視覚障害者が住まいを決めるには?②
水島恵
前回、「お誕生日プレゼントに家買って!買ってくれないと離婚も考える!」と脅し文句で懇願し、粘り勝ちしたマイホームは、夢のまた夢でいた夫が覚悟を決めてから、それでも夫の両親は反対でした。夫は「恵の決意が固いので」と言っていました。それが丁度29年前のことです。
私がマイホームにこだわったのには、大きく2つの理由がありました。
1つは、誰一人として知り合いもいない所に嫁いできて、何かしら辛くて岡山から出ていきたくなった時、マイホームがあれば簡単に出ていきたくならないのでは、と考えたことです。
もう1つは、借家だと私たちの人生設計に関係なく、家主の考え一つで建て直すからなどの理由で、引っ越さなくてはならなくなったりする可能性があります。そうなるとまた一から積み上げていかなければならなくなります。道路や買い物をする店など、覚えて歩行できるようになるまで一苦労です。視覚障害者家族に、易々と貸してくれる家主を見つけるのも大変ですし、老齢になれば、さらにハードルが上がって大変です。そんなこと思えば、家計的に苦しくてもマイホームを持つのが将来安心できると考えました。
それに、その当時の借家からマイホームの候補地は、何百メートルも離れておらず、回覧板の順番が変わるだけで、道路や店の覚え直しや町内の人間関係も心配いらないと条件が良いのだから、私にとって最高の条件で、夫の通勤や子どもたちの通園、翌年の小学校入学にも差し支えないので安心でした。
「売地」と看板が立っていた所は3区画でしたので、角地を押さえたく焦りました。看板には大手のSの会社名が記載してあり、これはラッキーなことで、夫の姉のパートナーが営業マンとして勤務する会社だったので、何もかも私に味方してくれているような気持ちでした。
角地を押さえたいのと、あれこれアドバイスいただきたく義兄に急いで連絡しました。するとその土地の若い担当者ではなく、義兄が信頼おけるベテラン営業マンを担当にしてくれました。その角地は、話が進んでいる方がいるとのことでしたが、契約には至っていないとのこと。契約成立までは安心できないもので、世の中はスピードがものをいうのです。話を進めていた方にはちょっとごめんなさいの気持ちになりましたが、これ幸いと審査を急ぎ手付金を納めました。
書類の代筆や必要な書類を、役所や金融機関へ持って行くことなど、義兄が紹介してくれた営業マンが毎度同行してくださいました。そのおかげで精神的負担を感じることなく着々と事が運びました。こうした大きな買い物や生命保険など、契約書類が視覚障害者には特に不安と負担になります。
次回は、この話の続きと新たに契約した賃貸マンション契約についてお話します。
◆プロフィール
水島恵
水島 恵(59歳)
岡山市在住
視覚障害(先天性緑内障)
岡山県UD推進アンバサダー
指圧・あん摩・マッサージ師
着付け1級(認定)
趣味は編み物、料理(特にスイーツ)、カラオケ、旅行、和装、講演・講座巡り