距離だけじゃない!?人それぞれのパーソナルスペース
和田博道
学生時代、社会福祉協議会主催のボランティアで、夏休み期間中の障害児を預かり、日中一緒に過ごすといった活動に参加していました。今ほど放課後等デイサービスが世の中に浸透していなかった時代、子どもにとってもその保護者にとっても求められる場所だったようです。
昼間の8時間、ボランティア職員1人に対して子ども1人がその日のパートナーとなり、施設内で一緒にレクリエーション・庭で水遊びをしたり、昼食を摂ったりするという経験は私にとって、とても貴重なものとなりました。重度訪問介護の特徴として「見守り」支援がありますが、今振り返った時、この経験が私の「見守り力」の基礎を作ったと言っても過言ではありません。
ボランティア当日の朝、振り分けられた担当の子どもの年齢や好きなもの、嫌いなもの、好きな遊び、障害名など保護者が記入した基本情報の資料が渡されるので、それを頭に入れてから活動開始となります。
障害と一言で言っても、人それぞれ個人差があり、接し方も大きく違ってくるものです。また障害のある子どもは障害のない子どもに比べて、パーソナルスペースの振り幅が広いように私は思います。ボランティアのお兄さんお姉さんにべったりくっついてテンション MAXな子どももいれば、自分一人の世界が心地良いと感じる子どももいるといった感じです。
そんな中でも印象的だったのが、自閉症を持ったA君です。A君はとにかく音に対する感覚が敏感で、苦手な高い音や小さい子の声を聞き続けるとイライラが爆発して、近くにある手のひらサイズの物を構わずつかみ、投げてしまう行動が見られました。
物を投げた後もイライラが治まるまでは時間がかかり、なかなか整理できない心と戦っていたA君を見て、私は「A君からストレスを排除しながら無理のないペースで多くのことを経験させてあげよう」という目標を持ちました。隣で共感しつつも、付かず離れずの距離を保ち、安全・安心・安楽を確保しながら過ごしてもらいました。
私はそれ以来、人それぞれのパーソナルスペースを見極めることを意識しています。
長時間の支援になることが多い重度訪問介護ですが、クライアントの生活の中にお邪魔させて頂いていることを忘れず、これからも快適な距離感作りを行っていきます。
◆プロフィール
和田博道 ホームケア土屋 久留米
ホームケア土屋久留米 コーディネーター
平成20年 ヘルパー二級取得。
平成24年 有料老人ホーム就職。
平成28年 介護福祉士取得。
令和元年 重度訪問介護の会社へ就職。その後株式会社土屋へ
資格:介護福祉士、保育士、幼稚園教諭児童福祉、障害者福祉、
高齢者福祉の枠に囚われない幅広い視野を持った人間になれるよう目指していきます。