変容のすすめ / 牧之瀬雄亮

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変容のすすめ
牧之瀬雄亮

私たちは今2万パーセント幸せかというと、幸せの定義にもよりますが、世界に目を移せば貧困を生じさせる粗悪品過剰生産デフレーションや、宗教戦争、民族差別や強制労働があり、自分だけよけりゃええのかと問われたとき「はい」と答えられる方は、まあひとつブラウザを閉じて頂ければなと思っているわけでありまして。

人はだれしも悩みや「こうなったらいいのに」という希望、願望があるものだととらえております。

それは大小公私の差こそあれ、皆それなりに、悩みのあるものだと思います。

できればそれを解決解消とまではいかなくても、「いい方向に進めたい」とは思っておられると邪推しますが、それを阻害する要因の大きなものとして、まず挙げたいのが何を隠そう自分そのものが、一番の阻害要因だと思っています。

「もすこしお金があれば」「誰それが○○やってくれたら」と環境が整っていないということでやらない理由にしたいという感情が起こることがありますが、それを最終的に判断しているのは誰あろう自分であることは、これは疑いようのない事実ではないでしょうか。

さて、人の体の動かし方と性格が関係しており、かかりやすい病気とその整え方に12の分類を設けた「体癖論」を説いた野口晴哉も、その人の体癖を簡単には教えなかったそうです。

「『何番体癖』と言ってしまうと、その上に胡坐をかくから」といいます。

要は脳のコンフォートゾーン(本当の安楽・健康という意味ではない「現状維持の」という意味)を崩してより良い方向に向かわないことで人生や健康が滞っているのに、脳は現状に安住してしまうということです。

また、ラジオのテレフォン人生相談でおなじみの、マドモアゼル愛さんは星占いのスペシャリストですが、

「変容のきっかけとして他の星座を演じる、全ての星座が一人の人間の中にある」

ということを仰っていました。

私自身、やりたいことはごまんとあって、いろいろと理由を付けてやらないできたことがいくつもあります。

できる分だけ少しやるという形で、ちょっとずつやってみようと思います。

先日は、重金属を排出する作用のあるセイタカアワダチソウを干して手巻き煙草に混ぜてみました。

「外来種」「増えすぎる」ととかく迷惑がられる植物ですが、花の匂いすら嗅いだことがなかったということに気付いて反省しました。

『雑草という草はない』という言葉がありますが、人間がよく価値が分かっていないだけで雑草と決めつけて抜くか枯らすわけですが、

それって何をしてんの?優生思想じゃないの?

というわけで、自分の中の優生思想と対峙し、セイタカアワダチソウとの対決姿勢を解消、共存へと至ったわけです。

煙草に混ぜるかどうかは自己責任でお願いしますが、セイタカアワダチソウを入れた煙草は、さわやかな金柑のような香りで、非常にリラックスいたしました。

混ぜる前に積んで流水で軽く洗って干しておくのですが、またその乾いた時のほわほわと柔らかい花の様子も愛らしいものです。見ても楽しいです。

香りが気に入られた方は入浴時にお茶パックに入れてお湯をためますとハーブ湯にもなりますので、気が向いたらセイタカアワダチソウと仲良くしてみてください。

「成長」「変容」というと、何か別個のものにメタモルフォーゼかミューティレーションか、とにかく違うものに一気になっていくというイメージを私は持ってしまいますが、柔らかくなるためにスッと既存の価値観を手放す、そんなことでより気楽になっていくのではないかなと実感しています。

いきなり理想の自分になるというのはなかなか難しいかもしれませんが、急いでいるときもクライアントの体を上から掴まず下から救うように手が動くようになったとか、そういう一つ一つの変化を、誰が褒めなくてもまずは自分が褒めていく。

他者を支える皆さんだからこそ、自分に対して少しでも優しくなってほしいし、自分に優しくできると猶更他人に優しくなれるのではないかと思います。

優しくなる時に躊躇がなくなっていくのではないかなと思います。

プロフィール
牧之瀬 雄亮(まきのせ ゆうすけ)

1981年、鹿児島生まれ

宇都宮大学八年満期中退 20+?歳まで生きた猫又と、風を呼ぶと言って不思議な声を上げていた祖母に薫陶を受け育つ 綺麗寂、幽玄、自然農、主客合一、活元という感覚に惹かれる。

思考漫歩家 福祉は人間の本来的行為であり、「しない」ことは矛盾であると考えている。

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