視覚障害者が住まいを決めるには?① / 水島恵

視覚障害者が住まいを決めるには?①
水島恵

あなたは今までで何度住まいを決めましたか?

私は過去3度と、この度4度目の住まい決めをしました。初めては就職する時、勤務先の病院から近いという条件で、アパート経営者だった元患者さんを勤務先の上司に紹介していただき、決めました。

2度目は結婚する時、夫の父が不動産屋を走り回ってくれて、視覚障害者でも理解ある家主を紹介してくれる不動産屋に、たどり着いたのでした。

この2つは、私や私たち夫婦で探したのではなく、障害者に理解ある家主を紹介していただいて決めたという共通点があります。

昭和が終わる少し前の63年春と平成元年の末のことでした。

現在のように障害者差別禁止法がありませんでしたし、不動産屋が障害者に紹介することを平気で拒否していたように感じていました。

拒否する主な理由は「火事を出されては困る」というものです。

天ぷら火災・寝タバコなどタバコの不始末・子どもの火遊び可能な環境は、視覚障害者よりも断然健常者の家族の方が高確率だと思うのですが。

障害者はいざという場面では何もできないと決めつけられているのでしょう。それは全くの間違いではありませんが、だからこそ火だねになりそうな物から離れるとか、環境を作らない意識は、晴眼者より高い意識があると思われます。

しかし、この2度の借家契約では「火を使うな」と言われることはありませんでした。

3度目の住まい決めは借家ではなく、マイホーム新築です。

借家から子どもが通う保育園の中間地点で、借家と同じ町内に更地ができて、大きな看板が立ちました。

今の私ならそのようなものに気づける視力はありませんが、当時はわずかに見えていたので保育園の送迎時に看板を見ました。

そして直感「ここよ!」と思ったのです。

マイホーム計画は全くありませんでしたが「ここを逃したらマイホームは持てないかも?!」と感じた私は、夫に「マイホームを手に入れてくれなければ離婚も考える」と脅しのように懇願しました。

夫はやはり随分拒みました。

それは当然でしょう、頭金が出せるほど貯金は無く、ローンを組むのも安易ではないであろうと推測し、冷静に考えれば拒むでしょう。

でも私、押し切りました。

この後の流れは次回へ続きます。

◆プロフィール
水島恵

水島 恵(59歳)
岡山市在住
視覚障害(先天性緑内障)
岡山県UD推進アンバサダー
指圧・あん摩・マッサージ師
着付け1級(認定)
趣味は編み物、料理(特にスイーツ)、カラオケ、旅行、和装、講演・講座巡り

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