こどもがこどもで居られる街作り~ヤングケアラーを考える~ / 尾上真奈花

こどもがこどもで居られる街作り~ヤングケアラーを考える~
尾上真奈花

「ヤングケアラー」とは、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満のこどものこと」です。

こどもが家事や家族の世話をすることは、ごく普通のことだと思われるかもしれません。
でも、ヤングケアラーは、本当なら享受できたはずの、勉強に励む時間・部活に打ち込む時間・将来に思いを巡らせる時間・友人との他愛ない時間…
これらの「こどもとしての時間」と引き換えに、家事や家族の世話をしていることがあります

彼らは、一般的には学校に行きながら家族の面倒を見ることが多く、食事の準備や掃除や洗濯といった家事、見守り、きょうだいの世話、感情面のサポートなどが求められています。ヤングケアラーの多くは、自分がヤングケアラーであることを自覚していなかったり、ヤングケアラーであることを周囲に打ち明けづらく、孤立やストレスを感じていると言われています。

令和2年度に、中学2年生・高校2年生を、令和3年度に小学6年生・大学3年生を、それぞれ対象にした厚生労働省の調査では、「世話をしている家族が『いる』」と回答したのは、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%、大学3年生で6.2%でした。これは、回答した「中学2年生の17人に1人が世話をしている家族が『いる』と回答した」ことになります。

しかし、彼らが実際にどのような状況に置かれているのかを正確に把握する統計は、まだ整備されていないようです。一部の自治体では、ヤングケアラー支援のための取り組みが進められていますが、全国的な取り組みの整備は遅れています。

【ヤングケアラーを支援するための以下のような取り組み】

  1. ヤングケアラーが自分がヤングケアラーであることを認識し、周囲の人々に打ち明けることができるような情報提供や周知活動
  2. 支援の充実。ヤングケアラーが学校生活や就労、自己実現などを追求するためには、十分な支援が必要です。支援の充実には、専門的なカウンセリングや、学校や職場での柔軟な対応が必要です。
  3. 社会全体での理解と協力。ヤングケアラー問題を解決するためには、社会全体での理解と協力が必要です。家族や地域、学校、職場、行政など、様々な立場の人々が協力し、ヤングケアラーを支援する仕組みを整える必要があります。
  4. 啓発活動の実施。ヤングケアラー問題に対する認知度を高めるために、啓発活動を実施することも必要です。メディアやイベントなどを通じて、ヤングケアラーの実態や支援策を広く知らせることで、社会全体での理解と協力を促進することができます。

ヤングケアラー問題を解決するためには、社会全体での取り組みが必要です。まわりの人が気付き、声をかけ、手を差し伸べることで、ヤングケアラーが「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思える「こどもがこどもでいられる街」を、みんなでつくっていきませんか。

◆プロフィール
尾上真奈花 ホームケア土屋 大分

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