24時間自宅で介護を受けられる重度訪問介護の重要性とメリットを解説
一般的に広く知られている介護事業所には、日中だけ通うことができるデイサービスや、寝泊まりができるショートステイや有料老人ホーム、グループホームなどがあります。
介護は、「クライアント(利用者)が指定のホームや施設に足を運びサービスを受けるもの」といったイメージが多くの人に定着しており、24時間自宅で介護を受けられる重度訪問介護については、あまり広く知られていません。
今回は、24時間自宅で介護を受けられる「重度訪問介護」について詳しく解説します。
重度訪問介護の支援内容
重度訪問介護では、重度訪問介護従事者が、肢体が不自由な方や知的・精神障害があり、介護を必要とする方の自宅に訪問し、クライアントの生活を24時間サポートします。
住みなれた環境・自宅で、今までと同じように、自分らしく生活を続けられることが特徴です。
主な支援内容は、身体介助と生活援助です。
身体介助や生活援助の支援内容としては、以下のような例が挙げられます。
■身体介助の例:
・食事の介助
・入浴の介助
・排泄の介助
■生活援助の例:
・日用品や食材の買い出し
・クライアントの体調管理
・掃除や洗濯
また、身体介助と生活援助の他に、クライアントのメンタル面のケアをするのも支援内容の1つです。
例えば、クライアントの身の回りのことを、介護者が全て行うのではなく「自分で出来ることは、自分でやりたい」と考えるクライアントの意見を尊重し、少し離れたところから見守りすることも、メンタル面のケアとして重要なことです。
医療や看護と連携をしながら、必要に応じて喀痰吸引や経管栄養の医療ケアも行います。
24時間対応の重度訪問介護が必要とされる3つの理由
重度訪問介護を利用する条件を確認すると、なぜホームや病院ではなく自宅で過ごす必要があるのか、と疑問に思う方もいるかもれません。
病院やホームに入院、または入居せず、自宅で24時間体制の介護が必要とされている理由は3つあります。
- 自宅で過ごしたいと思う介護対象者が多い
- 夜間帯の体調の変化にもすぐに気づくことが出来る
- ご家族の不安や負担を軽減できる
それぞれ順に説明していきます。
自宅で過ごしたいと思う介護対象者が多い
病院やホームなどに入居せず、自宅で暮らしたいと願う重度訪問介護対象者は、数多くいます。
住みなれた自宅は、1番安心ができる場所であるため、ストレスが溜まりにくく、穏やかな毎日を暮らすことが可能です。
自宅には他のクライアントもいないので、誰の目も気にせずに、理想の暮らしを実現できる最適な場所でもあります。
夜間帯の体調の変化にもすぐに気づくことが出来る
体調が悪化しやすい夜間帯は、クライアントの体調の変化に注意をしなくてはいけません。重度訪問介護は夜間帯でも、常に近くでクライアントを見守っている介護者がいるため、クライアントの体調の変化にすぐに気づくことが可能です。
そして、万が一クライアントに何かがあっても、すぐに適切な対応をすることができます。
ご家族の不安や負担を軽減できる
自宅で過ごしたいという重度訪問介護対象者の気持ちを尊重し、ご家族の方が自宅で介護をする家庭もあります。また、遠くに住んでいるご家族が、重度訪問介護対象者の自宅に住み込みで介護を行う家庭もあります。
しかし、在宅で行う介護は、ご家族の方に大きな負担がかかってしまうケースが多いでしょう。また、夜間に何かがあっても、ご家族の方だけでは対応できないケースも数多くあります。そのため、介護をすること自体に不安を覚えてしまうご家族も少なくありません。
24時間対応による重度訪問介護のメリット
次に、重度訪問介護のメリットについて解説していきます。
主なメリットは4つあります。
- 1人暮らしでも安心できる
- ご家族の方も安心できる
- ケアが行き届く
- 生き甲斐を見つけられる
それぞれ順に説明していきます。
1人暮らでも安心できる
元々1人暮らしをしていて、親族や頼れる方が近くにいない重度訪問介護対象者は少なくありません。
1人で暮らしていると、いつ体調を崩してしまうか、いつベッドから転落してしまうか、といった不運な出来事を自分で予測することは不可能です。
しかし、介護者が常にクライアントを見守っていれば、このような出来事を事前に防ぐことができ、クライアントも安心できます。
また、介護対象者の中には「自分が眠っている間に何かあったら大変だ」と不安になり、なかなか眠れない方もいます。朝が来るまで自分のことを見守ってくれる介護者がいると、安心して眠ることができるでしょう。
質の良い睡眠をとることは、健康に良いだけではなく、幸福感にも大きな影響を与えます。介護対象者が毎日を穏やかに、幸せに過ごせるためにも、介護者がそばに寄り添うことがポイントです。
ご家族の方も安心できる
重度訪問介護は、クライアント本人だけではなく、ご家族の方も安心できます。
ご家族の方が常に心配し、そのことが頭から離れない状態が続いてしまうと、その心配が、次第に大きなストレスへと変わっていきます。
24時間そばで見守ってくれる方がいることで、ご家族の方も安心できます。
ケアが行き届く
重度訪問介護は、病院やホームと違い、基本的に1対1で介護サービスを提供します。経験の浅い介護者が先輩介護者に同行して仕事を覚える期間もありますが、その場合は1人のクライアントに対して数人の介護者が対応する形となります。
そのため、何十人もの介護対象者を数人で対応するホームや病院に比べ、細かいケアが行き届きやすいのが特徴です。
重度訪問介護対象者が生きがいを見つけられる
重度訪問介護では、クライアントは住みなれた環境で、他のクライアントの目を気にせずに暮らすことが出来るため、毎日穏やかに過ごすことが可能です。
クライアントが、穏やかな生活を送ることで、自然と自分の中で生きがいを見つけられるようになります。
24時間対応する重度訪問介護は、多くの人から必要とされている
今回は、24時間対応の重度訪問介護の重要性やメリットについてご紹介しました。
24時間体制の重度訪問介護には、重度訪問介護対象者ご自身だけではなく、ご家族の思いもたくさん詰まっています。
住みなれた環境で支援を受けられる重度訪問介護は、多くの重度訪問介護対象者から求められています。
重度訪問介護は、「自宅で介護を受けたい」と願う、多くの要介護者の願いを叶えることが可能です。