最期まで自分らしく過ごしたい。ALSの在宅介護を叶える方法とは
大半の人にとって、心からリラックスして自分らしく過ごすことのできる場所は自宅です。
特に大切な家族と自宅で過ごす時間は何事にも代えがたい幸せなひと時ですので、近年では最期の時を病院や介護施設で迎えるのではなく、自宅で穏やかに過ごしたいというニーズが高まってきています。
徐々に萎縮する全身の筋肉と向き合いながら暮らすALSのクライアントであっても自宅で暮らしたいという希望は例外ではなく、在宅介護を叶えるための介護サービスの利用が必要となってきます。
そこで今回は、最後まで自分らしく過ごすことを目的としたALSの在宅介護にはどのような方法があるのか 、家族だけに負担をかけることなく社会全体でALS のクライアントを尊厳を持って受け入れていく体制にはどのようなものがあるのかについてご紹介していきます。
指定難病としてのALS
ALSは指定難病に認定されています。
通常、介護保険制度を利用して介護サービスを受給できる第1号被保険者に認定されるのは65歳以上の高齢者に限られますが、指定難病のクライアントは40歳以上であれば第2号被保険者として介護サービスを利用することが可能です。
また指定難病のクライアントは訪問看護に利用にあたって、医療保険を適用することができます。
そのため在宅介護を希望するALSのクライアントは、介護保険サービスと訪問介護を併用していくことになります。
ALSの在宅介護方法
実際に介護保険制度を利用して在宅介護を実現させる方法としては、どのようなスタイルがあるのでしょうか。
症状の進行と併せて確認していきましょう。
ALSの発症初期
ALSのクライアントが自身の身体の異変に気が付く症状としては、手のしびれや片足の動かしにくさ、舌のもつれるような感じなどが代表的であると報告されています。
ALSは手から異変を感じる上肢型(普通型)、左右どちらかの足に違和感が生じる下肢型(偽多発神経炎型)、喋りにくさや飲み込みにくさを感じる球型(進行性球麻痺)の3タイプに分類されます。
初期症状の段階を「なんだか疲れが溜まっているのかな」「そのうち治るだろう」と放置してしまうことによって症状がより進行してしまう原因となりやすいので手足や舌のしびれを感じたら早めに病院を受診するとよいでしょう。
ALSの発症初期に利用するべき介護サービス
ALSは運動神経が身体を動かす命令を出せなくなることにより、筋肉が痩せ細ってしまう病気です。
そのため筋肉量が極度に減少していない発症初期は、筋力の維持を目的に安全な環境で適度な運動を行うことが望ましいといえます。
デイサービスや機能訓練型デイサービスの利用によって積極的に体を動かし、前向きな気持ちになることが大切です。
ALS発症から気管切開・経管栄養の前まで
ALSによる肢体の不自由がありながらも気管切開や経管栄養の処置をせずに生活できている場合は、要介護度にもよりますが家族が中心の在宅介護が行われていることが非常に多いです。
常時の医療的ケアを必要としていない状態とはいえ、麻痺症状によって食事・排泄・入浴・着替え・歩行などに助けを必要としていますので、昼夜を問わず介護のサポートは必要です。
家族だけで在宅介護を担うことは非常に負担になりますので、積極的に介護サービスを利用していきましょう。
医療的ケアが不要な段階で利用するべき介護サービス
常時の医療的ケアが必要となる前段階では、訪問介護や訪問入浴を利用していきましょう。
「大切な家族の介護を人に任せることに抵抗がある」と感じる方も多くいらっしゃいますが、家族だけでALSの在宅介護をする方法を選択していると、肉体的にも精神的にも疲労が蓄積して限界を迎えてしまいます。
特に現在の日本においては深夜帯の訪問介護サービス提供を実施していないケースも多く、夜間の在宅介護は家族の負担となっているケースをよく見聞きします。
できる限り日中は訪問介護や訪問入浴を活用し、家族のプライベートや仕事も尊重される在宅介護が理想的です。
ALSに伴う気管切開・経管栄養の処置
ALSが進行すると、呼吸や食事にまつわる筋肉も萎縮し、自発的な呼吸や経口での食事が難しくなってきます。
そのため症状の進行に伴って、気管を切開して人工呼吸器を使用する、胃ろうを造設して経管栄養を受けるなどの医療的ケアが必要になるのです。
また人工呼吸器の使用に伴って、喀痰吸引の処置も必要になります。
見守りやその他の身体介護・生活援助も含めると、24時間ほとんど目を話すことができないという段階になります。
医療的ケアが必要な段階での在宅介護の方法
医療的ケアが必要な場合、まず一番最初に浮かぶ方法としては訪問介護と訪問看護の併用です。
現在利用中の訪問介護サービスに加えて訪問看護を利用することによって、医療デバイスを使用中のALSクライアントの在宅介護に必要な医療的ケアを看護師や准看護師にお願いすることが大切です。
また身体介護を必要とする時間もより長くなってきます。
重度訪問介護という選択肢
ALSのクライアントが在宅介護で生活を続けるなかで特に検討してほしい方法が、重度訪問介護の利用です。
重度訪問介護では、ALSに伴う重度の肢体不自由をもつクライアントに対し、24時間体制での介護サービスを提供することが可能になります。
より良い家族関係の維持や、ALSクライアントのQOL(生活の質)の向上という観点からも、重度訪問介護の利用という方法をALSの在宅介護のなかで取り入れていくことをおすすめしております。
ALSの在宅介護では、積極的な介護サービスの利用が有効な方法
ALSの在宅介護は、家族の力だけで乗り越えることは非常に困難です。
特に症状が進行するにつれて、より専門的な知識と常時の介護が必要になってきます。
介護保険制度と医療保険制度を積極的に活用しながら、ALSの在宅介護を社会全体で実現していくための1つの方法として、障害福祉制度に基づく重度訪問介護の利用という方法も有効です。
ホームケア土屋では47都道府県で重度訪問介護の事業所を展開し、ALSをはじめとする重度の肢体不自由や知的・精神的な障害と共に生きる方々の在宅介護をサポートしています。
ALSの在宅介護方法をお悩みの方は、どうぞお気軽にホームケア土屋までお問い合わせください。