ALSのクライアントの支援で感じたこと~ALSって何?~
大関美佐緒
『ALSとは、筋萎縮性側索硬化症という、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。』
難病情報センターのサイトには、ALSについて上記のように書かれています。
私はホームケア土屋に入社して初めてALSに罹患されたクライアントの支援に入らせていただきました。そしてALSのクライアントの支援に複数関わることになり、まずALSの方ってこんなにいるの?というのが最初の驚きでした。
自分が実際支援に入る方では、現在5名のALSのクライアントに関わっています。
この病気は進行具合や、どこの筋肉から弱くなっていくかなど人それぞれで、診断を受けて2~3年で寝たきりとなり、気管切開して人工呼吸器を付けている方、診断から2~3年経つが、歩行はできないものの電動車椅子を自走してその他はほぼ通常に手が使えて食事も常食で保てている方、診断から10年が経ち、手足の筋力低下は顕著でほぼ手は使えないが、装具など使用しリハビリを続け立位や歩行の維持に懸命に努めている方など、本当に人それぞれです。
そして環境も人それぞれ、病気に対する意識、向き合い方も人それぞれです。
クライアントは体を思うように動かせないだけで、感覚や思考は通常ですから、大きな葛藤とストレス、時間とともに筋力が落ちていく不安、思うように話せなくなる不安、呼吸ができなくなる不安、食事が飲み込めなくなる不安を常に抱えているというか向き合っています。
ある支援先でALSの手引書のような患者の手記も載っている本を読ませていただきました。
診断が出てからのリハビリの活用や、進行を遅らせる作用のある薬などをうまく使っていくことで、長く生きていくことは可能だとありました。
ある時点で気管切開をしなければならなくなると思われますが、ご家族に大きな負担がかかる形ではない支援体制が整っていれば、クライアント本人の自分自身の病状に対する葛藤を全部取り除くことは出来ないとはいえ、クライアントご自身は、自分のお世話を介助者に任せることにはなるけれども、家族と共に長く過ごしていくという選択ができます。
ご自身の病気に絶望して、周囲を思い気管切開も胃ろうも作らない選択をする方もいます。でもそれは、そのように思ってしまう環境に置かれているからであって、生きていたい目的、一緒にいたい人、整った支援体制があれば、長く生きていくための方法を選択すると思います。
ハッキリいってALSの方の支援は大変です。身体を動かせないことによる苦痛や、衰えていくことの不安は、身体を動かせる私たちには本当には理解することができないからです。
でも、寄り添うことをあきらめることなく、色々とぶつかることがありながらも、「長く生きていくための選択をできる環境に整えていくこと」が重度訪問介護のアテンダントの役割なのかな。と思っています。