重度訪問介護の利用料と利用方法とは?
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者を対象に常時介護を受けられるように支援するサービスのことです。
クライアント(ご利用者)の自宅に訪問して、「食事・排泄・入浴などの介助」や「炊事・洗濯・掃除などの家事」、その他にも生活上の相談やアドバイス、お出掛けする際の移動を含めた支援など総合的に長時間に渡ってサービスを提供します。
重度訪問介護は必要に応じて、24時間体制で介護サービスを受けることができるため、費用面について不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、重度訪問介護の利用方法と利用料について詳しくご紹介します。
重度訪問介護の利用について
重度訪問介護は、一人一人の障がいの程度に応じて支援やサポートを行う障がい福祉サービスです。
対象者の基準は、
①障がい程度区分が4以上である、
②左右手足のうち二肢以上に麻痺等がある、
③障がい程度区分の認定調査項目の内、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外に認定されている人です。
重度訪問介護対象者は、それぞれの障がい度合いに応じて、必要であれば長時間の介護サービスを受けることができます。
支給決定されたサービス時間内の介護サービスを公的制度で受けられる
重度訪問介護対象者が日常生活を送るためには、介護環境が充実していなければなりません。
しかし、独居だったり、家族が日中仕事で不在だったり、あるいは老々介護だったりする場合、周囲の人に負担をかけずに生活を成り立たせるには介護サービスが必要になります。
しかし、介護保険でのサービスは提供時間に制限があり、せいぜい1日2〜3時間程度のサービスしか受けることができません。
それに対して、障がい福祉サービスの制度である「重度訪問介護」では、公的制度として支給決定されたサービス時間内の介護サービスを受けることができます。
原則として、65歳以上の介護保険対象者(ALSなど介護保険法の特定疾患の場合は40歳以上)は、介護保険を優先として、足らない支援部分を障がい福祉サービスを利用するように定められています。ただし、利用している介護保険事業所が対応できない場合など、場合によっては介護保険を使い切っていなくても障がい福祉サービスを利用することができます。
重度訪問介護の介入時間
重度訪問介護の介入時間については、「原則、1日3時間以上のサービス提供からスタートする。さまざまな事情から例外的に1日あたり1時間未満の支援や、1時間以上からのスタートも認める」と定められています。
訪問介護の特色として、居宅介護は短時間での支援を行い、重度訪問介護は長時間の支援を提供することが求められています。
訪問介護では、クライアントの状況に合わせた柔軟なサービス提供が認められているため、一日に複数回、必要な時間帯にサービスを組み込むことが可能です。
一日の中で複数回に分けてサービス提供するとして、介入と介入の間に生じる空白の時間について居宅介護では「空白時間そのものについて、2時間以上を設けなければならない」と制限されていますが、重度訪問介護は「支援の次に、30分後に、次の支援に入ったとしても問題がない。空白時間については、フレキシブルに考えてよい」と柔軟にサービスを組み込むことを認められています。
重度訪問介護の利用料金
重度訪問介護の利用料金は、厚生労働大臣が定める基準により算定したサービス利用料を元に、その1割に相当する金額が実際にお支払いする利用料(自己負担額)となります。
ただし、自己負担額には世帯所得に応じた負担上限額が設定されています。
原則として低所得者は自己負担がなく、無料でサービスを受けることができます。
世帯収入が一定以上ある場合は、月9300円~最大3万7200円の自己負担をするように定められています。
減免の対象は?
生活保護基準よりも収入が低く、資産がない場合は、重度訪問介護サービスの減免が認められます。
例えば、夫婦の年金収入の合計が月15〜20万円程度以下ならば全額免除になるケースがあります。
生活保護申請をする予定がない方でも、生活保護境界層減免申請をすることで、障がい福祉サービスや介護保険の自己負担額が減免されるようになります。
また、身近に利用できる介護保険サービスの事業所がなかったり、あったとしても事業所の利用定員に空きがない等、市町村が障がい福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用することが困難と判断した場合、それらの該当事情が解消するまで介護給付または訓練等給付を受けることができます。
その他費用がかかる場合もある
以下に該当する場合は追加で費用がかかることがあります。(事業所により異なる)
- 原則としてキャンセル料は発生しませんが、事業所の運営に影響を及ぼすと判断されるような場合はキャンセル料を求められる場合があります。
- 事業所の対象地域以外の遠方に住む方がサービスを利用する場合、対象地域外の範囲で1 キロメートル当たり 25 円 を実費として徴収される場合ががあります。
- 介護職員一人での介護が困難と認められ、クライアントの同意のもと介護職員二人で介護サービスを提供した場合、介護職員二人分(通常の2倍)のクライアント負担が必要になる場合があります。
- 外出の際の介護サービスを利用される場合、公共交通機関の交通費や施設の入場料など介護職員に発生した実費を徴収さる場合があります。
重度訪問介護の料金について知識を深め積極的にサービスを利用しよう
重度訪問介護は、住み慣れた自宅でできるだけ快適に生活を続けられるように、「身体介護」や「家事援助」だけでなく「外出時の介護」まで包括的にサービスが提供されます。障がい福祉サービスとして「長時間の支援」を柔軟に受けることが可能です。
重度訪問介護の自己負担額は、所得に応じて異なりますが、最大でも月3万7200円、低所得の場合は無料で利用することができます。
障がいの度合いや介護保険の有無などによって、受けられるサービス内容や利用方法、自己負担額は異なります。
クライアントに合った最適なサービスを提案できるように、重度訪問介護に関する知識を深めておきましょう。