言葉じゃない~介護職としての私の工夫~
作間淳哉
ホームケア土屋関東で、コーディネーターを務めております、作間淳哉と申します。
僕は昔、ドイツに9年ほど住み、老人ホームや訪問介護の現場で介護職として働いていました。
ドイツ語ができたわけではないので、ドイツでの生活は最初とても大変でした。インターネットカフェでバイトをしながらドイツ語学校に通いました。
言葉が分からない、ということは想像よりもとっても大変なことで、スーパーでレジ袋が必要かどうか聞かれても理解できず、街で話しかけられるのが怖いと感じるほどでした。言葉が通じない、聞き取れないというのは本当に不便で、心細いものなのです。
やっとどうにか言葉も覚え、老人ホームで働けるようになってからも、今度は介護の専門用語や利用者たちが使う方言を覚えなければならず、本当に苦労しました。
しかし僕はこの体験を通して、とても大切なことを勉強しました。それはコミュニケーションの大切さです。またコミュニケーションが上手に取れない人たちの不便さです。
日本で介護をしていた時は、考えがそこまで至りませんでしたが、世の中にはコミュニケーションが取りたくても取れない人たちが沢山います。僕がいま、介護させていただいている人たちもそうです。発語障害や認知機能症害の方もいれば、外国出身の方もいらっしゃいます。その人たちの不便さを、僕はドイツで身をもって体験しました。
想像することはとても大事なことですが、想像力の乏しい僕にとって、この体験はとても大きなものでした。
言葉が通じる、自分のやりたいことを表現できる、ということは皆にとっての当たり前ではなく、それができずに困惑し、怯え、恐怖を感じ、心細く思っている人たちがいます。
気が付けば僕が支援させていただいているあの人もこの人も、僕たちが当たり前だと思っている「言葉の世界」からはこぼれ落ちているのではないでしょうか。
ではどのように係わっていけばよいのでしょうか。
まず「不安を取り除いてあげる必要がある」と思います。
自分のしたいことが表現できないことはとにかく不安です。自分を受け入れてもらい安心していただくことは簡単ではありませんが、これがとにかく大切だと思います。なぜなら人は安心できる相手でなければ困りごとを相談できないと思うからです。ですから僕は自分に目標を定めました。
自分が相手にとって、信用できる存在になるという目標です。そしてその次に、相手の心の声に耳を傾けることです。お互いが安心した状況で、お互いが本気で通じ合おうと思えば、必ず通じ合えますし、訴えたいことが伝わってきます。そこに言葉は必要ありません。
まだまだ半人前の僕ですが、どんな相手でも通じ合える、コミュニケーションのプロを目指して、これからも頑張っていこうと思います。