ヤングケアラーについて考えること~「制度」が救いきれない彼ら~ / 尾上悠太

ヤングケアラーについて考えること~「制度」が救いきれない彼ら~
尾上悠太

ヤングケアラー(Young Carers)とは、若い年齢で家族の介護を担う子どもや若者のことを指します。

彼らは一般に、身近な家族が障害や病気に苦しんでいるため、「通常の子どもとは異なる責任や役割」を担うことになります。ここでは、ヤングケアラーの重要性、彼らへの支援の必要性、そして社会が彼らに対してどのように関与すべきかについて考えを述べたいと思います。

ヤングケアラーは家族の一員として、日常的に介護や世話を行います。これには身体的なケアだけでなく、心理的・感情的な支えも含まれます。彼らが抱える負担は非常に重く、その影響は身体的健康、教育、社会的発達にまで及びます。

多くの場合、ヤングケアラーはその責任を十分に理解されず、支援されることなく孤立しているのではないでしょうか。学校での成績の低下や不登校、精神的ストレス、社会的孤立など、彼らが抱える問題は多岐にわたります。しかしながら、この問題に対する認識や対策はまだまだ不十分であると考えます。

ヤングケアラーが適切な支援を受けることは、彼ら自身の健康や将来に直接的な影響を与えます。第一に、彼らの負担を軽減することが必要です。支援団体や専門家からの心理的支援やカウンセリング、そして必要な場合の身体的支援が必要不可欠です。

さらに重要なのは、教育機関や地域社会が彼らの存在を認識し、適切に対応することです。学校での配慮やフレキシブルなサポートが提供されることで、彼らが学業と介護の両立を図ることができます。

また、地域コミュニティや政府レベルでの政策の整備が不可欠です。これにより、ヤングケアラーが安心して自己実現を図ることができる社会環境が整えられるのではないでしょうか。

そもそも、ヤングケアラーの支援は単なる個別の問題ではありません。これは社会全体の責任です。彼らが適切な支援を受けられる社会を実現するためには、大きく分けて「教育と啓発」・「支援体制の強化」・「政策の改善」の3つが必要であると考えます。

まず「教育と啓発」についてです。ヤングケアラーの存在をもっと広く認知してもらい、その理解を深めるための教育プログラムを組むことで、彼らが経験する困難に対する共感が生まれると考えます。

次に「支援体制の強化」についてです。医療、教育、社会福祉の分野での連携を強化し、ヤングケアラーが適切な支援を受けられる仕組みを整備する必要があると考えます。

最後は「政策の改善」についてです。政府は、ヤングケアラーのニーズに応じた政策を策定し、実施することが重要であると考えます。

現在、「子ども・若者育成支援推進法」という法律がありますが、これまで法律上の明確な規定がなく、支援も地域によってばらつきがありました。

しかし、2024年6月の法改正で、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と初めて明記しました。その上で、国や自治体が支援を行う対象とするとしています。

2023年度に全国の自治体を対象に行われた調査では、約30%の自治体がヤングケアラーに対する取り組みは「特にない」と回答しました。

また、支援に取り組んでいる自治体も「相談窓口の整備など」が7.8%、「専門職員の配置」が9.6%などにとどまっており、今回の法改正に伴い、更なる支援の拡充につながっていけばと考えております。

(引用元:https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/006/15/)

最後までご高覧いただきありがとうございました。

◆プロフィール
尾上悠太 ホームケア土屋 長崎

長崎県出身。釣りが趣味。

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