ことばよりも深く~大切にしていること~ / 五十嵐 美幸

ことばよりも深く~大切にしていること~
五十嵐 美幸

どうして介護の仕事に就いたの?と聞かれ、いつも話す事があります。

「仕事を全うして、退職後は穏やかに余生を過ごそうと思っていた矢先、脳腫瘍が見つかり思い描いていた生活とは一転、闘病生活を送ることになったんですよね・・・」

私が介護職を目指すきっかけになったエピソードなんですが、これだけを聞くと「お父さん?」と大抵の人には言われるのですが、実はこれ「犬」の話なんです。

盲導犬や警察犬のリタイア犬を引き取るボランティアをしていた頃引き取った、ラブラドールレトリバーのお話です。10歳の彼女はとても人懐っこく、毎日1時間の散歩が日課の元気な女の子でした。半年近く経った頃から、今までほとんど吠えたことがないのに、ウロウロと動きながら「ウーウー」と唸るようになりました。

食欲もあり元気に散歩もしていた為、「気を引くため甘えてる?」とあまり気にも留めずにいましたが、ウーと唸るだけではなく、何があるわけでもないのに歯をむき出しに吠えることが多くなってきた為早々に病院へ。診察の時は仲良しの先生に優しくしてもらい、しっぽをブンブン振って楽しそうにしていたため、吠える様子は診てもらえず、とりあえずは血液検査をしていったん帰宅。他の検査もしたいと連絡があり、詳しく調べてもらったところ脳腫瘍でした。

病気の情報が欲しくてネットで検索していると、犬よりも人の情報を目にする機会が多くあり、犬の介護をしながら人の介護や障害について知りたくなりました。病気で性格が変わる・・・。犬も人と同じです。

それから介護職に就いて10数年、病院、老健、グループホームで精神疾患、認知症等を患ったたくさんの方と携わってきました。

冒頭の犬の話から、何が言いたいのかわからなくなってきましたが、犬でも人でも、相手を思う気持ち、心配する気持ち、こうしてあげたい、こうなってほしいと思う気持ちは共通しているんじゃないか・・・。私の介護の原点です。

毎日楽しく笑顔で過ごす。できればそうありたいですが難しいことです。クライアントの方の心配ごと、遠慮や気遣い、その小さな想いに気が付くことが大切だと考えています。

お互いの気持ちを分かり合うにはコミュニケーションがすごく大事!

でもクライアントの中には言葉では伝えることが難しい方もいらっしゃいますし、話題に関心が持てない事だってあるでしょう。だから、日ごろからその方のお話や行動、表情や仕草、趣味や興味のある事、好きなことを見て考え、その方の「ひととなり」を自分なりにつかむことが大切なんだと思います。コミュニケーションの方法は多種多様で、難しい事はたくさんあるけれど、私自身クライアントの方の笑顔に癒され救われています。

笑顔に出会えたとき、自然と私も笑顔になっています。それは相手と心が通じた瞬間だと感じています。表情一つで相手に安心感を与えることができます。相手に笑顔を求めるだけではなく、自分も笑顔で、心に寄り添う介護をしていきたいです。

◆プロフィール
五十嵐 美幸 ホームケア土屋 新潟

若いころはゴルフとスキー関係を仕事とし、長男の野球の応援、大好きな犬たちと毎日アクティブに過ごしていました。
30代後半、犬の介護をきっかけに介護業界へ。

現在は重度訪問介護でALSの方々に関わり日々勉強させていただいております。
趣味は美味しい料理を食べ美味しいお酒を飲むこと。ジムで摂取したカロリーを消費していますが、追いつかずお腹に貯めています~(笑)
最近はケガが怖くてスキーには行けておらず、この時期は雪が降るとうずうずしています。

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