「未経験からの身体介護」
荒井大樹(ホームケア土屋 関東)
私は42歳の時に17年勤めた会社を退職し、無資格・未経験で介護業界に飛び込みました。
介護職を選んだ理由は、久々に帰省した実家で要介護の祖母に接したこと、「転職するなら社会貢献できる仕事に就きたい」と思ったこと、という「よくある動機」でした。
今回は、中年になってから未経験で始めた私が感じた、「介護の仕事」について書きたいと思います。
おそらく、多くの人が最初にぶち当たる壁が「身体介護」だと思います。
「身体介護」とは排泄介助、食事介助、更衣、口腔ケア、入浴介助、移乗などです。
要は、私たちが普段無意識に行っている日常生活動作を意識的に介助するということです。
自分で食事したり、着替えたり、歯磨きしたり、立ったり座ったりする時に、いちいち考えながらやる人はいません。しかし、これらの動作を他人にするとなると、途端に難しく感じます。
食事は一口で食べる量や飲む量、歯磨きはハブラシを入れる深さや力加減、着替えは袖や首の通し方。私は子育て経験もないので、すべてのことが初体験でした。
「人間が立ち上がる時に真上に向かって立っていない」なんて介護の研修を受けて初めて知りました。
仕事を始めてから、家で何度も自分の「日常生活動作」を確認しました。
どうやって服を着たり脱いだりしているのか、どうやって寝返りをうっているのか、どうやって立ち上がっているのか、考えながら意識的にやることで、人間の体の動きが徐々にわかってきました。
もし介護の仕事を始めたばかりで身体介護の手技に悩んでいる方がいらしたら、まずは、自分の動作を客観的に確認してみることをお勧めします。
介護技術には必ず根拠(エビデンス)がありますので、それを「頭と体で理解」できると、自分の成長が実感できると思います。
あくまで自分の経験なので、すべての人の参考になるかはわかりませんが、これから介護の仕事を始める方々の一助になればと思い書かせていただきました。
ご拝読ありがとうございました。
プロフィール
荒井大樹 ホームケア土屋 関東
新潟県出身。
18歳で上京し、大学卒業後はアクセサリー販売、インテリア販売と小売業を20年経験。
42歳の時に未経験で介護業界へ転職。高齢者の訪問介護を経て、重度訪問介護へ移行する。
2020年11月に東京の関東事業所、2021年6月に千葉の習志野事業所の開設に携わり、2022年8月から埼玉の大宮事業所に異動。
短期間での引っ越しを繰り返し、究極のミニマリストに成長。
趣味は一口馬主で、現在30頭の競走馬に出資している。出資馬でGIを勝つことが夢。