何かが起きてからでは遅い~重度訪問介護の「見守り」って何?~
仮屋泉
私は15年ほど前に祖母を亡くしました。
リハビリを行っていた病院で転倒してしまい、頭を打ってしまった事が原因で施設へ入所。その後、完全寝たきりで発話することも出来なくなってしまい、回復することはなく、しばらくしてから最期を迎えることになりました。
当時の私はまだ若く、全くの別業種で就業しており介護福祉の知識も無かった為、概要を聞いてもあまり理解が追いつかず、当時の時点で祖母が高齢だった事もあり、おばあちゃん子だった私は「ついにこの時が来てしまったのか」という思いだけで、ただ覚悟をするしかありませんでした。
月日は経ち、介護のお仕事に携わらせていただき4年が経った今、当時を振り返ると少し疑問に感じる事も出て来ました。
リハビリを行っていた環境はどうだったのか?
何名の利用者に対して何名のスタッフで対応していたのか?
転倒した時の状況は?
その後の対応は?
考えればキリがありませんが、今となっては真実を知ることは出来ません。
そして約15年経った今、まさかこのような形で祖母の件を通じて感じ、悩み、学んだことを活かせるお仕事に就いている未来があるなんて、当時は想像も出来ませんでした。
私共が提供させて頂いている重度訪問介護の支援項目には、「見守り」というものがあります。
重度訪問介護における「見守り」とは、単にクライアントのそばでアテンダントが待機するだけではなく、身体介護や家事援助の合間に発生する「日常生活に生じる様々な介護の事態」に“備える”ことを指し、比較的長時間にわたり、クライアントの日常生活に生じ得る様々な介護の事態に即対応するための支援態勢を指します。
このお仕事をさせて頂いていると、介護現場ではいつ何が起きるか分からないからこそ見守りがどれだけ重要で、いかに難しいかを感じます。
また、介護現場だけに関わらず、身近な事―例えば小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でも見守りというものがどれだけ大事なのか―にも置き換えることが出来るとも思います。
全てを見守り、把握し、対応することは容易ではありませんが、少しでも視野を広く持ち意識することで防げる事故もあるかもしれません。
少しでも多くの方が穏やかに自分らしく過ごすことが出来るように、身近な方々から「見守り」を「する」。
実は人生においてとても大事なことなのかもしれませんね。
◆プロフィール
仮屋泉 ホームケア土屋 鹿児島
オフィスマネージャー/介護福祉士
2021年に無資格、未経験で入職
出身地:鹿児島市
趣味:音楽鑑賞、楽器演奏