。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
長文、お読みくださって、ありがとうございました。また、皆様よろしくお願いします。
冬に向かってくなか、皆々様健康を大切にお過ごし下さいませ。
それでは、次の第7回目の時に会いましょう!
ありがとうございます!
当HP【土づくりレポート9月号】にて、齋藤直希さんをご紹介しております。
行政書士有資格者、社会福祉主事任用資格者
筆者プロフィール
1973年7月上山市生まれ。県立上山養護学校、県立ゆきわり養護学校を経て、肢体不自由者でありながら、県立山形中央高校に入学。同校卒業後、山形大学人文学部に進学し、法学を専攻し、在学中に行政書士の資格を取得。現在は、「一般社団法人 障害者・難病者自律支援研究会」代表。