見えにくい中での妊娠・出産・子育て⑫/ 水島恵

見えにくい中での妊娠・出産・子育て⑫
水島恵

⑩までは長男・次男ともに小学校までのこと、⑪では長男の中学校や受験のことをお話しました。
ここでは長男人生初の受験の時に私自身が決断しなくてはいけない出来事があり、そのエピソードから話したいと思います。

私は当時、障害者ピアカウンセリングを学びはじめており、宿泊を伴う講座を受講することにしていました。

岡山ではしておらず、ほとんどが阪神や関東での開催でしたから、留守中の食事のことや登下校前後のことなど準備はしっかりしていました。

それは通常の想定での準備でしたし、随分前からの計画でしたから心にも余裕がありました。

ところが長男の受験日が明確になり、私の予定とかぶっていることがわかって驚愕しました。

私は2ヶ月ほど、毎日心が揺れ悩みました。でも、親として長男の人生初の受験の当日に、私の個人的な理由で留守をするなど、あるまじきことだと感じて、受講を諦めようとしましたが、スパッと割り切ることもできず、何か方法はないものかと考えておりました。

もちろん夫にも相談しましたが決まらず、長男に事情を話して決断することにしました。
「朝見送りしてほしい」や「帰宅した時居てほしい」と言われたら受講は諦められると感じました。

私が話せば、受講したい気持ちが出て「行ってもいいよ」と言わせてしまうかもしれないと感じたので、夫が話をしました。

私が行きたいということは言わず「受講に出かけたら居ないけど、どう思う?大丈夫か?嫌か?受講で出かけても良いか?」など順番を変えながら何度か訊いてもらいました。

それは最後に訊いた訊き方で反応が違う可能性があるかもしれないとふんだからです。
答が毎回変われば迷いがあるのか、想定イメージが沸かず答が出せないのかなども感じ取れるかもしれないとも思ったからでした。

長男の返答は案外サッパリと「行ってもいいよ、大丈夫」でした。私の心中はうれしさと安堵でした。

でも「じゃぁ講座に行って来るね」と言ったものの、気持ちはまだ迷っていました。

長男にそう言ったのは、私が居ない筈が居る状況は問題ないですが、居る筈が居ない状況という急な変更は、ストレスを与えることになるでしょうから、長男が許可してくれた時から、私が受講で留守にするという心の準備をしてもらう為でした。

結局、長男の受験日であり、同時に私が受講のために出発する日でもある朝になっても、私の心中は揺れていて心身ともに重たいのでした。

でも時は刻々と迫り、出発する時刻になりました。
荷物を持って玄関へ向かう足取りはとても重く、後ろ髪を引かれる思いでした。

夫と長男が玄関で見送ってくれました。
その時です、長男が「僕試験がんばるからママも勉強がんばってきてね」と言ってくれたのです。

私は大きくうなずいて、ハッキリと「お互いがんばろうね」と返事しました。
夫が長男を誘導したようには感じなかったので、長男自身から出た言葉だったと思い、なおさら嬉しく感じました。

「行ってきます!」とドアを閉めたその瞬間胸が熱くなり、涙が出そうになりました。
このようなことで長男の成長を感じることにもなりました。

玄関までの足取りの重さとは違い、一歩一歩を踏みしめて講座会場に向けて出発することができました。

この留守中にトラブルなどもなく、その後長男・次男の行事と私の行事がかぶることもなく幸いしました。
このエピソード話は以上で、次男の受験については次号へ続きます。

◆プロフィール
水島恵

水島 恵(59歳)
岡山市在住
視覚障害(先天性緑内障)
岡山県UD推進アンバサダー
指圧・あん摩・マッサージ師
着付け1級(認定)
趣味は編み物、料理(特にスイーツ)、カラオケ、旅行、和装、講演・講座巡り

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