重度訪問介護の現場で働くうえで、まず押さえておきたいのが「居宅介護や介護保険の訪問介護とは、制度そのものが違う」という点です。根拠となる法律も、対象者も、算定のルールも異なります。
この記事では、アテンダントやサービス提供責任者として重度訪問介護に関わる方に向けて、対象者・費用・時間の3つの角度から実施のルールを整理します。制度の全体像は重度訪問介護とは?にまとめていますので、あわせてご確認ください。
居宅介護と重度訪問介護は「別の制度」
クライアントの自宅を訪問して介護を行う点は共通していても、制度としては別ものです。重度訪問介護は、重い障がいがあり常に介護を必要とするクライアントの生活全般を、長時間にわたって切れ目なく支えるのが特徴です。
これに対して、障がい福祉の居宅介護(ホームヘルプ)はあらかじめ決めた介助を中心に短時間で行い、介護保険の訪問介護は介護保険法にもとづいて提供されます。現場で働くアテンダントやサービス提供責任者は、この違いをふまえて算定ルールまで理解しておくことが求められます。
対象者のルール ― 誰に提供できるか
肢体不自由の場合の要件
重度の肢体不自由があるクライアントは、障害支援区分4以上に該当し、次のいずれにも当てはまることが要件です。多くは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの難病、脳性麻痺、脊髄損傷などのクライアントが該当します。
- 二肢以上に麻痺等があること
- 障害支援区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されていること
知的障がい・精神障がいの場合の要件
重度の知的障がい・精神障がいの場合は、障害支援区分4以上であることに加え、認定調査項目のうち行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上であることが要件です。肢体不自由の場合と異なり、利用にあたって事前のアセスメントが必要になる点にも注意します。
年齢のルール(18歳以上・15歳の特例・65歳)
重度訪問介護の対象は、原則として18歳以上です。例外として、15歳以上の障がい児は、児童相談所長が必要と認めた場合に利用できることがあります。
また、65歳以降は介護保険が優先されるのが原則です。ただし、介護保険では対応が難しいと市町村が判断する場合には、介護保険を使い切っていなくても、障がい福祉サービスである重度訪問介護の利用が認められます。
費用の考え方
ここでは具体的な金額ではなく、費用が決まる「しくみ」を整理します。金額そのものは制度改定や世帯の状況で変わるため、最新の負担額はお住まいの窓口で確認してください。
重度訪問介護は、世帯の課税状況に応じて1か月あたりの負担上限が設定される応能負担が基本です。生活保護世帯や市町村民税が非課税の世帯などは、負担が軽くなるよう配慮されています。資産が少なく収入が生活保護基準を下回るような場合には、生活保護境界層該当者への減免が認められるケースもあります。
介護保険と重度訪問介護を併用し、自己負担が上限を超えた場合は、市区町村で償還手続きを行うことで、障がい福祉から超過分の払い戻しを受けられる仕組み(高額障害福祉サービス等給付費)があります。
時間と提供のルール
長時間・柔軟に提供できる
居宅介護や介護保険の訪問介護が短時間の提供を基本とするのに対し、重度訪問介護は長時間の支援を前提に設計されています。1回あたりの時間に大きな制約がなく、クライアントの生活実態に合わせて、1日に複数回、柔軟に組み立てることができます。制度上は24時間までの連続した支援も可能で、実際にどれだけ利用できるかは市町村が個別に支給量を決定します。
2時間ルールが適用されない
介護保険の訪問介護には、同じクライアントに1日複数回訪問する際、間隔が2時間未満だと所要時間を合算して1回分として算定する「2時間ルール」があります。これは訪問を禁止する規定ではなく、介護報酬の算定に関わるルールです。重度訪問介護には、この2時間ルールが適用されないため、間隔を気にせず柔軟にサービスを組めます。
支給決定の期間
重度訪問介護の支給決定は、おおむね1年を単位とした期間で行われ、必要に応じて更新されます。継続して利用する場合は、更新の時期を見越して準備しておくとスムーズです。
実施ルールを押さえて、自信をもって支援を
今回は、居宅介護との違いに着目しながら、重度訪問介護を実施するうえでのルールを整理しました。要点は次の3つです。
- 根拠法は障害者総合支援法。介護保険の訪問介護や障がい福祉の居宅介護とは、対象も算定も別の制度
- 対象は障害支援区分4以上+一定の要件。原則18歳以上で、15歳以上の特例や65歳到達時の扱いも押さえる
- 1回の時間の制約が少なく長時間・柔軟に提供でき、2時間ルールが適用されない
費用や併用のルールは制度改定で変わることがあるため、最新の内容は自治体や窓口で確認しながら、アテンダント・サービス提供責任者として自信をもって支援に臨みましょう。
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