介護の仕事を始めて変わった私の価値観
三ツ橋直人
私が介護職をはじめて最初に感じたのは、「ありがとう」が多い職業だと感じました。
この「ありがとう」の効果が絶大で、言った人も言われた人も、優しい気持ちにさせてくれる、素敵な言葉だと介護をはじめて改めて感じたのを今でも鮮明に覚えています。
もう一つ、介護をはじめて感じたのが、出会いと別れの多い職業だということです。
別れのたびに思うことは、「あの時もっとああしておけばよかった、こうしておけば違った結果になったのでは…」などと、後悔してしまうことも少なくありません。
だからこそ、少しでも後悔しないように、より良い支援を提供しようと日々頑張っている介護職員が多くいるのだと思います。
その思いが、多くの「ありがとう」につながっているのだと思って、日々の支援をしています。
また、介護職をはじめるまでの私は、物事に対する考え方が偏っていて、主観的な考え方をしていました。しかし、介護をはじめてからいろいろな人と接するようになったことと、主観的な考えでは、良い支援が提供できないことに気付き、客観的な考えができるようになりました。
主観的な考えが必ずしも間違っているわけではないのですが、介護職は利用者に良い支援を提供するために、医療や地域、ご家族など様々なサービスと連携しなくてはいけません。それゆえ、多方面から色々な角度で物事を考えられることが求められます。ですので、お客様に支援を提供する際に自分本位になっていないか、常に考えながらする必要があります。
最初は、自分の考えを矯正させられているかのような感覚で、窮屈に感じることもありました。しかし、すぐにその感覚はなくなり、むしろ考え方が柔軟になることで視野が広くなり、楽しく感じるようになりました。
私は最初、介護職は誰でもできる簡単な仕事だと思っていました。
しかし、介護技術はもちろん、多職種と連携し、情報交換をするために必要な専門的な知識や、制度の理解など必要なスキルは多岐にわたり、非常に勉強のし甲斐のある職業だと今は感じています。
中でも、クライアントとのコミュニケーションや、心地いい距離感の取り方などの「接遇の技術」が非常に奥が深く、難しいところだと感じています。数ある人に接する仕事の中でも、介護職はかなり技術を必要とする仕事の一つだと思います。だからこそ、生涯をかけて、突き詰めていく価値のある職業だと思っています。
こんなに「ありがとう」が多く、いろいろな考え方に接することで多くを学ぶことができて、「人」に真剣に向き合い支援をする、そんな介護の仕事に私は誇りをもっています。
プロフィール
三ツ橋直人 ホームケア土屋 九州
ホームケア土屋九州 コーディネーター
介護福祉士、サービス提供責任者
28歳で有料老人ホームに入職し8年務める。
2021年に土屋に入職。
趣味は美味しいものを食べることと、スーパー銭湯めぐり