できるを認め合い、できないを語り合う / 荒井大樹

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できるを認め合い、できないを語り合う
荒井大樹(ホームケア土屋 習志野)

年が明けると多くの場面で発表を求められる「新年の抱負」。

今回は「2022年の抱負」がコラムのテーマです。

個人的には新年だから新たな目標を立てるということはあまりせず、継続的に取り組んでいるのですが、せっかくの機会なので今年の抱負を考えてみようと思います。

私がマネージャーを務める千葉県の習志野事業所は、昨年6月に新規開設させていただきました。

開設当初は思うようにアテンダントが集まらず苦しい時期もありましたが、半年が経過してようやく事業所らしくなってきたように思います。

ただ、アテンダントとクライアントが増えてくると、それに伴って問題も増えてきます。

以前のコラムにも書きましたが、介護業界は人で成り立っている業種です。

どれだけITやAIが発達しても、人の介護をするのは人にしかできないのです。

しかし介護業界は慢性的な人手不足が続いており、高齢者も障害者も介護難民問題に直面しています。

訪問介護の新規依頼があってもヘルパー不足で受けられない、施設に入所依頼があってもヘルパー不足で満床にできないといった問題は日々起きています。

私は応募者の面接も担当していますが、勤務条件が合わない等の理由を除いて、ほぼ全員を採用する方針で面接しています。

応募者の割合は経験者1割:未経験者9割です。

もちろん経験者は即戦力になりますが、だからといって未経験者を不採用にしていては永遠に人が集まりません。

「探し求める小さな声に応えていく」という会社のミッションを達成するためには、言い方は悪いですが「質より量」を優先すべきと考えています。

とにかく採用の間口を広げ、介護職に興味を持ってくれた人たちを受け入れていく姿勢がないと、介護難民問題は解決できないからです。

しかし、どんな人でも採用するというのはリスクが伴うのも事実です。

やはり仕事には、向き・不向き、得手・不得手がありますから、誰でも簡単に介護の仕事ができるようになるわけではありません。

教える側、介護を受ける側のストレスや負担は増大します。もちろん教わる側も然りです。

ここを根気強く我慢できるかどうかが大きな課題となります。

クライアントからは「ベテランを派遣してほしい」とよく言われます。

おそらく誰しもが同じでしょうし、私もその気持ちは理解できます。

ただ、新人の受け入れを拒否するということは、将来のベテランを生み出さないことにも繋がるのです。

私はオールマイティーなスペシャリストじゃなくても、そのクライアントのスペシャリストになれればOKだと思っています。

人間(特に日本人)は、人の長所よりも短所が目に付く習性があります。

学校や会社でも「できないこと」を見つけて叱責する場面が多々あります。

「できること」を褒めて認めるという文化は浸透していないのです。

土屋のバリュー⑧に「できるを認め合い、できないを語り合おう」という文言があります。

様々な人を採用して、アテンダントとして育てていく上で、私の今年の抱負はこの言葉にしようと思います。

どんな人でも長所を見つけ、クライアントに「未経験ですけど、こんな良いところがある人なんです!」と紹介できるような管理者を目指します。

最後になりますが、抱負の「負」は「負ける」という意味ではなく、「背負う・請け負う」という意味だそうです。

今回、自分で決めたことを背負い、1人でも多くのアテンダントを、必要としているクライアントのもとへ派遣できるよう精進していきます。

プロフィール
荒井大樹(ホームケア土屋 習志野)

新潟県出身。
18歳で上京し、大学卒業後はアクセサリー販売、インテリア販売と小売業を20年経験。
42歳の時に未経験で介護業界へ転職。高齢者の訪問介護を経て、重度訪問介護へ移行する。
趣味は一口馬主で、現在20頭の競走馬に出資している。出資馬でGIを勝つことが夢。

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