カーリング
雪下岳彦
冬のオリンピックが開催されていますね。
私はカーリングが好きで、よく見ています。
40メートルも離れたハウスの中心を目指して、数センチ、いや数ミリ単位でストーンをコントロールする技術はすばらしいですね。
我々は主に上からの画像で見ているので、あまりその距離感がわかりませんが、40メートルとは25メートルプールよりも長く、50メートル走よりはちょっと短いくらいの距離。
そんな遠くにピンポイントにストーンを投げるなんて、もはや想像すらできません。
そして、ストーンの投げ手の技術だけでなく、ブラシで氷の表面を擦るスウィープによって、ストーンの軌道を延ばしたりを曲げたりする技術もすごいです。
ストーンを投げた時点ではイメージと違った場合でも、スウィープによって修正して、見事なショットにする。
これもカーリングの醍醐味ですね。
リード、セカンド、サード、スキップの4人が、それぞれの役割を全うして、チームとして勝利を目指すのは、ラグビーに通じるところがあり、そこもカーリングが好きな理由の一つです。
先日、カーリング女子日本代表チームの特集を見ていたら、印象的な言葉がありました。
日本代表を決める試合で、いきなり2連敗を喫し、あとがなくなった際のミーティングで出た言葉だそうです。
「自分たちには運がない」
「運が味方してくれないなら、自分たちで運命を変えよう」
この決意を胸に、次の試合からは自分たち本来の喜怒哀楽あふれたプレーに立ち戻り、3連勝して逆転で日本代表の座をつかみ取りました。
スポーツは、種目によってそれぞれの面白さがあり、奥が深いです。
そして、そこに関わる人たちの言葉には、自分たちが生きる上でも役立つものがたくさんありますね。
プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。
1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。
2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。
2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。
2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。