HOME CARE TSUCHIYA

『チーム作りに於ける、根源的に必要な美学』 / 古嶋航太

『チーム作りに於ける、根源的に必要な美学』
古嶋航太(ホームケア土屋 九州)

土屋には、『多様な声が聴こえる交響圏へ』というビジョンがあります。

『交響圏』とは、社会学者の見田宗介さんが作った言葉で、意味合いとしては、交響楽団やオーケストラ、シンフォニーをイメージしてもらえればわかりやすいかと思いますが、そういったニュアンスの『圏』、いわゆるコミュニティーのことを指しています。

そこには、ヴァイオリンもあり、ホルンもあり、シンバルもあり、太鼓もあり…と、様々な楽器が一定の調和を持って、個性を如何なく発揮しながら、ひとつの音楽を奏でており、そこには楽器の優劣などはありようがありません。

また楽団の楽器への受け入れが広ければ広いほど、重厚で美しい音楽になります。

それぞれが、個を尊重され、それぞれの短所を、それぞれの長所が補い合い、補完し合う。

そして、その相互の補い合いが、即ち個と個の愛着に繋がる、そんなチームが作りたい、そんな集団、そんな会社が作りたい、というのが私の理想です。

現代の日本社会に於いては、毎年の自殺者が3万人超、ひきこもりの人は現在54万人にものぼると、言われています。

社会が抱えている問題は多くありますが、単純に、この数字を目の当たりにしたとき、日本社会の一構成員から見ても、異様なものとして目に映ります。

この数字は、「日本社会の個人への不寛容」が作り出した数字である、と私は考えています。

障害者差別や性差別、人種や宗教による差別、ハラスメントや虐待など、様々、「集団から個を排斥しよう」というエゴイズムが渦巻いておりますが、これらの問題は、少しずつ「社会の問題」として認知され、これらを克服しようという動きもみられ、あるいは法律によって禁止する流れもあります。

社会がゆっくりと歩みを進め、人間性を重視した、高い倫理観と理想を持つ、あるべき人間の集団の姿に向かっているように感じます。

土屋が担う重度訪問介護もその一部かと思います。

先に記した、「3万人の自殺者」「54万人のひきこもり」、この人たちへの社会の働きかけはどうでしょうか。

自殺志願者のホットラインや、社会復帰の手助けをする団体はありますが、どれも対処療法であり、これらの問題に取り組む方々は、対処しても対処しても、次々に運び込まれ、増え続ける現状に辟易しているのではないかと思います。

根源的な治療には、その原因にメスを入れる必要があります。

一体何がこのような排斥を生んでいるのか。それは「他者への不寛容」、「刹那的な他者への優位主義」、そしてそれらを容認している「この国に住まう人間の無関心」が起こしているのではないかと思います。

健常者という枠組みは、実は、非常に歪(いびつ)です。

カテゴライズというものは、芳しく、危険な落とし穴だと思います。

マイノリティーとマジョリティーに分けて優位性を持つより、それをひっくるめた個々を完全に切り離し、「可能性と価値観を再編していくこと」が求められていると考えます。

誰かを排除しようとするとき、誰かの手を離したとき、穴に落ちていくのは、マジョリティーに甘んじている人たちの方かもしれません。

先入観による枠組みを取り除き、他者への敬意を持ち、尚且つ寛容であること。

この共通の意識が持てれば、自ずと素晴らしいチームができあがっていくのではないかと思います。

そして、その価値観を広く伝播できれば、社会そのものが…というのは、今はまだ、過ぎた理想かもしれません。

プロフィール
古嶋航太 ホームケア土屋 九州

福岡県立修猷館高校中途退学。

アルバイトをしながら音楽活動、子供や障害者のボランティア活動を行う。

詩、哲学、映画、文学、音楽に耽溺。運送業、アパレル業などを経て高齢者福祉に6年半、障害者福祉に3年携わり、介護福祉士、介護支援専門員の資格を取得。

2020年株式会社土屋に入社。

北部九州エリアマネージャー。株式会社土屋リスクマネジメント委員。

妻と3人の子供と5人暮らし。

050-3733-3443