視覚障害者が住まいを決めるには?③ / 水島恵

視覚障害者が住まいを決めるには?③
水島恵

前回に引き続き、マイホーム購入のお話の続きを少し。

マイホームはここしかないと直感し、周囲の反対を押し切って、購入手続きを営業マンに手伝っていただいたので、ことはスムーズに運びました。

3年前に、26年半でローンは終了しましたが、その間に何度もマイホームを手放さなければならない絶望的状況に陥り、落ち込んだ時もありました。夫が何度も失業したり、精神的な病で就業できなかったりと、ローンどころか生活レベルもダウンさせてという状況にもなりました。

夫婦の食事は2回にしたり、お風呂は2日に1度にしたり、真夏も真冬もエアコンを使用せず耐え抜いたりと、今思えば我ながら感心します(苦笑)今は、ローンもなくなり共働きということもあり、老後のためにコツコツ貯金するだけなのですが・・・。

さて、テーマの「視覚障害者が住まいを決めるには?」ですが、普通ならマイホームも手に入ったから、住まいを探す必要はないと思いますよね。私も次の住まい探しをすることになるとは思いもしませんでした。住まいを探すことになったのには、大きく2つの理由があります。1つは、夫や次男との関係性や距離感を変えるため。もう1つは次男の自立生活を目的としています。

借家を借りるのに、一家で障害のある我が家で一番ハードルが低いのは私です。でも、視覚障害者で高齢の域に入りそうな女性が借りるとなると、ハードルは高いです。4月1日から夫の姉のマンションに居候して探し始めました。夫の姉のマンションは、我が家と区が違い距離も離れていることもあって、家事支援に入っていただいていた事業所とは解約ということになりました。住所を変えるとなると、このようなことも起きるのです。

住まいが決まった後で支援事業所を新たに契約するにしても、姉が住んでいるマンション内で部屋を探す方が何かと便利が良いし、身内が借りやすいということ。そして「姉が食事を運んで来るか、もしくは借りた部屋のガスは姉しか使わない」と、嘘も方便で探しました。それでも4月の1か月間は全く見つけられませんでした。

ゴールデンウイークも終わり、同じマンション内限定だと難しいのかなと気落ちしていたところ、管理人さんから「最近8階に空きが出た」という情報が入りました。管理人さんは、どこの不動産屋が管轄していて、オーナーがどこの人か把握していなかったので、岡山市の中心地にある不動産屋を片っ端から回ることにしてみました。

5月12日に3か所目に入った不動産屋で事情を話したところ、管轄している不動産屋が判明しました。私が予定していたよりも、間取りも金額も大きくなりましたが、悠長にしてもいられず決断して申し込みをしました。

その3か所目の不動産屋が仲介してくれることになりましたが、オーナーが管理依頼をしている不動産屋の出方や、オーナーがどう判断するかが気になるところでした。オーナーが障害者を気嫌いする人ならば、かえって返事は早く、2~3日でくるだろうと思いました。しかし3日過ぎても何も連絡がなかったので、オーナーはクリアしたと判断しました。

次は、家賃保証の保険の審査で、早くても1週間はかかると思っていました。ところが、申し込んで4日目に仲介不動産屋から連絡が来て「審査通りました」とのこと。あまりのスピードでびっくりでした。

でも、マイホームの時の経験から、契約成立までは安心できないとも思いました。連絡から2日後に頭金を入れ、申し込みから11日後の23日には契約成立と、トントン拍子でした。契約では、入居は6月1日からとなっていましたが、実際は大安の2日から入居しました。ただ、ここから現在に至るまでが色々あるんです。その話は次回に続きます。

◆プロフィール
水島恵

水島 恵(59歳)
岡山市在住
視覚障害(先天性緑内障)
岡山県UD推進アンバサダー
指圧・あん摩・マッサージ師
着付け1級(認定)
趣味は編み物、料理(特にスイーツ)、カラオケ、旅行、和装、講演・講座巡り

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