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季節の変わり目 / 雪下岳彦

季節の変わり目
雪下岳彦

いよいよ3月に入り、暖かい日が増えてきますね。

三寒四温といいますが、数日間隔で暖かい、寒い、晴れ、雨や雪、気圧の変化などで体調を崩しやすい時期です。

かくいう私も、この時期は本当に体調が不安定で、日々苦心しています。

私は脊髄損傷という障害を持っています。

まず、この障害自体が、こういった気候の変化に対応できないという一症状を生じさせるのです。

加えて、コロナ禍によるストレスや加齢なども影響してきます。

人間の体は、暑い・寒いなど様々な環境に身を置いても、一定の機能を保てるよう自動的に働いています。

たとえば、暑いときは汗をかいて体温を下げ、寒いときは鳥肌を立てて体内から熱が逃げるのを妨げているのです。

それを調整しているが「自律神経」です。

自律神経には大きく「交感神経系」と「副交感神経系」の二つに分かれます。

車にたとえて言うならば、「交感神経系」はアクセル役、「副交感神経系」はブレーキ役になります。

この2つがバランスよく働くことで、人のパフォーマンスは最適化されるのです。

しかし、脊髄損傷はこの自律神経機能が起こりやすい障害なのです。

治療法は特になく、症状に応じて対処していくしかありません。

脊髄の障害で体温調節が難しい人は、クライアントの中にも多くいらっしゃると思います。

エアコン、扇風機、氷枕、衣服、寝具、などなどで適宜対処するのが重要です。

また、ストレスや加齢、そして季節の変わり目も、自律神経機能が乱れやすくなります。

病院では「自律神経失調症」や「更年期障害」と診断されることが多いでしょう。

以前は(ところによっては今も)、これらは「病気じゃない」「怠けだ」「気のせいだ」と言われてきました。

しかし、近ごろは相談できる医療機関も増えています。

今のような季節の変わり目、不調を感じたら、まずは「休む」、そして「無理をしない」です。

少しペースを落として、しっかり「寝る」。

それだけでも、楽になるはず。

その後は、「焦らない」です。

私もなんとか一日一日を「まあまあ」くらいで過ごせるよう、悪戦苦闘中です。

早く落ち着きたいところですが。。。

プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)

1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

050-3733-3443