先輩介護職員から学んだこと~『くじけそうになったとき、支えてくれる言葉』~
重野有香
私が、22歳から介護職をして思う事があります。
それは本当に周りの方に恵まれてお仕事をさせていただいているという事です。
「介護職」という一般的には大変だと認識されるこのお仕事を今まで楽しく、また、ずっと続けていきたいと思えるのはきっと、ご利用者、そのご家族、上司、同僚、沢山の方に助けていただき、やりがいを持って仕事が出来ているからだと思います。
その中でも、私が一番影響を受けた方が、以前に有料老人ホームで働いていた頃の「施設長」です。
当時、「認知症」や「介護」に対しての知識がほとんどなく、日々の業務をこなす事で精一杯でした。
そんな時、同時期に入職したスタッフが一斉に辞める事になりました。
私もオープニングスタッフとして入職した為、同期のスタッフが退職したことで、まだ半年しか経験のない私が、いきなり先輩になる事に不安と戸惑いでいっぱいでした。
そんな時、施設長が何かを察したようにいつも気にかけ、声を掛けてくださいました。
「教えられる側」から「教える側」になった私に、
「いつも通りでいいのよ。間違えてもいい。自信を持ってね。知識や経験がある人はたくさんいるけど、私は重野さんの丁寧な介護を新人さんに伝えてほしいのよ」
と、声を掛けてくださいました。
きっと、施設長からすると、私の指導の仕方は伝え方がぎこちなかったり、遠まわしだったり、頼りなかったと思います。
それでも施設長は「大丈夫。それでいいよ。」の言葉と、私に足りない所をいつもアドバイスしてくれました。
施設長が下さった言葉の中で今でも私の介護の基本になっている言葉があります。
「介護をする時はこの方にとって、これが最後の桜かも。これが最後の誕生日かも。これが最後の挨拶になるかも。そんな気持ちで介護をして欲しい」
沢山のご利用者と関わらせていただく中で、時に業務が優先になりそうになる事もありました。
イライラする事もあり、表情や態度に出そうな事もありました。
しかし、その度にこの言葉を思い出します。
介護のお仕事をしていくうえで何が正解なのか、自分のしているケアはこれで正しいのか、私は本当に介護の仕事に向いているのか、悩む事が度々あります。
18年、介護の仕事をさせていただいてもその答えは出ません。
ですが、これから先も、施設長からいただいた言葉を大切に、心にゆとりを持ち優しい気持ちでご利用者と向き合っていきたいです。
そして私が施設長に育てていただいたように、後輩を育てていけるよう、自分自身も成長していけるよう頑張ります。
◆プロフィール
重野有香 ホームケア土屋 福岡
好きな休日の過ごし方:甥っ子、姪っ子を甘やかす
保有資格:介護福祉士