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【障害福祉サービスの基礎知識(在宅編)第1回】

障害福祉サービスって?どれだけ種類があるの?

 「障害福祉サービス」とは、障害のある方、つまり、「手足が不自由な方」、「耳が聞こえない方」、「目が見えない方」、「こころの病を持っている方」、あるいは、「難しい病気を抱えていて、その病気がとても速く進む方」などのような方で、日常生活を送ることが大変な方について、支援をするための公的なサービスのことを言います。

例えば、「手足が不自由な方」の中には、車椅子を使っている障害者の方がおられるとします。「目が見えない方」の中には白い杖を使用しながら、歩いている方もおられます。そういった方が、「歩道の段差で車椅子を動かすのが大変」、「白い杖を使いながらでも、お店の中を買い物して歩くのが大変」などのような場合が、あるわけですよね。そういったときに、社会として、支援するサービスのことを言うのです。

 では、「障害福祉サービス」というものは、具体的に、どのようなサービスがあるのでしょうか。「障害福祉サービス」と、一言に言っても、「個別給付」と「地域生活支援事業」の二つに大きく分類されており、さらにそれぞれに多くの種類のサービスがありますので、そのグループ分けを示しながら、以下に、書いていきたいと思います。

 【一】個別給付

それぞれの障害を抱えておられる方の障害の程度や、障害者ご本人の社会活動状況や、ご本人の周囲の環境、住んでおられる環境、その他様々な状況を踏まえて、サービスの支給が決定されるものです。

個別給付の更なるグループ分けや、そのグループに入る各々の障害福祉サービスについて書いて行きたいと思います。

(Ⅰ)介護給付:サービスの利用者となる障害者本人へ「介護=支援」を行うという視点での給付です。

(1)居宅介護

障害児・者に、自宅において、入浴や排せつなどの身体介護、調理や洗濯などの家事援助、病院等へ行くための通院等介助といった支援を提供します。

(2)重度訪問介護

重度の障害で常に介護を必要とする障害児・者に、比較的長時間にわたり、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに、食事や排せつ等の身体介護、調理や洗濯等の家事援助、コミュニケーション支援や家電製品等の操作等の援助及び外出時における移動中の介護が、総合的かつ断続的に提供されるような支援を提供します。

(3)重度障害者等包括支援

常に介護を必要とする方のなかでも、特に介護の必要度が高い方に対して、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助を利用者の必要に応じて組み合わせ、計画に基づいて包括的に提供します。

(4)行動援護

知的障害又は精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する障害児・者に対して危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護などを提供します。

(5)同行援護

視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の介護などを提供します。

(6)短期入所

介護者の疾病等の理由により、居宅において介護を受けることができない障害児・者が施設等に短期間の入所をします。

(7)療養介護

医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の支援を行います。

(8)生活介護

常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排泄、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。

(9)施設入所支援

施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排泄、食事の介護等を行います。

(Ⅱ)訓練等給付:利用者となる障害者本人とともに、訓練を行うという視点での給付です。

(10)自立生活援助

ひとり暮らしに必要な理解力、生活力などを補うため、定期的な在宅場所への訪問や、随時の対応により、日常生活における必要な支援を、適切なタイミングで、一定期間にわたり行います。

(11)共同生活援助(グループホーム)

主として夜間、あるいは休日において、共同生活を送る住居において相談、入浴、排泄、食事の介護、その他の日常生活上の援助を行います。

(12)自立訓練(機能訓練)

一人暮らしなど自立した日常生活または社会生活ができるよう、身体機能を向上させ維持するために必要な訓練を、一定期間、行います。

(13)自立訓練(生活訓練)

一人暮らしなど自立した日常生活または社会生活ができるよう、生活能力を向上させ維持するために必要な訓練を、一定期間、行います。

(14)就労移行支援

一般企業等での労働など、就労を希望する人に、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を、一定期間、行います。

(15)就労継続支援(A型)

一般企業での労働など、就労が困難な人に、「雇用するという形」で働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。雇用という形なので、最低賃金も保障されます。

(16)就労継続支援(B型)

一般企業での労働など、就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために、「雇用という形」にとらわれず、必要な訓練を行います。

(17)就労定着支援

一般企業等での労働など、就労まで至った人に、一般的な就労に伴う生活面の変化や問題などの課題に対応するための支援を行います。

(Ⅲ)地域相談支援給付:利用者となる障害者本人が、住まう地域での生活を安定的に行い、定着して生活できるように相談などを行うことができるという視点での給付です。

(18)地域移行支援

施設などに入所または病院に入院している障害者について退所または退院に向けて、住居を確保する支援や、住もうとする地域での生活に移行するための活動に関する支援や、相談等のその他の支援を提供します。

(19)地域定着支援

在宅において単身等で生活する障害者について、常時の連絡体制を確保し、様々な障害の特性によって生じた緊急の事態等に相談、緊急訪問の支援などを提供します。

※(1)から(5)までを「訪問系」、(6)から(8)までを「日中活動系」、(8)及び(9)を施設系、(10)及び(11)を「居住支援系」、(12)~(17)までを「訓練系・就労系」などというように、障害福祉サービスを分類した上で、それぞれのサービスを捉える観点もあります。

【二】地域生活支援事業

【二】地域生活支援事業:障害児・者が、自立して日常生活や社会生活を営むことができるように、それぞれの地域の特性や個々の利用者の状況に応じて、柔軟な形で事業を行い、効果的に、利用者ご本人に支援できるように行うものです。

