テレビCM「命の声を聴く」編 メイキングレポート

命の声を聴く 喜びも悲しみも
あなたと生きたい
ホームケア土屋

2021年7月より、テレビCMとして放送されたホームケア土屋の「命の声を聴く」編
わずか1か月あまりで、そのYouTube動画再生回数が13万回を突破しました。
出演者はすべてわが社のスタッフとクライアントで、障害当事者の日常の風景をとらえたテレビCMは画期的です。
わずか15秒にこめられた、それそれの想いと、その裏側を追いました。

出演者

野呂 一樹インタビュー

野呂

~三重より、知的障害のクライアント2名~

知的障害者のクライアントの中で、ご家族を含めて協力してもらえる方を探し、2名のクライアントに出演してもらいました。アテンダントも一緒にいて落ち着く人でなければならないので、常に支援に入っているスタッフという形です。

知的障害者の方は、普段と違う状況では平静が保てなかったり、荒れてしまったりするので、遠くに行くのではなく、普段の支援風景を撮影してほしいと希望しました。

できれば外でという依頼もあったので、近くの海岸や神社を予定していたのですが、撮影当日が土砂降りの雨でそれは叶わず、近くに買い物に行こうと。あとは、室内での撮影になり

知的障害のクライアントは、撮影現場でどういう状況になるか予測がつかないので見守っていましたが、案外知らない人が来たというより、人がいっぱい来たということで、友達が増えたみたいな感覚になってテンションが上がったようです。カメラマンの方と握手したり、ご機嫌で「また来てね」って言ったりしていました。時間を掛ければ、だんだんいろんなことを覚えてくるんだと感慨深かったです。

また、クライアントの普段の様子をそのままCMに使ってもらえたのも良かったです。

あと、クライアントのお兄さんで、障害者入所施設で働かれてる方が、このCM動画を見て、「障害を持っていても、いろんな活躍の場があるのはすごく嬉しい」と言ってくれたんですね。それが私としても嬉しかったです。

池田 憲治インタビュー

~岡山より、脳性麻痺のクライアント~

4月中旬くらいに、県北の桜が咲くのを待って撮影に臨みました。花見がしたいと言っていたクライアントに、一緒に行こうよと声を掛けて、新庄村のがいせん桜を見に行きました。彼とは普段から 外出支援で一緒に買い物や映画に行っていましたが、岡山の北の方に行くのは初めてとのことで、通常の支援とは喜びようが違いました。

満開の桜が500mくらい続く並木道を散歩し、ご当地のB級グルメや一口大に切ったステーキを一緒に食べて、蒜山高原でポニーに餌やりもしました。中国山地で見た夕日の美しさが印象的で。

帰宅してからは、オセロですね。彼はオセロがほんとに強いんです。真剣勝負でなんとか1勝1敗に持ち込めました。土屋のスタッフでは誰も勝てていなかったので、今回、土屋として初めての勝利をもたらしたわけです(笑)。

ただ、実はこの日、娘の入学式だったんです。すっかり忘れていて…怒られました。お詫びの印にブランドもののパジャマを買わされました。ついでに、こんなプレゼントをもらえるなら、むしろ来なくて良かったとも言われちゃいました…。

ナレーション

【広島在住のシンガーソングライター】
新山 志帆 インタビュー

母が土屋に勤めていて、そのつながりで今回ナレーションのご依頼をいただきました。以前、土屋のイベントでもライブをしたこともあって。

ディレクターからはアナウンサーのようではなく、湧き出るような感じでと伝えられていたので、歌うように語ろうと。

自宅で、CMの音楽に合わせ、何秒のところにこの言葉を乗せようとか、このタイミングでこの言葉を入れたら、歌のように伝わるかなと考えながら何度も練習しました。映像もいただいていたので、イメージも湧きやすかったです。けれど、実際スタジオで録音した際に、いざマイクに向かうと、緊張でうまく言葉が出てこず、ホームケア土屋をケアホーム土屋って言ってしまったり(笑)。

