施設ケアと在宅ケアの違い。「他者主導の日々」か、「自分で選ぶ暮らし」か、ということ。
知念司
私は、コロナ禍2021年まで病院で勤めていました。その当時は、基本的に面会は禁止。面会ができても制限がありました。
病院や施設だと、そこのルールに従わないといけません。
朝は眠くても朝食にあわせて起こされ離床し、車椅子に座り朝食を食べます。
おむつ交換やトイレ誘導の時間も決められています。
夜は消灯時間にあわせて寝なければいけません。
病室も個室でなければ、周囲に気を配ります。
時々、病室の天井を眺めながら過ごしている方がいました。
先行きが見えないご自身の病気や障害について、思い悩んでいたかもしれません。
そのように不安だと、テレビを見ても笑えないですよね。
私は難病のある方が自宅で過ごされる事に対して、クライアントも不安ではないかという考えが以前はありました。
しかし、在宅介護を経験し、難病があっても在宅で過ごし、手厚いケアを受け、表情も和らぎ、穏やかに過ごされている。
そんなクライアントの方々を見ていると不安な気持ちは吹き飛び、『こんなにも違うのか』と驚き、在宅介護の素晴らしさを実感しました。
たとえヘルパーの手を借りながらでも、
日中リクライニングチェアに座り、パソコンで動画を見ながら斜め向かいのテレビを観る。
寝る時は、ベッドに横になりながらスマホの動画を見ながら寝落ちする。
何かお願いしたい時には、呼び鈴を足で押して知らせる。
クライアントの希望に寄り添いながら、適度な距離感も保つことも可能です。
以前、参加した担当者会議で、『延命治療はしない。このまま最期を自宅で迎える』と意思表示をされた方がいました。
その方は、どんどん病気が進行してADLが低下していました。
医師より『今後、呼吸筋も低下し、二酸化炭素がたまり二酸化炭素中毒で突然死の可能性もあり得る』と説明を受けましたが、クライアントの意志は揺らぎませんでした。
『住み慣れた自宅で、家族に囲まれて最期を迎えたい』
もし自分だったら、と考えると、
きっと、私も同じ決断をすると思います。
そのクライアントは、よくテレビを見て笑顔になります。
家族も一緒に暮らしていて、毎日いつも家族の顔が見えると安心しますよね。
『重度訪問介護サービス』は重度障害や難病があっても『自宅で暮らす』ことができます。
諦めず、まずは相談してほしいと思います。
プロフィール
知念司 ホームケア土屋 沖縄
前職 病棟勤務の正看護師。
2018年 三学会合同呼吸療法認定士 取得。
2022年1月 株式会社土屋 入社。
3号研修 講師。実地研修 指導看護師。
妻と2人の子供と4人暮らし。
趣味は食べ放題巡り。