世界で一番きれいな言葉「ありがとう」~さあ今日も、「好きだ」といえる仕事をしよう~
重野有香
私が重度訪問介護のお仕事をさせていただいて2年が経ちました。最初は高齢者介護とのギャップに戸惑いも有りましたが、今では本当に、「重度訪問介護って素敵なお仕事だな」と感じる場面が多くあります。
入職当初から支援に入らせていただいているALSのクライアントさんのお話です。その方は、小学校の教師として働かれていた方です。
よく、同僚の方や生徒さんが会いに来られており、お元気だった頃のお人柄を感じられるお話をよく耳にします。今年度で退職された事もあり、先日同僚の先生がビデオレターを持ってこられていました。ご本人、ご家族と一緒にビデオレターを観させていただいたのですが、そこには私の知らない、お元気だった頃のクライアントさんの、先生としての凛とした姿が沢山映っていました。
ご本人も懐かしい映像に、時折口角を上げ笑われたりと嬉しそうに観ておられました。生徒さんから先生へのメッセージが流れると涙を流されており、私もなんともいえない気持ちになりました。
そしてビデオレターの最後に流れた言葉、「先生がずっと言われていた世界で一番きれいな言葉『ありがとう』を私達も沢山使います!」と…。
「爪を切ってくれてありがとう」「お正月まで来てくれてありがとう」等、支援の中でそのクライアントさんは度々私たちに「ありがとう」の言葉をくださいます。
日々の支援の中で心が疲れる事や、自信を無くす事、介護の仕事に向いていないのかな…と考える事が度々あります。そんな時、クライアントさんがくださる「ありがとう」にいつも元気をいただいています。
「教師の仕事、お好きですか」とお尋ねすると「YES」の意味を込め、瞬きをされました。その姿を見て、教師をされていた時も、退職された今も伝えたり教えたりする形は変化してもずっと「先生」なんだなと感じました。
介護のお仕事は楽しい事ばかりではありませんが、人の生活を支える大切なお仕事だと思います。
支援を通し、クライアントさんに学ぶことも沢山あります。やりがいもあります。
将来、私が「介護の仕事好きですか」と聞かれた時にクライアントさんのように自信を持って「はい」と答える事が出来るよう毎日を楽しみながら、また、「ありがとう」の言葉や気持ちを沢山伝える事が出来るよう、介護の仕事やクライアントさんと向き合っていきたいと思います。
◆プロフィール
重野有香 ホームケア土屋 福岡
介護を始めた時期:2005年頃~現在
性格:穏やか
資格:介護福祉士