意識の持ち方~ポジティブ意識の発信源になってみると~
小﨑有哉
私は介護職に就くことを、家族や友人からずっと反対されていました。
労働環境が厳しく給料も安い、「きつい」「汚い」「危険」の頭文字をとった3Kなどと世間では言われていることが原因です。
日々支援にあたっていれば、きついことだってあります。
排泄処理など、介護職以外では携わることのない仕事だってあります。
相手は人ですし、体の自由がききにくい為、危険を感じる場面もあります。
正直に言ってその通りだなと思うのも事実ですが、様々な悪い印象を踏まえた上でもそれに勝る喜びを感じています。
仕事を始めて間もない頃はクライアントから不満を言われる度に「言われた通りにしてあげてるのになんで不満を言われなければいけないのか」と腹が立つことがよくありました。
一度関係性が崩れてしまうと、なかなか再構築するのは困難でした。
ですが、ある時逆の立場で考えてみようと視点を変えて考えることにしました。
自分がもし障害をもってしまったら…
日々、自由のきかない体と痛みでやりたいこともできず、イライラするだろうな。
誰かが助けに来てくれたとしても、時には八つ当たりをしてしまうかもしれない。
自分のことを障害者でなく人として見てほしい、接してほしい、憐れまないでほしい。
誰かに自分を理解してほしい、信頼できる人にそばにいてほしい。
できることを可能な限り楽しんで過ごしたい、笑顔でいたい。
等々、書き出そうとしてもキリが無いほど、沢山の気持ちが溢れてきました。
クライアントは自由に体を動かすことが出来ない、誰かの力を借りないといけません。
でも、逆の立場で「上から目線」で接してこられても、良い気持ちがするはずがありません。
「してあげてる」というのが、根本的に間違っていたと痛感しました。
そこからは「してあげてる」の意識を捨てて「共に過ごす」という感覚に変えました。
するとそれまで苦痛の多かった介護の仕事の世界観が180度変わり、楽しいと思えるようになったんです。
クライアントからの不満も激減し、お互い笑顔で過ごせるようになりました。
私は意識の変化をクライアントに直接話した訳ではありませんが、クライアントから見た私の印象も良くなっていました。
大切なのは言葉や表情よりも気持ちだったんだと良くわかりました。
それまで私が不満を言葉に出さずとも、いくら表情を顔に出さないように作った笑顔で装っても、クライアントには見抜かれてたって事ですね。
自分自身がプラスの感情で接することで、クライアントも楽しく笑顔で過ごしてくれる。
互いに理解し合って、互いに信頼し合って、今ではこの仕事を天職だと感じます。
家族や友人からも「楽しそうに仕事してるね、良い仕事に就いたね」と言ってもらえるほどになりました。
これからも沢山の方々と共に協力し合いながら楽しく笑顔で過ごしていきたいと思います。