社会性、経済性、そして人間性について / 古嶋航太

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社会性、経済性、そして人間性について
古嶋航太(ホームケア土屋 九州)

私たち福祉に携わる法人には、大きく分けて二つの業態があります。

『非営利法人』と『営利法人』です。

一般的に福祉事業者というとき、イメージが強いと思われるのが、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、宗教法人などを始めとする、いわゆる『非営利法人』でしょうか。

ものすごくシンプルに言えば、個人や企業などの利益よりも、社会的及び公共的な利益、つまりは公益を重視した法人です。

福祉業は社会性の要素が極めて高い業種であるので、『非営利法人』だと何となく説得力があります。

それに対し、株式会社、合同会社、合資会社など(有限会社って今はできなくなっています。)を『営利法人』と言います。

前述の『非営利法人』の逆、個人や株主の利益、経済性を重視する法人です。

土屋にも「アタマカブ」が付いており、後者の「営利法人」に含まれます。

「儲け主義」というレッテルを貼られがちです。(そう揶揄されると悲しくなります。)

この二種類の法人を対比してみると、運営していく上で、または目的を達成する上で、当然メリットとデメリットがあるようです。

営利法人は利益を動かしやすいので事業展開しやすく、弊社が目的とするところのひとつである「日本中に福祉サービスを行き渡らせる」という点では非常に有利です。

非営利法人は課税が低いなど運営しやすい面があるため法人を作る際のハードルが高く、簡単には展開できません。対して非営利だと安定的に運営していけるため、職員の平均給与は高めになるなどの特徴はあるようです。

エトセトラエトセトラ、、、

このように営利と非営利を対比すると一見対極のようにも思えます。

飛行機でいうとそれぞれ右翼と左翼の先端のようです。

しかしながら、その実は飛行機の中央の通路を挟んだ席くらいの差しかありません。

通路が二つ以上ある大型飛行機の場合は隣席くらいの差しかないほどのものです。

結局我々を含めるすべての福祉業者は、目的地に向かって安定的に運行していく上で、公益と私益の両輪を回していかなくてはならないのです。(さっきまで飛行機のイメージでしたが、地上に降りて自動車をイメージしてください。)

営利を完全に放棄すれば、完全なるボランティアを強いることになりますし、営利を重視し過ぎるとまずもって福祉事業者としての質が頽落します。

福祉という事業を走らせるとき、この「社会性」と「経済性」のバランスが非常に大事になってきます。

非営利、営利で特徴はあれど、このバランスを欠いたとき、両輪の大きさが噛み合わず、同じところをグルグルと回る結果になってしまいます。

変わりゆく時代の中でグルグル回った次の周回に果たして道があるかどうか、我々は来たる未来に拓ける道を模索し進路を取らねばなりません。

そうするとやはり難しいのがそのバランスです。

私は「中庸」という言葉が好きなのですが、意味は「過不足なく調和がとれていること」だそうで、ハンドル操作の大きな助けになるようです。

個人(自然人)だろうが法人だろうが、バランスを取って〈ふらつきながらも〉真っ直ぐ歩くのは大変なものだなあ、と感慨に耽ってしまいます。

福祉の世界では飛行機や自動車や大型客船や貨物列車など、様々な大きさやスピードの団体が同じ目的地を目指して動いています。

どこに向かっているかといえば「人間らしい生き方」を助けたり、プロデュースしたり、応援したりを実現することにあるのではないでしょうか。

中庸の助力になるものも、人間の内なる良心なのだと思います。

プロフィール
古嶋航太 ホームケア土屋 九州

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