それぞれの地域が行うものなので、大まかに、「市町村が行う地域生活支援事業」と「都道府県が行う地域生活支援事業」の2種類が存在します。

地域生活支援事業の具体的な種類が多数に存在し、先程述べた通り、「地域の特性」などを踏まえて、その事業を行うことになっているので、「必ず行わなければならない事業」と「市町村や都道府県が、任意的に自ら決めて行う種類に属する事業」に分かれているので、そのような分別がわかるような形のみで、「事業の名称」のみを、このたびは掲げることにし、その事業の具体的な内容については、今回は、割愛したいと存じます。

(Ⅰ)市町村地域生活支援事業

[1]理解促進研修・啓発事業
[2]自発的活動支援事業
[3]相談支援事業

 (1)基幹相談支援センター等機能強化事業
 (2)住宅入居等支援事業(居住サポート事業)

[4]成年後見制度利用支援事業
[5]成年後見制度法人後見支援事業
[6]意思疎通支援事業
[7]日常生活用具給付等事業
[8]手話奉仕員養成研修事業
[9]移動支援事業
[10]地域活動支援センター機能強化事業
11任意事業
【日常生活支援】

(1)福祉ホームの運営
(2)訪問入浴サービス
(3)生活訓練等
(4)日中一時支援
(5)地域移行のための安心生活支援
(6)障害児支援体制整備
(7)巡回支援専門員整備
(8)相談支援事業所等(地域援助事業者)における退院支援体制確保

【社会参加支援】

(1)スポーツ・レクリエーション教室開催等
(2)文化芸術活動振興
(3)点字・声の広報等発行
(4)奉仕員養成研修
(5)自動車運転免許取得・改造助成

【権利擁護支援】

(1)成年後見制度普及啓発
(2)障害者虐待防止対策支援

【就業・就労支援】

(1)盲人ホームの運営
(2)重度障害者在宅就労促進(バーチャル工房支援)
(3)更生訓練費給付
(4)知的障害者職親委託

12障害支援区分認定等事務

※[ ]の事業については、必須事業である。

(Ⅱ)都道府県地域生活支援事業

[1]専門性の高い相談支援事業

(1)発達障害者支援センター運営事業
(2)高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業
(3)障害者就業・生活支援センター事業《※》

[2]専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成研修事業

(1)手話通訳者・要約筆記者養成研修事業
(2)盲ろう者向け通訳・介助員養成研修事業

[3]専門性の高い意思疎通支援を行う者の派遣事業
[4]意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整事業
[5]広域的な支援事業

(1)都道府県相談支援体制整備事業
(2)精神障害者地域生活支援広域調整等事業

6 サービス・相談支援者、指導者育成事業

(1)障害支援区分認定調査員等研修事業
(2)相談支援従事者研修事業
(3)サービス管理責任者研修事業
(4)居宅介護従事者等養成研修事業
(5)強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)事業
(6)強度行動障害支援者養成研修(実践研修)事業
(7)身体障害者・知的障害者相談員活動強化事業
(8)音声機能障害者発声訓練事業
(9)精神障害関係従事者養成研修事業

7 任意事業
【日常生活支援】

(1)福祉ホームの運営
(2)オストメイト(人工肛門、人工膀胱増設者)社会適応訓練
(3)音声機能障害者発声訓練
(4)発達障害者支援体制整備
(5)児童発達支援センター等の機能強化等
(6)矯正施設等を退所した障害者の地域生活への移行支援

【社会参加支援】

(1)手話通訳者設置
(2)字幕入り映像ライブラリーの提供
(3)点字・声の広報等発行
(4)点字による即時情報ネットワーク
(5)障害者ITサポートセンター運営
(6)パソコンボランティア養成・派遣事業
(7)都道府県障害者社会参加推進センター運営
(8)身体障害者補助犬育成
(9)奉仕員養成研修
(10)スポーツ・レクリエーション教室開催等
(11)文化芸術活動振興
(12)サービス提供者情報提供等

【権利擁護支援】

(1)成年後見制度普及啓発
(2)成年後見制度法人後見支援
(3)障害者虐待防止対策支援

【就業・就労支援】

(1)盲人ホームの運営
(2)重度障害者在宅就労促進(バーチャル工房支援)
(3)一般就労移行等促進
(4)障害者就業・生活支援センター体制強化等

【重度障害者に係る市町村特別支援】

※[ ]の事業については、必須事業である。

まとめ

株式会社土屋は、個別給付としての「重度訪問介護」を中心に、訪問系の支援や、地域生活支援事業の中の「相談支援事業」や「居宅介護従事者等養成研修事業」に関わり事業展開をしています。

加えて、「障害福祉サービス」には該当しませんが、別制度としての「介護保険制度あるいは医療保険に基づくサービス」あるいは「訪問介護」、「デイサービス」、「訪問看護」などの事業も展開しております。

このたび取り上げた障害福祉サービスにつき、「重度訪問介護」をはじめとして、その他の様々なサービスあるいは制度は、法律や法令にのっとって定められています。それら法律に基づいて、主に「福祉行政」という枠組みで、行政機関が深く関わり、各種法人の事業所が、事業展開を行っています。

行政書士有資格者、社会福祉主事任用資格者
筆者プロフィール
1973年7月上山市生まれ。県立上山養護学校、県立ゆきわり養護学校を経て、肢体不自由者でありながら、県立山形中央高校に入学。同校卒業後、山形大学人文学部に進学し、法学を専攻し、在学中に行政書士の資格を取得。現在は、「一般社団法人 障害者・難病者自律支援研究会」代表。

当HP「土づくりレポート9月号」にて、齋藤直希さんをご紹介しております。

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