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『看取り」を経て考える死生観2』〜高齢者介護の現場から〜 / わたしの

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約5分

『看取り」を経て考える死生観2』〜高齢者介護の現場から〜
わたしの

土橋:特別養護老人ホーム(特養)で働いています澄さん(スミさん)に、「看取り」について話を伺ってきました。私は、人が息を引き取る瞬間に立ち会ったことがありません。「看取り」に立ち会うのはもちろん仕事をはじめてからの体験ですよね。

澄:そうですね。

土橋:「看取り」の体験をするとどういう気持ちになっていくんですか?

澄:どういう気持ち…そうですね…。

土橋:淡々と、ですか?

澄:いえ、毎回泣きます(笑)。職員みんなで泣いて、葬儀屋さんに運ばれて玄関から出ていくのをみんなで見守るという流れがあるんです。

土橋:泣くというのは、どうして泣くんですか?

澄:私は地方から上京している身なので、年に数回家族や親せきと会うくらいなんですが、24時間365日介護業務を行っている施設なので、家族より家族になっている現場なんです。自分のおじいちゃんおばあちゃんよりも会ってるし、自分のおじいちゃんおばあちゃんにできなかったことを入居者の方にさせてもらってる感じなんです。だから家族が亡くなって寂しいみたいな感じで寂しいんです。ベテランの職員もいまだに泣いています。

土橋:やはり多くの時間を共有してきたということなんですね。

澄:そうです。しかも、あの頃すたすた歩いていて、今はこうっていう変化も見てきています。10年働いている職員は、その人の10年の変化に寄り添っているわけです。あとは、寂しさで泣くというのもありますが、後悔もあります。

土橋:後悔?あの人にこういうことをしてあげられたのにな、とかですか?

澄:病院先で亡くなった方がいて、介護施設では医療が提供できないので、そんなときは救急搬送する場合があるんですね。運ばれていってそこでお別れっていうパターンもあるんです。むせることが増えたとか、熱を出しやすくなったとか、排尿の色が変化したとか、生活リズムが崩れがちになったとか日常の中で観察ポイントがいくつかあるんですが、その変化に敏感になって確実にキャッチして、今こういう状態になっているから対応を変えましょうという判断をするのが担当の仕事なんですね。それをしきれなかったから救急搬送になっちゃったのかなとか、すごい考えちゃいました。先輩方はすごい早く対応を変化させるんです。その日の状態を見て、毎日対応を変える場合もあります。

土橋:具体的にはベッドの角度や飲み物のとろみなどのことですか?

澄:そうです。状況判断して細かく変えるんです。働き始めたばかりの頃の私は、どこか期待しちゃうと言いますか、この人は元気だからまだ大丈夫だろう、そんなに対応を変えなくてもいいんじゃないかって思ってたんです。でも、病院で亡くなった方のケースを体験したあとに「もっとしてあげられたよな」って後悔で、通勤中も泣きながら自転車を走らせていました。出勤してももうその人はいないし…。結構引きずってしまいました。

土橋:今はどうなんですか?

澄:今は逆に過度に反応して(笑)。すぐに対応を変えましょう!になって、学ばせてもらったなって思ってます。

土橋:そのような「看取り」を経て、人が息を引き取っていく瞬間に立ち会っていく中で、自分の死生観は変化しましたか?何か感じるところがありますか?

澄:そうですね…。

土橋:でも、もともと「今を生きる」人ですよね(笑)。

澄:(笑)その気持ちがさらに強くなりました。

私の職場では定期的に入居者の中から一人を指定して今日はこの人のことについて話すという時間があるんです。

その時間は、この方がどういう人だったのか、今何に困っているのか、担当が自分が持ってる材料とか引き出しとかがなくなって煮詰まっちゃったときに、いっぱいいっぱいになったときに出勤している職員に相談できる時間なんです。そこで私が担当しているAさんが現在は全介助で、ベッドから車いすに移動するのも介助だし、食事も介助、発語もないという状態なんですけど、他の職員から昔のAさんは元気で登山してたんだよとか、こんな食べ物が好きだったんだよとか、お酒も飲んでたんだよっていう情報を聞いて「そうだよな」って思うんです。好きなことやって、好きなもの食べて生きてきたんだよなって。その人の今までについて知ると、その人もまさか自分が動けなくなって特養に入って介護されるって思ってなかったんだろうなって気付くんです。

いつ人間がどうなるか分からないっていう場面をずっと見ています。昨日まで元気だったのに、今日はこんなに衰弱しているってことがよくあるんです。だから、今私が会いたい人に会おう!って今を大事にするようになりました。この人に会うことに時間を割こう、今行きたいところに行こうという気持ちがより強くなりましたね。今までも好き勝手やっていたんですが(笑)。明日死んでもいいやって思えるように生きようと思ってます、さらに。

土橋:「今を生きる」「瞬間瞬間を生きる」ことをより意識しているんですね。「看取り」を経て死生観も変化してきているんですね。ありがとうございます。次回もまた引き続き澄さんにお話を伺っていきます。お楽しみに。

つづく

プロフィール
わたしの

1979年、山梨県生まれ。

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