ケアマネジャーになるには?必要となる資格や時間などを解説
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」に合格する必要がありますが、この試験を受験するまでにも長い道のりがあり、まったくの未経験者では8年以上の期間が必要になることもあります。
当記事では、ケアマネジャーになるための方法や資格試験の条件などについて詳しく解説します。将来ケアマネジャーを目指している方はぜひご覧ください。
ケアマネジャーになるには
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには、大きく以下の4ステップを踏むことになります。
ステップ | やること |
---|---|
1 | 「指定業務」を5年以上かつ900日以上経験する(介護支援専門員実務研修受講試験を受験する前提条件を満たす) |
2 | 「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験する |
3 | 「介護支援専門員実務研修」を修了する(講義+演習で合計87時間) |
4 | ケアマネジャーとして就職する |
まずは介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の受験資格を満たすことが先決です。その後「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し「介護支援専門員実務研修」を修了することで、晴れてケアマネジャーになることができます。
以降では、それぞれのステップの詳細を解説します。
ステップ1.「指定業務」を5年以上かつ900日以上経験する
「指定業務」を5年以上かつ900日以上経験することで、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を満たせます。
ここでいう指定業務は、以下AもしくはBのいずれかが該当します。
区分 | 業務区分 | 詳細 |
---|---|---|
A | 国家資格等に基づく業務 | 該当する国家資格: ・医師 ・歯科医師 ・薬剤師 ・保健師 ・助産師 ・看護師 ・准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・社会福祉士 ・介護福祉士 ・視能訓練士 ・義肢装具士 ・歯科衛生士 ・言語聴覚士 ・あん摩マッサージ指圧師 |
B | 相談援助業務 | ・生活相談員(特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設、介護予防特定施設入居者生活介護などでの業務経験) ・支援相談員(介護老人保健施設での業務経験) ・相談支援専門員(計画相談支援、障害児相談支援での業務経験) ・主任相談支援員(生活困窮者自立相談支援事業での業務経験) |
参考:公益財団法人 東京都福祉保健財団 「令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」
上記のAとBの業務を、通算して5年以上かつ900日以上経験すると、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を満たしたことになり、試験を受験することができるようになります。
なお一般的にケアマネジャーを目指すルートとして多いのは「介護福祉士」の国家資格を取得し、5年以上かつ900日以上の経験を積み、介護支援専門員実務研修受講試験を受験するルートです。
※介護福祉士からケアマネジャーを目指すルートについては、後半で詳細を解説します。
ステップ2. 介護支援専門員実務研修受講試験を受験する
「指定業務」を5年以上かつ900日以上経験したら、介護支援専門員実務研修受講試験を受験します。
介護支援専門員実務研修受講試験は年1回、毎年10月に開催されます。各都道府県別に開催されており、原則として勤務先のある都道府県で受験する形となります(仕事をしていない場合は現住所の都道府県)。
介護支援専門員実務研修受講試験(令和4年度)の合格率は19.0%となり、約5人に1人が合格できる難易度です。
ステップ3. 介護支援専門員実務研修を修了する
介護支援専門員実務研修受講試験に晴れて合格した後は「介護支援専門員実務研修」を受けることになります。講義と実習あわせて87時間の研修を受けます。
講義では、業務の流れや法令などの知識を学び、実習ではアセスメントやケアプランの作成など、実際にケアマネジャーが行う業務を実践しながら学びます。
ステップ4. ケアマネジャーとして就職する
ここまでのステップを踏むことで、ケアマネジャーを名乗ることができ、ケアマネジャーとして就職や仕事が行えるようになります。
介護福祉士からケアマネジャーを目指すには?
ケアマネジャーになるためのルートとして多いのは、介護施設で働き「介護福祉士」の国家資格を取得し、その後ケアマネジャーを目指すというルートです。ここでは、この介護福祉士からケアマネジャーを目指すルートの詳細を解説します。
介護福祉士になるには?
「介護福祉士」は介護業務に関する唯一の国家資格であり、取得することで介護業務のスペシャリストを目指せます。
介護福祉士になるには、以下3つのルートがあります。
ルート | 内容 |
---|---|
実務経験ルート | 介護現場で3年以上の実務経験(従業期間3年以上、従事日数540日以上)を積み、実務者研修を修了すると、介護福祉士の受験資格が得られる(実技試験免除)。 |
養成施設ルート | 高等学校卒業後、福祉系の大学や専門学校で指定年数学ぶ(通常2年以上、福祉系の大学を卒業しているなど特定の条件下では1年以上)。卒業時に介護福祉士の資格が得られる(国家試験受験不要)。 |
福祉系高等学校ルート | 福祉系高校(福祉科や介護福祉コースなど)で3年間学ぶ。卒業時に介護福祉士の受験資格が得られる(実技試験免除)。 |
※この他、海外の方向けに「経済連携協定(EPA)」を用いたルートもあります。
未経験の社会人が介護福祉士を目指す場合、ポピュラーなのは一行目の実務経験ルートです。実務経験ルートは3年以上介護現場で実務経験を積む必要がありますが、学校などに通う必要はないため、働きながら介護福祉士を目指せます。
介護福祉士からケアマネジャーを目指す場合8年以上掛かることも
仮にまったくの未経験者が実務経験を用いてケアマネジャーを目指す場合、以下のように最短でも合計8年以上の期間が必要となることがあります。
- 介護福祉士の受験資格を満たすために、介護現場で3年以上の実務経験を積む
- 介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を満たすために、介護福祉士として5年以上かつ900日以上の実務経験を積む
試験に落ちてしまうとさらに時間が必要になりますので、人によってはケアマネジャーになるまで10年以上掛かることもあります。
ケアマネジャーになるのは簡単ではないがその分貴重な人材になれる
以上、ケアマネジャーのなり方について解説しました。
ケアマネジャーになるまでには受験資格を満たすために長い月日が必要となります。合格率も高いとはいえず、不合格となることもあります。決して簡単な道のりではありませんが、その分、ケアマネジャー資格を持っている人は貴重であり、専門家としてより深くクライアントと関わっていけます。