介護に優しい日本だが子育てに厳しい日本~制度の認知度を高める~
尾上真奈花
ホームケア土屋大分でオフィスマネージャーをさせて頂いている尾上(おのうえ)です。
私には6歳の娘がいますが、かなりやんちゃで口も達者で、体力モンスターで……それはもう大変ですが、楽しく過ごしています。
また、昨年祖母がすい臓がんを患い、在宅で看取った経験もあります。
祖母が寝込み、介護をした期間自体は短かいものでしたが、当時4歳の子の育児と介護のセットは、本当に大変だと実感しました。
世の中のお父さん・お母さんってすごいなと痛感しております。
ところで、ここ数年の日本は「晩婚化している」と言われていますが、いくつからが「晩婚」なのでしょうか?
調べてみると日本の平均初婚年齢(男女ともに30歳前後)を過ぎて結婚した場合を晩婚と呼ぶそうです。(平成24年の平均初婚年齢は、夫:31.1歳、妻:29.4歳※平成25年版厚生労働白書より引用)
また、同じく平成25年版厚生労働白書によりますと、平均初婚年齢が昭和55年では夫が27.8歳、妻が25.2歳で、夫は3.0歳、妻は4.0歳、平均初婚年齢が上昇していることが分かります。
(個人的に女性の年齢ばかり統計で書いているこのデータの取り方自体に平成初期を感じますが・・・)
令和4年の今は、30歳代で第一子を出産する方が多いと思いますが、自身の年齢が上がるにつれ、両親の年齢も上がってきます。
昔は大家族でみなで子育てをし、地域の人も協力してくれて、そして昭和50年の平均寿命は71歳でした。最近の日本は核家族化が進んでますし、シングルマザーやファザーも増えていますし、平均寿命は87歳まで伸びています。
お父さん・お母さんだけで子育てを行う(行わざるを得ない)ご家庭が大半だと思いますが、かなりしんどい思いをしていると思います。
それに加え、親の介護もしないといけないとなると、身も心も余裕がなくなりますね。
公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/平成30年度」では、毎月の介護にかかる費用の平均は「7万8千円/月」とされています。介護保険の対象となれば原則1割負担となるため7800円で済みます。
子ども手当は月額1万5千円~1万円の支援があります。保育園に入所できれば親は日中は働くことができますが、待機児童となった場合、片方の親は働くことができません。
もしベビーシッターを頼む場合、費用は全額自己負担となります。
親や配偶者を他人に見てもらうのは気が引ける・・・
長女だから(長男だから)親を見ないといけない・・・
施設に入れるのは可哀そう・・・
小さいうちから保育園なんて可哀そう・・・
3歳までは母親のそばにいるのが子どもの幸せ・・・
高齢者や障害者には訪問介護だったり、ショートステイやデイサービスなど、施設だけではなく、在宅で過ごすに当たって利用することができるサービスがたくさんありますし、お子さんを保育園に通わすメリットもたくさんあります。
全てを自分たちで抱え込まず、使える制度はフル活用していいのではないでしょうか?
親は、自分の介護をして疲れているわが子を見るより、明るく生き生きと生活しているわが子の方が嬉しいのではないでしょうか?
お子さんも疲れて余裕のなくなっているお父さんやお母さんを見るより、自分の話をしっかりと聞いてくれるお父さんやお母さんの方がいいのではないでしょうか?
今の日本は子育て世帯に優しく「ない」です。現金支給はありますが保育園の費用の足しにもなりません。
しかし高齢者には「現物給付」ですが、費用負担は軽減されます。
任せられるところは任せ、ご自身の心身の休養を優先することが、周りの人たちにも良い効果をもたらすと思います。
人生は死ぬまでの暇つぶしですが、1度しかありませんしやり直しもできません。
ご自身に余裕がないと、人のためになにかしてあげることは不可能です。
今自分しかできないことをしっかり取捨選択し、お迎えが来た時に「わが生涯に一片の悔いなし」と思える人生を歩めることが、一番の幸せだと思います。