私にとっての重度訪問介護~QOL(=Quality of life)を何度でも考なおす~ / 月精美鶴

私にとっての重度訪問介護~QOL(=Quality of life)を何度でも考なおす~
月精美鶴

初めてコラムを書かせていただきます。

私は2022.6月に入社し、現在は、ホームケア土屋新潟のサービス提供責任者兼コーディネーターとして勤務しています。

私は元々、母の影響で看護師を目指していました。介護の仕事は19才の時、病院勤務での看護助手から始まりました。当時長期入院が可能な時代の中、患者さんや施設入所者との会話で、よく耳にした言葉がありました。

〝私の人生はもう終わっている。命尽きるのをただ待つだけ。白い天井と白い壁をみて毎日が終わる…〟

私は、異口同音に聞いたその言葉から「命があるのに、命が尽きるのをただ待つだけの人生なんて…」とショックを感じていました。

そんな気持ちを持ちながら、より生活の場に近い施設介護職に就きました。その後、現・地域包括支援センターの前身となる在宅介護支援センターのケースワーカーや医療ソーシャルワーカー、及び介護支援専門員(居宅・施設・認定調査員)等として、20数年程度従事していました。

この間、医療・福祉関連の制度上では老人福祉、老人保健と2種類の制度から介護保険制度への移行や小泉政権下での医療制度改革・障害者自立支援法の施行等、大きな制度改革があり、患者さんや障害をお持ちの方、高齢者、「そこに関わる全ての人たち」が翻弄された時代でした。法改正に伴う報酬改定の度、私たち関係機関や事業所は行政とクライアントとの板挟みになり、バーンアウトする人たちも多い状況でした。

私は、制度上で行政指導や研修で教えられる事とクライアントが望む生活や人生等、現実との乖離と福祉の在り方に対し、常に消化しきれない思いがあり、一時期、福祉の世界から離れた時期がありました。

この、いわば「リセット期間」中に私にとって人生の節目となる出来事がありました。

それが重度訪問介護だったのです。

きっかけは、統合課程を受講したことでした。

「重度訪問介護」という在宅サービスの短くない歴史もあるということを知りました。そして、特定行為(医療的ケア)が必須の先天的な難病をお持ちのクライアントが一人暮らしを実現する機会に関わった事で、初めてクライアントが主体になり〝夢〟を実現している姿を目の当たりにして衝撃を受けました。

介護に関わる制度は、ある程度勉強をした自覚がありました。しかし、当時の私は、知ったつもりになっていただけで、重度訪問介護という公的サービスがあることを知りませんでした。

医療制度改革の混乱期に、余儀なく長期入院していたたくさんの人たちが、もしも私が重度訪問介護を知っていたら…、また、重度訪問介護によって、望む在宅生活も実現できていたかもしれない…等、そんな思いが込み上げました。

様々な公的サービスと重度訪問介護の合わせ技で、医療や介護保険下では困難と思われがちな方々が、やりたい事を実現できているクライアントが大勢います。一方では、障害のこういった在宅サービスについて、昔の同業の知り合いから相談を受けることもあり、まだまだ認知されていない事や、認識の違いも少なからずあることだと感じています。重度訪問介護制度の本質について、もっと世の中に知っていただけるといいなあと思っています。

「重度訪問介護」。それは、クライアントに限らずそのご家族や一緒に働く方たち、プライベートで関わる方々も含め、その人達のQOLを高めるために必要なことを考えつつ、自分自身も含め、色々な可能性と選択肢を持てて、今を生きる人たちが自分らしい人生を謳歌できる可能性のある制度です。今を生きるクライアントが、ますます自分らしい生き方を謳歌できるようになれたらいいなあと思います。

追伸

HC土屋公式サイト内「障がい福祉サービスの基礎知識(在宅編)第三回」の記事が、重度訪問介護制度の本質と歴史を知るうえでとてもわかりやすかったので、皆さんも参考にしてみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

◆プロフィール
月精美鶴(ゲッセイミツル) ホームケア土屋 新潟

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