自分の実力を直視してこそ得られる実感~未経験からトライした介護の実際~
小山博司
私はこれまで福祉や介護とはかけ離れた業界で、営業や事務の仕事に25年ほど携わってきました。
昨年、就職活動を行う中、父が倒れ入院することになりました。
医療職や看護職の方のお世話になる中、医療や福祉に携わる仕事なら世の中から必要とされ、やりがいを得ながら仕事できるのではないか、何のために働くのか迷うこともないだろうと思い、病院内や福祉施設内の人事職や総務職に応募していました。
そんな中、株式会社土屋の採用募集記事を目にし、介護職として経験を積めば父を自宅で介護することになった時、その経験が役に立つのではないか、未経験者も可と記載があったので何とかなるだろうと思い、重度訪問介護とは何なのかも分らぬまま、思い切って応募し、入社させていただくことになりました。
入社後、ALSのクライアントを支援させていただくことになりました。
支援に入らせていただいた当初は、吸引などの医療的ケア以前に、お体に触れる事がとても怖く感じ、及び腰で支援していました。当然、体交や上方移動も上手くいかず、クライアントから睨まれて怒られているように感じ、さらに萎縮してしまうこともありました。
今思えば、なにも怒っていたのではなく、私の不安がクライアントに伝わり純粋に不安を感じていらしたのではないかと思います。
先輩や他のアテンダントができていて、丁寧に教えてもらっているのに、「何故自分は上手くできないのだろう」と、とても悔しく情けない気持ちになり、クライアントに申し訳なく思ったのを覚えています。
家族相手に練習し、現在は人並みにはできるようになったかと思います。医療的ケアやコミュニケーションについても、回数を重ね、慣れることで行えるようになりました。
働く前は、「新人でも支援を行うだけでクライアントから感謝してもらえるのではないか」と、どこか甘い考えがありましたが、クライアントは支援ができて当然と考えているという当たり前のことを痛感させられました。
自分は器用ではなく成長も遅いのが働いてみてわかりましたので、手を抜かず成長し続けなければならなと思います。また、手を抜かず一生懸命にやれば、助けてくれる人がまわりにたくさんいることも働いて感じられました。
入社後すぐに父は他界してしまい、父を介護することはできませんでしたが、クライアントを「父と思って…」とはおこがましいですが、そのような気持ちを持って支援を行いたいと思います。
その中で少しでもクライアントのお役に立っていると感じられたら、これをやりがいにして続けていきたいと思います。
また、私と同じように介護業界未経験の方に対し、より近い立場でお伝えできることもあるかと思いますので、応援していきたいと思います。