それに、練習のイメージをスタジオですると、録音してくれるプロの方から、暗くなってるよと言われ。株式会社土屋に入りたくなるように、ワントーン上げてくださいねと。また、音に言葉をしっかり乗せる、語尾もはっきりなど、的確な指示をくださり、結構細かく撮り直しをしました。

録音は15~20分ほどでしたが、伝えたいメッセージや、土屋の仕事内容を思いながら収録できました。

初放送を聴いたときは、流れてきた自分の声に感動しました。夫も大絶賛で、「すごい。泣ける」って。もうすぐ3歳になる息子もYouTubeを見て、「ホームケア土屋」って真似してます(笑)。

製作者 ~想いと言葉と映像~

ディレクター:大山 景子
撮影・編集 :邉見 知晃(MItt)

大山 景子 インタビュー

大山景子

言葉と映像が生まれるまで

今回のCMは、制作会社がタレントを使って作るものとは全然違います。CMだからといってそれらしい対象に光を当てるのではなく、当社の本当のスタッフとクライアントに出演してもらって、現場の生の映像を撮りたいと。ここがこだわりでした。

まず、MIttさんと音楽を共有して話し合う中で、イメージをすり合わせていきました。

15秒で土屋の介護事業の本質を現さなければということで、人と人との触れ合いを軸に、絵コンテなしで現場で生まれたものを撮っていこうと。

何が撮れるか分からない状態で、MIttさんがまっさらな頭で現場に入る。そして、何か起こるんですよね。それをMIttさんのまなざしで構築してもらって、その映像を見ながら、そこから引き出される感じで言葉を作っていきました。

MItt インタビュー

MItt

実は、介護される側とする側の関係性ってもっと堅苦しいのかなと思ってたんですよ。

でもそんなことは全くなく。初めは撮られることで緊張や戸惑いがあったと思いますが、時間が経つにつれて、どんどんと自然体になっていって、ありのままの様子が見えてきました。

そうして、その場の空間が変化していくんです。

友人や家族、恋人にしかないような空間ってあるじゃないですか。そういうものがたくさん、瞬間的に起きて、ドキッとしました。

例えば、愛媛の現場では、クライアントとアテンダントの間に共鳴が生まれていく中で、二人で見つめ合って「大丈夫よ」とか声を掛け合ってるんですよね。グッときました。すごくいい現場だなと。まさに、これが土屋なんだと思いました。

編集では、そういうドキッとした瞬間の部分を使わせてもらいました。

これから出会う仲間へ

【MItt インタビュー】

最初のシーンは、雨の中での撮影でした。長い距離を歩いて、二つあるスーパーの遠い方に買い物に行った帰りだったんです。その途中、クライアントさんが急に、抱き合うように背中に手を回したんです。あの瞬間、グッときたんですよね。

人と触れ合って働くことが楽しめる人が土屋に入ったら、自然とこういう温かみのあるシーンが生まれると思います。現場に溶け込んで撮影しながら、そういう方が入社してくれたらという想いを持ちました。人が好きであれば、絶対できる仕事だと思いますし、そこにドラマも必ず生まれます。

今はインターネットで検索をかけると、最初に出てくるのが誹謗中傷ばかりの世界ですけど、人と人が触れ合う世界では、笑顔が生まれて、そこからまた新しい世界が開けていく。だから、やる気のある人が絶対来てほしいなと思っています

【大山 景子 インタビュー】

重度訪問介護は、人の生と死に向き合う仕事です。クライアントの人生に寄り添い、命のそばで、命を感じる。思ってもみなかった学びや出会い、成長もあります。

今回、雨の中で支えあった二つの背中が上下に揺れているのを見た時、わたしたちがやっている事業の本質がここにあるのだと、胸に迫るものがありました。

アテンダントとクライアントの固い絆のある介護の現場。そんな感覚をお伝えできればと思っています。

インタビュアー 富田祥子

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