受け身の介護を追求していく為には…~施設ケアと在宅ケアの違い~
三浦仁義
最初に在宅ケアで衝撃を受けたのは、主体が利用者さん側にあるという事でした。
これまでの施設ケアでの経験が殆ど役に立たない、かえって足かせになり得るのではと思い、「考え方や見方を変えていかないと在宅ケアは続かないであろう」と危機感を覚えました。
私の介護の仕事の第一歩は、約15年前に地元の高齢者施設で働き始めた事で、その当時は介護=施設の見解しかなく、ヘルパー2級の資格取得で現場研修を受けた施設からも声を掛けられていたので、自ずと介護の資格を取ったら施設で働くものだと思っていました。
施設での働き方としては、経験した方は理解できるかと思われますが、概ね、『早出・日勤・遅出・夜勤』と分類され、各々でマニュアルがあり、食事の時間、排泄の時間、就寝・起床の時間と決められている事が多い印象です。
私は施設ケアとして、有料老人ホーム、グループホーム、特養と渡り歩いて来て、自身でもマニュアルを作成していた手前、こちら側(施設)主体で動いていく事が普通であると思っておりました。
在宅ケアは大まかな流れのマニュアルはあるものの手技のマニュアルが多く、利用者さんからの訴えがあってから介護者がその訴えに沿って支援する事が多いかと思われます。
在宅介護のこの形を【受け身の介護】と私は解釈しており、対して施設ケアでの施設主体の介護を攻めの介護と呼んでいますが、特に高齢者施設での経験が長い人ほど、在宅ケアでの適応が難しいケースが多くあります。
在宅ケアの「メリット」としては一般的に、
・利用者さんは家族と一緒や、地元で安心して生活できる。
・利用者さんは自分の意思決定にて、可能性ある生活ができる。
・介護者は1対1の介護ができて、一人の利用者さんに深く関わることができる。等々
「デメリット」としては、
・病院や施設の様に、医療面での充実さは劣る。
・必ずしも24hの介護が受けれるとは限らない。※支給時間数問題。
・介護者は不測の事態が起こった場合にすぐに他の人に助けを求めにくい。等々
私としては、在宅ケアで支援に入るようになり、身体面での負荷は減りましたが、精神面での負荷は増えた印象です。
今はアテンダントに受け身の介護のメリットとデメリットを伝えるようにしております。
これまでの私の経験や、アテンダントからの現場の声をヒアリングし、より良い職場環境を整えて行く為、これからも事業所全体で取り組んで参りたいと思います。
◆プロフィール
三浦仁義 ホームケア土屋 久留米
地元の大学卒業後、営業や飲食業を転々とする。
28歳の時にハローワークの職業訓練にて、ヘルパー2級を取得。地元の有料老人ホームに就職する。
その後、自身の視野を広げる為に、グループホームや重度訪問介護の他事業所、特別養護老人ホームを経て、令和元年5月に前会社に就職。令和2年4月にコーディネーター昇格。
令和3年9月より、久留米事業所のオフィスマネージャーに就任。
保有資格:介護福祉士。