なぜ腰痛は介護職の職業病なのか? / 小林義男

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なぜ腰痛は介護職の職業病なのか?
小林義男

はじめまして。ホームケア土屋茨城で、コーディネーター兼管理者として従事させていただいている、小林と申します。

私が介護を始めたきっかけをお話しします。

私は常々「人の役に立てることはないか」と考えていました。

ひょんなことから、自分の叔母の介護を手伝う機会があり、そこから介護に興味を持ち、もっと知りたいと思い、実際に介護の仕事を始めました。

土屋に入社する前は、約13年高齢者介護の現場をやっておりました。

仕事中、移乗動作時にぎっくり腰をやってしまい、今でも疲労がたまると腰痛が出てしまうことがあります。やはり介護職員にとって、一番多い疾病が腰痛です。

厚生労働省が令和3年に行った「業務上疾病発生状況等調査」では、『介護職が仕事中の腰痛で4日以上休業した』という報告が2000件以上あることから、介護職員にとって腰痛とは職業病とも言えると思います。

そもそも、介護をやっていてなぜ腰痛になってしまうのか?

腰痛を作ってしまう要因は3つあると思います。

まず1つ目は、腰を曲げたまま重いものを持ち上げるという動作を多く行います。

クライアントのオムツ交換、トイレ介助等を前かがみになって行ったり、ベッドと車椅子間の移乗介助で身体を持ち上げる…等の動作を、長時間かつ頻繁に行うことで腰に負担がかかり、腰痛の原因になるのだと思います。

2つ目は、「介護職員に腰痛予防等の知識がないこと」で、無理な体勢で介助を行ってしまうことが続き、腰痛を起こしてしまうことです。移乗介助の際に力任せに持ち上げたり、クライアントを中腰で抱えたり、腰への負担が多くなります。

3つ目は、介護現場の環境が整っておらず長時間同じ姿勢で介助しなければいけない等、腰に負担ばかりな動作が続く、人手不足により一人当たりの仕事量が多く負担になることばかりが続いてしまうことにより疲労がたまり、移乗動作時に気をつけていても腰痛の原因になってしまうからです。

これらの原因に対して何も対処せずにいることが多く、介護職に腰痛が多いのだと思われます。

事前に行う腰痛対策として3つあると思います。

1つ目は、無理な体勢等で介助を行うのではなく、「正しい姿勢と正しい介助方法」で行うことです。正しい姿勢なら腰ばかりに負担がかかるのでなく負担を分散でき、安全な介助ができることにより、クライアントも安心して自分の身体を任せられるので、Win-Winの良好な関係性が作れます。

2つ目は、仕事の合間や休憩時間に腰を伸ばすストレッチや体操をすることです。

身体を伸ばすことで、腰への負担を軽減するだけでなく、疲労回復やリフレッシュ効果も期待できます。また、背中や腰の、凝った筋肉をほぐすことができ、血流がよくなる効果あります。

最後3つ目は、「ボディメカニクス」を活用することです。

ボディメカニクスとは、人間の骨や筋肉、関節の「力学的関係」を、介護場面で活用したものです。利用者の身体を最小限の力で動かすことが可能になり、介護職とクライアント双方の負担が軽減できます。

「8つの基本原理」があり(利用者の身体を小さくまとめる、利用者との重心を近づける、支持基底面積を広くする、重心を低くする、身体をひねらない、大きな筋群を使う、水平に移動させる、テコの原理を使う)、それに基づいて介助を行うことで、腰痛予防に繋がります。

介護職にとって「腰痛」という言葉を耳にしないことはないでしょう。ですがしっかり原因を把握し、改善できることは予防していくことが大切だと思います。

現状、分かっていても業務に追われて、疲労がたまっている状態で介助を行わなければいけない環境等、まだまだあると思われます。最近では、サポートロボットやアシストマシーンも増えてきて、介助者の負担軽減が図れつつあります。

ただ、まだまだ無理な介助や介助者の知識不足により腰痛が原因で介護から離れないといけない状態は多いので、介護職にとって腰痛は職業病になってしまうのです。

プロフィール
小林 義男 ホームケア土屋 関東

名前:小林 義男
出身地:茨城県
趣味:スポーツ観戦
保有資格:ヘルパー2級、介護福祉士、社会福祉主事

スポーツ全般やることも好きですし観戦するのも好きです。
特に学生からやっていたバレーボールが好きでVリーグ等いける時は観に行っています。

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