障害のある方の自立した生活を応援する。相談支援専門員の役割を徹底解説。
相談支援専門員は、2006年に創設された障害者自立支援法によって初めて位置づけられた、障害者支援の相談窓口です。
日本では障害者やその家族をサポートするために様々な福祉サービスの提供体制を整えていますが、その制度は複雑で、わかりにくい部分があるのが実情です。
そのため相談支援専門員は、障害をもつクライアントや家族と福祉サービスのかけ橋としての役割を担っています。
今回は相談支援専門員の役割について、詳しく確認していきましょう。
相談支援専門員が担う役割
相談支援専門員は、障がいを抱える方本人やその家族が障害福祉サービスを活用できるように事業所と繋げたり、生活全般に対する悩みの相談を受けて情報提供や助言を行ったりする職業です。
クライアントや家族からの相談に対して、基本相談支援・地域相談支援・計画相談支援・障害児相談支援のいずれかに該当する相談支援を提供します。
基本相談支援の役割
基本相談支援は、主に初めて福祉サービスに対しての問い合わせを行うクライアントに対する相談支援です。
「どのような福祉サービスがあるのか分からない」「福祉サービスについて、どこに問い合わせをするべきか分からない」という悩みをもつクライアントに対しての窓口の様な役割です。
基本相談支援では、クライアントがどのような状況に置かれているのか、またどのような福祉サービスが適しているのかをモニタリングなどの確認を踏まえ、総合的に判断する必要があります。
またクライアントからの相談を踏まえて、市区町村などの自治体や福祉サービスを提供している事業者との連絡をとるのも、基本相談支援の役割です。
地域相談支援の役割
地域相談支援は、地域移行相談支援と地域定着相談支援という2つの支援体制から構成されています。
どちらもクライアントが地域で自立した生活を送ることができるようにサポートする役割のあるサポートですが、相談支援の対象となるクライアントが違います。
また相談支援事業を行う事業所の中でも、一般相談支援事業所に分類される事業所で提供されているサービスです。
地域移行相談支援とは
現在施設に入居していたり、病院に入院していたりするクライアントが、地域社会の中で自立した生活を送ることができるようにサポートするのが、地域移行相談支援です。
「これから地域での生活をスタートさせたい」を希望しているクライアントに対して、家探しをサポートしたり、入居に関する支援を行ったりします。
またクライアントが地域生活で活用することができる、例えば重度訪問介護のような福祉サービスを紹介し、体験利用などの機会を設ける役割を担っています。
地域定着相談支援の役割
地域定着相談支援は、地域での生活をスタートさせた後のクライアントに対するサポートです。
24時間365日の連絡応対体制や、クライアントの緊急時に支援するシステムなどの役割を持っており、クライアントの地域生活を支える役割をもつ相談支援です。
計画相談支援の役割
クライアントが自立した生活を送る上で必要なサービス量を決定し、必要な福祉サービスとの連携を図る役割をもつのが、計画相談支援です。
計画相談支援も2つの支援体制から構成される福祉サービスで、行うことができるのは自治体の認可を受けた指定特定相談支援事業者のみが行うことが可能となっています。
サービス利用支援の役割
福祉サービスは障がい者が障害者総合支援法に基づいた制度ですので、利用にあたっては必ずサービス等利用計画案を提出する必要があります。
このサービス等利用計画案の作成が、サービス利用支援です。
計画案を作成するためには、障害に対する知識やクライアントの状態を見極める力はもちろんのこと、様々な福祉サービスについてしっかりと学んでおく必要があります。
継続サービス利用支援の役割
継続サービス利用支援は、福祉サービスを利用中のクライアントに問題やトラブルは発生していないか、サービスの量は適切であるかを定期的にチェックする体制です。
相談支援専門員の重要な役割の一つで、おおよそ1カ月から3カ月に1回程度のモニタリングを行い、クライアントの状況を把握します。
必要に応じて新たな福祉サービスを紹介したり、医療機関との連携を図るなど、クライアントにとって適切な福祉サービスが提供されるように調整する役割です。
障害児相談支援の役割
障害者支援のなかでも、18歳未満の障害児に対する相談支援を行うのが、障害児相談支援の役割です。
他の相談支援と同様に、これから福祉サービスを利用し始めるクライアントに対する相談支援と、福祉サービスを利用中のクライアントに対する相談支援の2種類の役割を担っています。
障害児支援利用援助の役割
18歳未満のクライアントが適切な福祉サービスを受給できるよう、クライアントや家族との相談やモニタリングを通して、障害児支援利用計画案を作成する役割が、障害児支援利用援助です。
またこの障害児支援利用計画案が認可された後、相談支援専門員が仲介役となり、放課後デイサービスや児童発達支援センターなどとの連携を図ります。
相談支援専門員には、地域内で提供されている児童向けの福祉サービスや事業所についての幅広い知識が求められます。
継続障害児支援利用援助
成年のクライアントと同様に、福祉サービスを利用しているクライアントの状況確認や、適切な福祉サービスが提供されているのかを確認するのが、継続障害児支援利用援助の役割です。
障害をもつ児童がクライアントの場合、学校や環境の変化、障害の状態などの変化が成年のクライアントとは異なり、必要となる福祉サービスも変化する可能性が高くなってます。
そのためモニタリングの際はクライアント本人はもちろんのこと、家族や関係者とコミュニケーションを取り、現在の困りごとを積極的に解決していく役割を求められます。
相談支援専門員の役割は多岐にわたるので、知識のアップデートが必要
相談支援専門員の役割について、4つの福祉相談体制を中心にご紹介いたしました。
相談支援専門員が担う役割は支援内容により様々ですが、共通している点として「クライアントにとって最適な福祉サービスを紹介する」という大きな役割があります。
福祉サービスは時代に合わせて様々な形態や事業所がリリースされています。
定期的に地域の状況や最新のサービス内容を確認し、クライアントの自立した生活に必要な福祉サービスへのかけ橋となることができると良いでしょう。
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